インクラインハンマーカールの正しいやり方と効果を解説|腕を鍛えたい人向き
公開日:2025.01.21
文:カラダメンテナンスコーチ/理学療法士
鍛え上げられた太い腕に憧れる男性は、多いのではないでしょうか?
太くたくましい腕は、周囲の目をひき、男らしさをアピール出来ます。また腕を鍛えることで、重たいものを持ち上げやすくなるなど、日常の生活でも役立つはずです。
インクラインハンマーカールは、力こぶと呼ばれる「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」を効率的に鍛えられる筋トレ種目です。
インクラインベンチとダンベルを使用して行います。この記事では、インクラインハンマ-カールの正しいやり方や注意点を詳しく解説します。
また似ている筋トレ種目、インクラインダンベルカールとの違いについても紹介しています。最後まで読んで、ぜひ実践してみてくださいね。
インクラインハンマーカールとは?鍛えられる部位
インクラインハンマーカールは、インクラインベンチを使用して傾斜をつけた状態で、ダンベルを上げ下げすることで腕に負荷をかけます。
鍛えられる部位
インクラインハンマーカールでは、主に腕の肘から上の部分「上腕(じょうわん)」に位置する「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」と「上腕筋(じょうわんきん)」、肘から手首までの部分「前腕(ぜんわん)」に位置する「腕橈骨筋(わんとうこつきん)」が鍛えられます。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
「上腕二頭筋」は「上腕」の前面にある、力こぶと呼ばれる筋肉です。筋肉の長さによって、長頭と短頭に分かれます。
長頭と短頭は、付いている部位が少し異なりますが、働きは同じです。主に肩関節や肘関節を曲げる動きに関与しています。
上腕筋(じょうわんきん)
「上腕二頭筋」の下に位置しています。腕を太くしたり、上腕の外側の、ボコッとしたたくましい膨らみをつくることができます。主に、肘関節を曲げる動きに関与しています。
腕橈骨筋(わんとうこつきん)
「腕橈骨筋」は、肘関節の外側から始まり、手首の部分までのびる筋肉です。主に肘関節を曲げたり、手のひらを内側に向ける動きに関与しています。
インクラインハンマーカールは、「上腕二頭筋」に加え、「上腕筋」と「腕橈骨筋」を含む腕全体を幅広く鍛えられることが特長です。
継続して行うことで、バランスよく鍛え上げたたくましい腕を目指せます。腕のトレーニングとして特におすすめの種目です。
インクラインハンマーカールのやり方
ここからは、インクラインハンマーカールの正しいやり方について説明します。
スタート時の基本姿勢や動作方法、セット数や似たトレーニング種目との違いなど、詳しく解説していきます。
スタート姿勢
ベンチの背中の角度は、30~45度の浅めに設定します。あおむけで、胸を張ってしっかりと背中をつけます。腕は自然に下ろし、上腕(肘から上の部分)が床と垂直になる姿勢で準備します。
肘は完全に伸ばしても、少しだけ曲がっていても、どちらでもかまいません。手のひらの向きは内側にして、親指が前を向くようにします。
動作
親指が前を向いたまま、肘をいっぱいまで曲げていきます。速度は、曲げるときは1~2秒くらいで、伸ばすときは3~4秒くらいかけてゆっくりと動かしてください。
ポイントは、肘を伸ばす動作をゆっくり丁寧に行うことです。肘を伸ばす際に「上腕二頭筋」「上腕筋」「腕橈骨筋」がゆっくりとストレッチされながら働くことで、より効率良く鍛えられるからです。
回数・セット数・ダンベルの重さ
回数とセット数は、一般的な筋トレで推奨されている「10回3セット」を基本とします。
ダンベルの重さについては、まずは10回で限界になるくらいの重さのものを使用します。10回で限界になる適正な重さは、個人差があります。
何度か重さを変えて試しながら、適切な重さに設定してください。設定したダンベルの重さを毎セット、上げられなくなる限界まで回数をこなします。
セット間のインターバル(休憩時間)は1~2分間とし、3~4セット行うことが目安になります。
筋肉が成長してくると、同じ重さのダンベルでも負荷が少なくなるため、10回が楽にできるようになるはずです。筋肉が成長したら再度、10回前後で限界がくる重さを設定しなおしましょう。
インクラインハンマーカールとインクラインダンベルカールの違い
「インクラインハンマーカール」に似たトレーニング種目に、「インクラインダンベルカール」があります。手のひら、親指の向きの違いで、鍛えられる筋肉が変わります。
「インクラインハンマーカール」のスタートポジションですが、手のひらは内側、親指は前方に向けます。腕を自然に下ろした状態です。肘から上の「上腕二頭筋」の長頭をはじめ、肘から手首までの「上腕筋」「腕橈骨筋」まで幅広く鍛えられます。
続いてインクラインダンベルカールのスタートポジションは、手のひらは前方、親指は外側を向けます。「上腕二頭筋」の短頭を中心に鍛えられます。
より効率的に早く腕を鍛えたい方には、1種目で腕の筋肉を幅広く鍛えられる、インクラインハンマーカールがおすすめです。インクラインハンマーカールとインクラインカールの2種目を行うことで、さらに腕全体をバランスよく鍛えられます。余裕がある方は、2種目を並行して行っても良いですね。
インクラインハンマーカールの注意点
インクラインハンマーカールを行ううえで、意識しておきたい注意点は、以下の通りです。
①ベンチを起こしすぎない
②肘を前に出さない
③手のひらが上を向かないようにする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
注意点①ベンチを起こしすぎない
ベンチの背中の角度は、30~45度に倒すのがベターです。あおむけになり、腕を床と垂直にすることで、肘の位置が体側よりも後方に位置します。
すると肩関節と肘関節が伸びている姿勢になり、「上腕二頭筋」が強くストレッチされます。インクラインハンマーカールは、このようなストレッチの刺激により、筋肉を成長させます。
反対にベンチを起こしすぎて、垂直に近くなればなるほど、肩の可動範囲が狭くなります。すると「上腕二頭筋」のストレッチ効果も減少するため、トレーニング効果が得られにくくなってしまいます。
まずは45~60度くらいの傾斜から始め、慣れてきたら、最大30度程度まで傾斜を浅くしていくのが
良いでしょう。
注意点②肘を前に出さない
せっかくベンチの傾斜を適切にしても、動作中に肘が前に出てしまうと、「上腕二頭筋」のストレッチ効果は弱くなります。
肘が前に出るということは、肩関節が曲がる動きをしていることです。動作中は肩関節を固定することで、肘が前に出ないように意識しましょう。
具体的には、肘を曲げるときと伸ばすときのどちらも、肩甲骨を内側に寄せるよう意識します。胸を張ることで肩関節が曲がりにくく、伸びている位置が保ちやすくなります。
肩関節が固定されているかわかりにくい場合は、鏡で横から肩、肘の位置を確認することも有効です。
注意点③手のひらが上を向かないようにする
スタートの姿勢で、手のひらが前、親指が外側を向くと、似た種目であるインクラインカールになります。鍛える筋肉が変わり、狙った筋肉へ刺激を入れられなくなってしまいます。
スタートの姿勢は、手のひらが内側、親指が前を向かせるのがインクラインハンマーカールです。間違えないように注意してくださいね。
まとめ
今回はインクラインハンマーカールのやり方や注意点、似ている筋トレ種目であるインクラインダンベルカールとの違いについて解説しました。
スタート時の姿勢や動作を行ううえで、ポイントをおさえて正しいやり方で実施することが大切です。継続して行うことで、力こぶと呼ばれる「上腕二頭筋」をはじめ、肩下から手首までの腕の筋肉をバランス良く鍛えられます。
ぜひインクラインハンマーカールをマスターして、太くたくましい腕を手に入れてくださいね。
セラピストプラスでは、他にも腕を鍛える筋トレを紹介しています。以下の記事も合わせてチェックしてみてください。
ダンベルを使った上腕二頭筋の筋トレメニュー7選|効率的に鍛えるポイントも解説
ハンマーカールで太い腕を作ろう!正しい方法や効果を高めるコツを紹介
<参考文献>
岡田隆『正解一細かすぎる筋トレ図鑑』2021(小学館)
坂井建雄/松村讓兒(監訳)『プロメテウス解剖学アトラス』2016(医学書院)

理学亮
広い視点から社会復帰を支えることをモットーに、体の不調を整え、健康的な生活ができるようにサポートしている。リハビリテーションや運動学、解剖学に基づいた知識を活かして、筋のバランスや関節の動きの調律を行い、エクササイズの指導なども行う。病院で理学療法士として勤務しながら、スポーツ・健康系のWebライターとしても活動している。福祉住環境コーディネーター2級、両立支援コーディネーター、認定理学療法士(脳卒中・循環・呼吸)、3学会呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、離床アドバイザーなど、医療・介護系の資格を多数保有。
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