デクラインダンベルプレスで美しい胸筋を目指す!効果を最大限に引き出すコツと注意点を徹底解説
公開日:2025.01.20
文:山﨑志緒(理学療法士)
「デクラインダンベルプレスってどうやるの?」「回数や重量はどう決めたらいいの?」と疑問に思ったことはありませんか?
デクラインダンベルプレスは大胸筋下部を効率良く鍛えられるため、厚みのある引き締まった胸板を目指すあなたにぴったりのトレーニングです。しかし、やり方を誤ると十分に効果が得られないこともあります。
この記事では、トレーニングの具体的なやり方や効果的な重量設定、注意点をわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。正しいフォームと効果的な方法を理解し、理想の体型を目指しましょう。
デクラインダンベルプレスで鍛えられる部位と得られる効果
デクラインダンベルプレスは、ベンチにあおむけになり、足より頭を低くした「デクライン」の姿勢で、ダンベルをもち上げて行うトレーニングです。
体の角度が下向きであるため、フラットダンベルプレスやインクラインダンベルプレスなど、ほかの大胸筋を鍛えるトレーニングと比べると、大胸筋の中でも下部を集中的に鍛えられるのが特徴です。
デクラインダンベルプレスで鍛えられる主な部位は、次の3つです。
・三角筋前部
・上腕三頭筋
大胸筋下部
デクラインダンベルプレスで鍛えられるメインの筋肉は、大胸筋下部です。
大胸筋は胸の大部分を覆う大きな筋肉で上部・中部・下部の3つに分けられます。
大胸筋下部はそのうちもっとも下側に付着しており、腹部の上あたりまで広がっています。大胸筋の下部を重点的に鍛えることで、胸板に厚みと立体感が生まれ、シルエットが強調されたメリハリのある上半身を目指すことができます。
また、胸全体がもち上がり、見た目が引き締まる効果も期待できるでしょう。バランスの整った見た目の良い胸板を目指すためには、大胸筋下部のトレーニングが重要です。
三角筋前部
三角筋は肩を構成する筋肉で、前部・中部・後部にわかれています。デクラインダンベルプレスでは、ダンベルを押し上げる動作によって補助的に肩の前側にある三角筋前部が刺激されます。
三角筋前部を鍛えることで胸筋とバランスのとれた肩まわりの筋肉が形成され、肩幅を広く見せることができます。また、胸から肩にかけてのラインが美しく整い、上半身に力強い印象を与えられます。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は腕の裏側にある筋肉で、肘を伸ばす運動に関与します。デクラインダンベルプレスでは、ダンベルを押し上げる動作時に強く刺激されます。
上腕三頭筋を鍛えると、腕が太くなり、筋肉のメリハリが生まれるため、引き締まってバランスの取れた強い腕をつくるのに役立ちます。
デクラインダンベルプレスによって、これらの筋肉を効率的に鍛えることで、引き締まった胸板に、厚みとメリハリのある理想の上半身を手に入れることができます。
デクラインダンベルプレスのやり方
次に、デクラインダンベルプレスを行う準備と手順を解説します。
1. 準備
デクラインベンチを約15〜30度の角度(頭が低い状態)に調整します。
ベンチに横になり、両足をしっかりと固定します。
2. ダンベルのもち方
両手にダンベルをもち、胸の位置まで下ろします。
手のひらが向かい合う(ニュートラルグリップ)ようにもつことが基本ですが、手のひらが前を向く(サムアップ)もち方も可能です。まずは自分のやりやすい方法ではじめてみましょう。
3. 正しいフォーム
ダンベルをもった状態で肘を90度に曲げます。
息を吐きながらゆっくりとダンベルを真上に押し上げます。
動作中は、背中をしっかりとベンチにつけたまま、肩甲骨を寄せることを意識しましょう。
4. ダンベルを下ろす
腕を完全に伸ばしたら、息を吸いながらゆっくりとダンベルを下ろします。
肘を肩の高さまで下ろしたら再び押し上げ、2~4の動作を繰り返します。
デクラインダンベルプレスの重量設定
デクラインダンベルプレスをより効果的で安全に行うためには、個々のトレーニング経験や体力に応じた適切な重量設定が大切です。
フォームをくずさずに行える範囲で、最後の1〜2回が難しく感じる重量を選ぶと良いでしょう。
どれくらいを選べば良いかわからない方は、以下を参考に自分に合った重量を見つけてみましょう。
初心者の場合
重量の目安
体重の約10〜20%(例:体重60kgの場合は6〜12kg)
回数とセット数
筋トレを初めて行う方や、はじめたばかりの方は、無理をせずに軽めの重量からはじめることがおすすめです。
まずは正しいフォームを習得し、動作に慣れてきたら少しずつ重量やセット数を増やしていきましょう。
フォームがくずれない範囲で無理のないペースを守ることが、けがの防止とトレーニング効果を高めるための大事なポイントです。
中級者、上級者の場合
重量の目安
体重の30〜50%(例:体重60kgの場合は18〜30kg)
回数とセット数
上級者:1セット4〜8回を4〜5セット
中上級者の場合1セット6〜10回を目指し、筋力や持久力の向上を狙うなら8〜10回程度、筋肥大を目的とする場合は6〜8回を目安にすると効果的です。
セット数は4〜5セットが理想で、限界に挑むことでさらなる筋力向上が期待できます。セットの間には1分間程度の休息を取り、筋肉を回復させつつ、できるだけ継続的に刺激を与えると良いでしょう。
適切な回数・セット数と重量設定を行うことで、デクラインダンベルプレスの効果を最大限に引き出し、理想の胸筋を手に入れることができます。自分の成長にあわせて、トレーニングプランを調整していきましょう。
デクラインダンベルプレスの注意点
デクラインダンベルプレスでけがを防ぎ、短期間で効果を出すためには、重量負荷を上げるだけでなく、正しい姿勢やケアも大切です。
トレーニングを行う際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。
正しいフォームを優先する
フォームが乱れると肩や腰に負担がかかり、けがのリスクも高まります。トレーニング中は常に正しいフォームを保てるように注意しましょう。
正しい姿勢になっているかを確認したい場合は、以下の点をチェックしてみてください。
肩甲骨を寄せて胸を張り、肩が安定しているか
ベンチに背中をしっかりとつけ、肩甲骨を寄せて肩を安定させることで肩の過度な負担や腰部のけがを避けることにつながります。
肘が肩のラインより下がっていないか
ダンベルを下ろす際には、胸を張り肘が肩のラインよりも下がらないようにして、大胸筋下部が十分にストレッチされることを意識しましょう。肩関節への負担を軽減し、大胸筋下部を効果的に刺激できます。
体がまっすぐになっているか
ダンベルを押し上げる際には、頭や腰を浮かせず、常に体を一直線に保ちましょう。体の反動やそり返りを利用してダンベルを上げると、腰痛のリスクにつながるため、大胸筋や上腕三頭筋の力で押し上げることがポイントです。
休息を取る
セット間には1〜2分間の休息をはさみましょう。トレーニングの間でも十分な休息を取ることで筋肉が回復し、次のセットのパフォーマンス向上につながります。
そのため、こまめな休息は効果的なトレーニングを行うために欠かせません。
とくに、重量を上げてトレーニングを行う際は、次の動作に集中できるようにセット間に1分程度の休息を挟み、しっかりと筋肉を回復させることが大切です。
ストレッチを行う
トレーニング前後に胸筋や肩まわりのストレッチを取り入れ、筋肉をほぐしておきましょう。ストレッチによって柔軟性が高まると、肩や胸の動きがスムーズになり、けがの防止や効果的なトレーニングに役立ちます。
また、トレーニング後のストレッチは筋肉の緊張をやわらげ、疲労回復にも効果的です。
たとえば、肩の可動域を広げる大胸筋ストレッチでは、肩回りの動作がスムーズになることでデクラインベンチプレスでのフォーム改善に役立ち、正しいフォームを維持しやすくなります。
まとめ
デクラインダンベルプレスは、立体的な胸筋をつくるのに有効なトレーニングです。けがを予防しながら効果的に行うためには、正しいフォームを身につけ、自分に合った適切な負荷と回数を設定することが重要です。
また、トレーニング前後のストレッチやセット間の休息をしっかりと取り入れることで、筋肉に余計な負担を抑え、効率的に成果を得ることができます。ぜひこの記事を参考に、理想的な胸筋強化の一歩を踏み出しましょう。
ほかにも胸や腕を鍛えられるトレーニング方法を紹介しているので、一緒にチェックしてみてください。
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<参考文献>
Schoenfeld, B. J., & Grgic, J. (2020). *The muscle-building effects of incline vs. decline bench press*. Journal of Strength and Conditioning Research.

山﨑志緒
医療福祉に特化した総合大学を卒業後、理学療法士免許を取得。スポーツ整形外科での外来リハビリやスポーツチームでトレーナーとして指導やケアにあたる。その後、高齢者の介護予防事業や回復期リハビリテーションの経験を経て、現在は在宅リハビリテーションに従事。現場歴11年。睡眠改善など海洋リハビリテーションなど幅広い分野に携わりながら、ライターとしても活動している。
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