プロテインはいつ飲むのがベスト?おすすめのタイミングと効果を出しやすくする方法を徹底解説
公開日:2024.12.22
文:成松 由佳(管理栄養士)
筋肉を増やすためのたんぱく質の補給として、愛用者の多いプロテイン。しかしいつ飲むのが効果的だろうかと悩んでいませんか?
今回は、目的やそれぞれの生活リズムに合わせたプロテイン摂取のタイミングとその理由を解説します。プロテインの種類や目安量、より効果を出す方法についても説明しますので、理想の体づくりに役立ててください。
プロテインとは
プロテインとは、たんぱく質の英語訳である「protein」のことですが、一般的にはたんぱく質を摂取するために、水や牛乳などで溶かして飲む粉末状のサプリメントを指します。
たんぱく質は人間の体全体を構成する栄養素です。もちろん、筋肉もたんぱく質からできているため、筋肉を増やすためにはたんぱく質の摂取が欠かせません。
たんぱく質は肉や魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品に多く含まれていますが、食事からの摂取だけでは不足する場合は、プロテインで補うと良いでしょう。
プロテインの種類
プロテインは原料によって分類されます。代表的なものに、牛乳を原料とした「ホエイ」「カゼイン」と、大豆を加工した「ソイ」の3種類があります。
ホエイプロテイン
ホエイとは、牛乳から脂肪分や固形成分を除いたものです。「乳清」とも呼ばれ、ヨーグルトの上澄み液としても知られています。水溶性たんぱく質が豊富に含まれているので、摂取すると素早く小腸で吸収されます。
ホエイプロテインは、加工法の違いによってWPC(ホエイプロテインコンセントレート)とWPI(ホエイプロテインアイソレート)の2種類に大きく分類されます。
WPCは乳清をフィルターでろ過し、残った液体を濃縮したもの。ビタミンやミネラル、乳糖など、ほかの栄養素も含まれています。たんぱく質含有量は75~85%と低いですが、価格が安いためコストパフォーマンスを求める人におすすめです。
WPCをさらにろ過したものがWPIです。たんぱく質の純度は90%以上。水に溶けやすくて飲みやすく、低脂質・低糖質であることが特徴です。
カゼイン
牛乳の固形たんぱく質を原料としてつくられたプロテインです。水に溶けにくく消化・吸収に時間がかかりますが、その分長く体内に留まります。
ソイプロテイン
大豆に含まれる植物性たんぱく質が原料です。消化・吸収速度はホエイとカゼインの中間で、腹もちが良いのが特徴です。ソイプロテイン特有の機能性として、抗酸化・抗炎症作用があります。
摂取量の目安
プロテインの摂取量の目安は、1日分の食事で取れるたんぱく質と、目的に合わせたたんぱく質の必要量の差分になります。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日のたんぱく質摂取の推奨量は、成人男性で65g(65歳以上は60g)、成人女性では50g。これは、体内のたんぱく質量を維持するための摂取量です。そのため、筋トレによって筋肉を増やしたい場合は、たんぱく質を多めに取る必要があります。
筋トレで筋肉を増やしたいときのたんぱく質摂取量は、体重1kg当たり約1.6gがもっとも効率が良いとされています。たとえば、体重70kgの人では、1日のたんぱく質摂取の目安は112gとなります。
なお、2022年の「国民健康・栄養調査」によると、日本人のたんぱく質摂取量の平均値は男性で77.6g、成人女性では65.6gでした。この量は筋トレを行っていない人であれば十分な摂取量ですが、筋トレを行っている人では摂取が不足している可能性があります。普段の食生活からプロテインの摂取量を決めていきましょう。
プロテインを飲むメリット
プロテインを飲むことの主なメリットを3つ紹介します。
たんぱく質を効率良く補給できる
筋肉をつけるために必要なたんぱく質を、すべて食品から摂取するのは、食事量が増えて食べにくいだけでなく、脂質の過剰摂取につながることもあります。プロテインを使えば、ドリンク1杯で約20gのたんぱく質を簡単に摂取できるため、効率良く必要なたんぱく質量を確保できます。
いつでも手軽にとれる
食事の時間以外にも、たんぱく質をこまめにとりたいと思っても、肉や魚などの食品ではもち運びや保存が難しく、食事時以外の摂取は難しいもの。しかし飲料のプロテインなら手軽に摂取でき、たんぱく質摂取のタイミングを逃しません。
吸収が早い
プロテインは食品よりもたんぱく質の消化・吸収が早いのが特徴です。とくにホエイプロテインのたんぱく質は吸収が早く、体に必要なタイミングで迅速にたんぱく質を補給するのに役立ちます。
プロテインを飲むタイミング
プロテインを飲む効果的なタイミングは、筋トレの目的や生活リズムによっても異なります。主な摂取タイミングとその効果について説明します。
筋トレ前
筋トレ前のたんぱく質摂取は、筋量や筋力の増加に効果があります。筋トレ前に摂取したたんぱく質は、筋トレ中から筋トレ直後にかけて体内に吸収され、筋肉の合成に利用されます。トレーニング前の栄養補給としてプロテインを活用しましょう。
筋トレ後
筋トレ後は、筋たんぱく質の合成感度が高まっています。筋トレ後にたんぱく質を摂取すると、筋たんぱく質の合成が促進され、筋肥大が生じやすくなります。とくに筋トレ直後から1~2時間後は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、筋肉の合成量がもっとも増加します。このタイミングでは、速やかに吸収されるホエイプロテインがおすすめです。
就寝前
体のたんぱく質は常に合成と分解のサイクルを繰り返していますが、睡眠時はたんぱく質が分解されやすい時間帯です。筋トレを行ってから就寝前にプロテインを取ることで、たんぱく質の合成作用を高め、筋肉の維持や増加に役立ちます。就寝前には、ゆっくりと吸収されるカゼインプロテインが適しています。
食事と一緒に
筋たんぱく質の合成は筋トレ後1~2時間がピークですが、その後も24~48時間後まで高い状態が続きます。そのため、筋肉量を増やすには、1日を通して必要なたんぱく質量を確保することがもっとも大切です。
肉、魚、卵、大豆製品などの食品からたんぱく質を摂取したいところですが、おにぎりやパンのみの食事になってしまう場合は、不足分をプロテインで補っていきましょう。
間食として
プロテインは間食としても活用できます。とくに減量中の人なら、甘味をがまんせずにカロリーを控え、たんぱく質を補給できるプロテインが役立ちます。吸収が遅く腹もちが良いカゼインやソイプロテインがおすすめです。
プロテインの効果的なとり方
プロテインを体内で効果的に使うには、ビタミンと一緒に摂取することが大切です。
ビタミンB1、B6、B12などのビタミンB群は、体内でのたんぱく質の代謝に関わる栄養素です。これらのビタミンB群は、野菜類や肉類、魚介類に多く含まれています。とくにビタミンB6は、たんぱく質の摂取量が多いと体内での要求量が高まることが知られています。
野菜類に含まれるビタミンCや魚介類に含まれるビタミンDも、筋トレには欠かせない栄養素です。ビタミンCは筋肉を構成するコラーゲン繊維の生成に関与し、不足すると筋重量が低下するおそれがあります。一方、ビタミンDは筋肉の回復を促進するので、ビタミンDが不足するとトレーニングのパフォーマンス低下を招く可能性があります。
これらのことから、食事では肉や魚を使ったメイン料理に野菜を組み合わせ、バランスの良いメニューになるよう心がけましょう。カロリーや脂質が気になる人は、ビタミンのサプリメントや、ビタミン類が配合されたプロテインを活用するのもおすすめです。
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運動しないでプロテインを飲むと太るってホント?おすすめの活用法と飲むタイミングを解説
外出先でもプロテインを摂取する方法
外出先ではプロテインをとりにくいとお悩みの人もいるかもしれません。ここでは外出先でもプロテインを取る方法を3つ紹介します。
個包装タイプのプロテインを使う
プロテインは、大袋からスプーンで使用分ずつ取り出してつくるのが一般的ですが、1食分ずつ個包装になっているものなら、もち運びやすくなります。シェイカーももっていけば、すぐにつくることが可能です。
なお、シェイカーで溶かしたものをもち歩く人もいますが、栄養豊富なプロテインは、つくったらすぐに飲み切らないと雑菌が繁殖しやすいため、もち歩きはおすすめできません。
ドリンクタイプのプロテインを選ぶ
紙パックで販売されているプロテインドリンクは、溶かす手間なくそのまま飲めるため、外出先で手軽に飲むのに適しています。常温保存可能な商品を選べば、もち運びや保存も安心です。
そのまま食べられるプロテイン製品を選ぶ
飲料だけでなく、プロテインバーやプロテインゼリー、溶かさずにそのまま摂取できるプロテインなど、さまざまな形態の商品が発売されています。シーンや好みに応じて便利なものを取り入れると良いでしょう。
まとめ
今回は、プロテインの種類と目安量、効果的な摂取のタイミングについて解説しました。筋トレによって筋肉を増やすためには、1日に必要なたんぱく質摂取量を十分に確保することが大切です。紹介した摂取タイミングを参考に、自分に合った方法でプロテインを上手に活用しましょう。
<参考文献>
・厚生労働省「令和4年国民健康・栄養調査報告書」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

成松 由佳
大学院修士課程修了後、製薬メーカーでの勤務を経て栄養指導に従事。自身も食事改善によって長年悩んでいた便秘や肌荒れを克服。現在はWebライターとして、食事に悩む時間や精神的なストレスを減らせるよう情報提供している。
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