インクラインダンベルカールのやり方は?効果や重量・角度について
公開日:2025.01.13
文:和田 拓巳(スポーツトレーナー)
大きな力こぶを作るために、ダンベルを使って腕の曲げ伸ばしを行う「ダンベルカール」を行っている人も多いのではないでしょうか。
ただ、同じトレーニングを繰り返すことで筋肉が刺激に慣れて、効果が停滞してしまうことがあります。そんな時におすすめしたいのが、ダンベルとインクラインベンチを使った「インクラインダンベルカール」です。
今回は「インクラインダンベルカール」について、正しいやり方や効果を引き出すポイントを解説していきます。
目次
インクラインダンベルカールとは?きたえられる部位
インクラインダンベルカールは、上腕二頭筋の「長頭(ちょうとう)」と呼ばれる部位をきたえるエクササイズです。長頭は上腕の外側に付着していて、一般的には力こぶと言われています。
上腕二頭筋とは
上腕二頭筋は付着部が2つに分かれており、それぞれを「長頭(ちょうとう)」と「短頭(たんとう)」と呼びます。
長頭
上腕二頭筋の外側に位置している長頭は、主にひじ関節の曲げ伸ばしの際に力を多く発揮します。
短頭
上腕二頭筋の内側に位置している短頭は、主にひじ関節を外側に回す動きの際に力を多く発揮します。
上腕二頭筋の働き
上腕二頭筋はひじ関節の曲げ伸ばしと、外側に回す動きの際に力を発揮します。ひじを曲げて物を持ち上げるとき、重い物を運ぶとき、引っ張るときなど、日常生活の多くの動作で活躍している筋肉です。
インクラインダンベルカールの効果2選
次に、インクラインダンベルカールを行うことによって得られる効果を紹介します。
太くたくましい腕を作る
上腕二頭筋を肥大(大きくサイズアップ)させることで、太くたくましい腕を作ることができます。
特に、ひじを曲げた際に盛り上がる力こぶを作るには、上腕二頭筋の肥大が欠かせません。
女性の場合は筋肉が肥大しにくいので、力こぶが大きくなりにくく、筋肉のラインが綺麗に見える引き締まった腕を目指すことができます。
疲れにくくなる
上腕二頭筋の筋力や持久力が高まれば、日常生活での動作が楽に感じるようになるでしょう。重い荷物を持つ、子どもを抱っこするなど、持つ動作全般で疲れにくくなる効果が期待できます。
インクラインダンベルカールのやり方・角度
ここからは、インクラインダンベルカールの正しいやり方を説明していきます。
1.インクラインベンチを45~60度くらいにして座り、両手にそれぞれダンベルを持ちます。
2.背もたれに背中をつけたまま、腕はだらんと下ろします。ダンベルを持った両手は、手のひらが正面を向くようにします。
3.ひじを前後に動かさないようにして、ひじを曲げてダンベルを持ち上げていきます。このとき、背中は背もたれから離れないようにしましょう。
4.ひじを曲げきったら、ゆっくりと元の位置に戻していきます。
5.この動作を繰り返します。
インクラインダンベルカールは、体を後ろに倒すことでひじを完全に伸ばしやすくなり、関節可動域を広く使って動作を行うことができるのが特徴です。立った姿勢で行うよりも、軽い負荷設定で行う必要があるので注意しましょう。
インクラインダンベルカールの重量・回数
ウエイトトレーニングの重要なポイントの1つが、使用する重量や実施回数です。使用重量が適切でなければ、期待している効果が得られない場合があります。
目的に合わせて回数を決める
トレーニングの実施回数を決めるうえで重要なのが、トレーニングを行う目的です。目的によって回数を定め、できる回数に合った重量設定で行うことがポイントです。
筋肥大(筋肉のサイズアップ)
8~12回で限界になるくらいの重量設定で行います。
筋力向上(1回の収縮で発揮する力)
5~7回で限界になるくらいの重量設定で行います。
筋持久力向上(筋肉が繰り返し収縮する能力)
13~15回で限界になるくらいの重量設定で行います。
目的に合わせた回数を目安にして、回数に合わせて重量を設定すると良いでしょう。
重いものを使えば効果が高いというわけではありません。自分の筋力以上の重量を使うと、無理に持ち上げようと反動を使ってしまったり、可動域が狭くなるなどフォームや動作が崩れる原因となります。
結果的に上腕二頭筋への負荷が少なくなってしまうので、適切な重量で行うようにしましょう。
インクラインダンベルカールを行う際の注意点
最後に、インクラインダンベルカールを行う際のポイントや注意点を解説していきます。
チーティングをしない
チーティングとは、「ごまかし」という意味です。インクラインダンベルカールの場合、背もたれから背中を離して反動を使ったり、ひじを動かして持ち上げることがチーティングにあたります。
チーティングによって高重量を扱うことができますが、結果的に上腕二頭筋への刺激を低下させてしまいます。チーティングはテクニックの1つとして使われることもありますが、チーティングの効果的な方法を知っている上級者以外は、できるだけしないように気をつけましょう。
可動域を広く使う
インクラインダンベルカールの最大の特徴は、上腕二頭筋を最大限伸ばすことができる点です。ダンベルを下ろした時にひじをしっかり伸ばす(もしくは、伸び切る直前まで伸ばす)ことで、上腕二頭筋の可動域を広く使うことができます。
伸ばし切る前にひじを曲げ始めてしまうと、インクラインで行う意味がなくなってしまうので、ダンベルを下ろすときはしっかりひじを伸ばすように行いましょう。
ダンベルはゆっくり下す
ダンベルを下ろす際は、動作をゆっくり行うと安全で効果的です。
ひじを伸ばしていく局面は「エキセントリック」と呼ばれ、筋肉が引き伸ばされながら強く力を発揮しています。
「エキセントリック」局面ではゆっくり動作を行うことで、筋力向上の効果が高いという研究報告もあります。ただし、筋肉痛が起こりやすくなるので、その点は理解しておきましょう。
手の角度・向きを意識する
上腕二頭筋をきたえるエクササイズを行っていると、上腕二頭筋よりも前腕が先に疲労してしまう人もいます。その原因は、動作中のダンベルを持つ手の角度です。持ち上げることを意識するあまり、手首を手のひら側に曲げて、ダンベルを巻き込むように持ち上げてしまっているのです。
その結果、動作中にダンベルの負荷が前腕にかかったままになり、前腕部への負担が大きくなってしまいます。前腕が疲労することを防ぐためにも、手首を過度に曲げすぎず、前腕に対してまっすぐの状態をキープして動作を行いましょう。
またひじを曲げきったときに前腕部をひねり、手のひらを外側に向けることで、上腕二頭筋をより効果的に刺激して収縮させることができます。
しっかり筋肉を収縮させるには、手のひらの向きを意識することが重要なポイントです。
まとめ
今回は、上腕二頭筋をきたえる「インクラインダンベルカール」のやり方やポイントを紹介しました。
インクラインダンベルカールを、基本の「ダンベルカール」と組み合わせて行うことで、効果的に上腕二頭筋全体を刺激することができるでしょう。インクラインダンベルカールの効果をしっかり引き出すためにも、今回紹介したポイントを押さえて、トレーニングに取り組みましょう。

和田 拓巳
スポーツ選手やオリンピック候補選手、アーティストのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。
医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会もしており、講師業にも力を入れている。テレビや雑誌など各種メディアに出演およびトレーニング監修を行う。
著書に「見るだけ筋トレ」(青春出版社)がある。
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