ボールクランチの正しいやり方は?効果や鍛えられる部位について解説!
公開日:2025.01.19

文:加藤 尚也(理学療法士)
「腹筋をしっかり鍛えたいけど、普通の腹筋では物足りない」そんな人には、腹筋に強い負荷をかけることができる、ボールクランチという筋力トレーニングがおすすめです。
この記事では、ボールクランチで鍛えられる部位や正しいやり方、注意点を紹介します。
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ボールクランチとは?鍛えられる部位

クランチは、あおむけの状態でひざを曲げて上体を起こす腹筋運動の1種です。
ボールクランチとは、バランスボールの上で体を反らせながら、クランチを行う筋力トレーニングのことです。通常の腹筋「シットアップ」と比べて、集中的に腹筋を鍛えることができます。
できるだけ広い可動範囲でトレーニングを行い、負荷を大きくかけることで、効率よく筋肉を鍛えられると考えられています。
ボールクランチはバランスボールを使用して体幹を反らすことで、腹筋の可動範囲が広がり、負荷が大きくなります。
その結果、効率よく腹筋を鍛えられるだけでなく、通常のトレーニングでは鍛えることの難しいインナーマッスルまで刺激することができます。
ボールクランチは、腹筋の中でも「腹直筋」「腹斜筋」「腹横筋」を鍛えるのに有効です。それぞれの筋肉について理解しておきましょう。
腹直筋
腹直筋は、腹筋の最も浅い位置にある筋肉です。主に背骨を曲げたり、体幹を猫背のような丸い姿勢にする作用があります。
腹直筋を鍛えることでお腹を引き締め、割れた腹筋、いわゆるシックスパックを手に入れることができます。
腹斜筋
腹斜筋は腹直筋の下にある筋肉で、「外腹斜筋」と「内腹斜筋」に分かれています。それぞれの筋肉が協力して働くことで、体をひねる作用を持ちます。
また左右両方の腹斜筋が働くと、腹直筋と同様に背骨を曲げる作用があります。体幹をひねる作用を持つ腹斜筋を鍛えることで、ゴルフやテニスなどのスポーツパフォーマンスの向上につながります。
腹横筋
腹横筋は腹筋の中でも最も深い部分にある筋肉で、インナーマッスルと呼ばれています。ボールクランチは、バランスボールを使用してトレーニングを行うことで、腹横筋などのインナーマッスルを鍛えられます。
腹横筋は、体幹の中でコルセットのような機能を果たしています。鍛えることで、腰痛を防ぐ効果やスポーツパフォーマンスの向上など、様々な効果が期待できます。
ボールクランチのやり方

それでは、ボールクランチの正しいやり方について解説します。
ボールの上に背中を乗せる
ボールクランチのスタートポジションは、背中を反らせた状態で、バランスボールに体を乗せた姿勢です。
脚は肩幅程度に開き、ふらつかないように足の裏をしっかりと床につけます。このとき、ひざは約90°に曲げた状態を保持するようにしましょう。
腕の位置に慣れるまで、腕を胸の前で組み、慣れてきたら頭の後ろで組むと良いでしょう。
ゆっくりと体幹を丸める
スタートポジションから、ゆっくり体幹を丸めるように上体を起こします。しっかりと息を吐きながら、無理のない高さまで起こしましょう。このときに、ボールが揺れてふらつかないように注意してください。
スタートポジションに戻る
最後に、上体を起こしたポジションから、ゆっくりとスタートポジションに戻ります。開始位置に戻る際は、息を吸いながら動作を行います。
この一連の動作を、10回×3セット行いましょう。
ボールクランチの注意点
最後に、ボールクランチを行う際の注意点について解説します。けがを防いでトレーニング効果を高めるためには、しっかりとポイントを押さえて取り組むことが大切です。
腰を反らす際に無理をしない
ボールクランチは、腰を反らせた状態から腹筋運動を行うことで、腹筋に強い負荷をかけることができます。しかし腰を反らせすぎると、腰を痛める原因になります。
スタートポジションで腰を反らす際は、軽く反らせた状態から開始し、慣れてきたら少しずつ反らす可動域を広げるようにしましょう。
足の裏は地面につけた状態にする
ボールクランチのスタートポジションは、背中を反らせて肩幅に脚を開き、足の裏をしっかりと地面につけた状態です。次に、上体を丸めながら起き上がります。
このときに足が浮いてしまうと体幹がふらつき、腹筋に十分な負荷をかけにくくなります。そのため、動作中に足の裏が地面から離れないように注意しましょう。
反動をつけない
反動をつけてボールクランチを行うと、腹筋への負荷を十分にかけられないだけでなく、けがの原因にもなります。特にボールクランチはバランスボールを使用しており、通常の腹筋と比べて反動がつきやすくなっています。
けがを防いで十分なトレーニング効果を得るために、反動はつけずにトレーニングを行うようにしましょう。
息を止めない
息を止めながらトレーニングを行うと、血圧が急激に上昇し、体の不調につながる可能性があります。運動に合わせてリズムよく呼吸するなど、息を止めない工夫をしながら実施しましょう。
体格にあったボールを選ぶ
一般的なバランスボールのサイズは、直径65cmです。身長が高い人が小さいボールでボールクランチを行うと、腰を反らせすぎて腰痛の原因になることがあります。
また、身長が低い人が大きいボールで行うと、十分な負荷をかけることができません。バランスボールは小柄な人向けの直径55cmや、大柄な人向けの直径75cmなどのサイズがあります。体格にあったボールを購入しましょう。
ボールの空気圧に注意する
ボールクランチを行う際のバランスボールの空気圧は、上に乗ったときに少し体が沈む程度が目安です。ボールに空気を入れすぎると、体をうまく反らすことが難しくなってしまいます。
正しいフォームでトレーニングを行うために、ボールクランチを開始する前には、空気圧をチェックするようにしましょう。
筋肉痛がある時は休息を取る
トレーニングの翌日などに、筋肉痛が起こることがあります。筋肉痛とは、トレーニングにより、一時的に筋肉が損傷することによる痛みのことです。
筋肉痛は筋肉を肥大させるための大切な過程です。このときにトレーニングを行うと、かえって筋肉を傷つけてしまう可能性があります。
腹筋の筋肉痛があるときは、腹部の筋肉がダメージを受けている証拠です。他の部位のトレーニングを行うなど、腹筋の休息を取るよう意識してくださいね。
負荷が足りなくなれば方法を変える
ボールクランチを継続することで、腹筋の筋力は上がっていきます。筋力が上がった状態で同じ負荷をかけ続けても、筋肉は肥大しにくく、大きさが維持される傾向にあります。
トレーニングを継続して通常の方法に慣れてきた場合は、他のトレーニングと組み合わせたり、重りを頭の後ろに抱えてトレーニングを行うなど負荷を上げる工夫をしましょう。重りなどの使用が難しい場合は、1セットあたりの回数を増やして行っても良いですよ。
有酸素運動と組み合わせる
割れた綺麗な腹筋を手に入れるために、腹筋を鍛えると同時に、皮下脂肪を落とすことが重要です。皮下脂肪は、有酸素運動を行うことで燃焼しやすくなります。
腹筋を割るためには、腹筋の筋力トレーニングと、有酸素運動を組み合わせて行うことがおすすめです。
まとめ
今回は、ボールクランチについて紹介しました。ボールクランチは、腹筋に強い負荷をかけることで、効率よく体幹のトレーニングを行えます。
正しい方法でボールクランチを継続することで、通常のクランチよりも腹筋の強化が期待できるでしょう。ぜひ、ジムや自宅でトレーニングを行う際の参考にしてみてくださいね。ボールクランチで、きれいに割れた理想の腹筋を手に入れましょう。
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<参考文献>
望月 久 (編集), 山田 茂 (編集) 「筋機能改善の理学療法とそのメカニズム ─理学療法の科学的基礎を求めて─ 【第3版】」(ナップ)2014

加藤 尚也
理学療法士として総合病院と整形外科クリニックに勤務し、スポーツ整形を担当している。普段の診療業務からどのように指導を行えば患者様が適切な筋力トレーニングを行えるかを意識して指導をしている。また、けがの再発予防も重要視し、運動時のフォームチェックなども行っている。毎年、学会発表や市民公開講座など病院以外の場での活動も精力的に実施。ライターとしては医療・健康分野での執筆活動を中心に行っている。理学療法士歴は10年以上。
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