スミスマシンの正しい使い方は?おすすめのトレーニング方法も5つ紹介!
公開日:2025.02.13
文:和田 拓巳(スポーツトレーナー)
バーベルがレールに固定されているスミスマシンですが、「興味があるけど使い方がわからない…」という初心者の方も多いのではないでしょうか。
スミスマシンを使えば、けがや事故を防ぎながら、希望の部位をしっかり鍛えることができます。レールに沿ってバーを上下に動かすことができ、フリーウエイトに近いフォームで動作を行うことができます。
そんなスミスマシンは、初心者にとってハードルが高く感じることも。そんな方に向け、今回はスミスマシンを使うメリットや正しい使い方、スミスマシンのエクササイズをプロのトレーナーが紹介していきます。
スミスマシンを使うメリット
スミスマシンを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
初心者から上級者まで活用できる
スミスマシンは、マシントレーニングとフリーウエイトの両方のメリットを兼ね備えています。
バーベルが固定されていることから、マシントレーニングのように動作の軌道が安定します。そのため、エクササイズ中の姿勢がくずれにくくなり、鍛えたい筋肉にしっかりと刺激を入れることができます。
一方で、動作自体はフリーウエイトのエクササイズに近いため、基本的なフォームづくりとして活用することもできます。
スミスマシンは、初心者にはフリーウエイトの動作やフォーム習得の1つとして、上級者には追い込みのトレーニングとしてなど、幅広く活用することができます。
安全性が高い
スミスマシンは、前述のとおり動作の軌道が安定しているため、フリーウエイトのように大きく体勢をくずすことがなく、けがのリスクが低いというメリットがあります。
また、セーフティーバーが備わっているため、限界を超えてウエイトをもち上げられなくなったときでも、途中でバーベルを止めることができます。
高重量を扱う際、フリーウエイトではサポートがいないと危険なこともありますが、スミスマシンなら一人でも安心してトレーニングができるでしょう。
1台でさまざまなエクササイズが可能
マシントレーニングの場合、基本的に1つのマシンでは特定の筋肉しか鍛えることができません。しかしスミスマシンなら、1台で全身のトレーニングを行えます。
姿勢やベンチの角度、プーリーにつけるアタッチメントの角度や種類など、さまざまな組み合わせでトレーニングできるため、大きい筋肉から小さい筋肉まで数多くのエクササイズを行うことができます。
スミスマシンの正しいセットの仕方
初心者でも安全にトレーニングができるスミスマシンですが、正しいやり方でなければ、けがにつながることや、トレーニング効果が出ないこともあります。ここでは、スミスマシンの正しい使い方を解説していきます。
1. エクササイズを行う正しい位置・姿勢を確認する
スミスマシンは動作の軌道が決まっているため、少しの体の位置のズレや姿勢の違いが、目的の筋肉に対する刺激や、動作のしやすさに影響します。立つ位置やベンチの位置など、正しい位置を確認してからはじめるようにしましょう。
2. バーの位置を調整する
次に、バーの位置を、動作をはじめるのに最適な場所にセッティングしましょう。スミスマシンは、バーを固定する場所が細かく設定されています。限界でバーがもち上がらずに潰れたときに、自動でバーが収まるよう、セーフティストッパーを適切な位置に調整しておくのも忘れないようにしましょう。
3. 適切な重さを選択する
最後に、使用するウエイトをバーにセットします。自分の筋力や目的に適した重量を使うようにしましょう
スミスマシンの注意点
スミスマシンは扱いやすい器具ですが、バーのはずし方や戻し方、ストッパーのかかる範囲などをしっかり理解しておかないと、けがにつながるおそれがあります。
とくに初めて使うスミスマシンの場合は、バーの軌道の確認も含め、一度ウエイトをつけない状態で動作をしてみてから、徐々に重量を増やしていくようにしましょう。
スミスマシンを使ったトレーニング5選
実際にスミスマシンを使ったエクササイズを紹介します。今回は大きな筋肉をターゲットとした5つのエクササイズを選びましたので、参考にしてください。
大胸筋を刺激する「スミスマシンベンチプレス」
2.バーを握る手幅は、肩幅よりも握りこぶし2個分ほど広めにし、バーのロックをはずして、肘を伸ばします。
3.肘を曲げ、バーを下していきます。動作中、肘は横に開き、肘の真上に手首がくるようにしましょう。
4.下せるところまで下ろしたら、肘を伸ばして元の姿勢に戻ります。
5. この動作を繰り返し行います。
ベンチの角度を変えると、大胸筋上部を鍛える「インクラインベンチプレス」や、大胸筋下部を鍛える「デクラインベンチプレス」を行うこともできます。ベンチの角度を変える場合は、その都度、ベンチの位置を調整しましょう。
通常のベンチプレスのやり方が気になる方は「ベンチプレスのフォームを正しく習得するポイントを詳しく解説」の記事を参考にしてください。
三角筋を刺激する「スミスマシンショルダープレス」
2.バーをもち上げたら、肘を曲げながらゆっくりバーを下していきます。バーは頭の後ろを通すようにすると良いでしょう。
3.肘の角度が90度になるまで下げたら、肘を伸ばしてバーをもち上げていきます。
4.この動作を繰り返し行います。
ショルダープレスは座って行うこともできます。座ることで反動が使いにくくなります。高重量を扱う際は、座って行うことで体が安定し、安全性が高くなります。
肩をトレーニングしたい方は「肩を大きくする筋トレメニュー6選|鍛え方のコツについても解説」の記事も参考にしてください。
広背筋を刺激する「スミスマシンベントオーバーロウ」
2.足を肩幅程度に広げ、軽くひざを曲げてバーの前に立ちます。腰を少し反らせて胸を張り、上体を前に傾けた姿勢でバーを握ります。このとき、手幅は太腿の外側より握りこぶし1個分ほど外に開いておきましょう。
3.姿勢を変えずに、肘を曲げていきバーを引いていきます。このとき、肩甲骨を寄せるように意識すると良いでしょう。
4.もち上げられるところまでもち上げたら、バーを下ろしていき元の姿勢に戻ります。
5.この動作を繰り返し行います。
ベントオーバーロウを行う場合は、バーの軌道に気を付けましょう。バーが胸側によってしまうと、広背筋から刺激が逃げてしまうので、おへそのほうへ引けるように、バーの軌道を確認してからはじめてください。
通常のベントオーバーロウのやり方は「広背筋のおすすめ筋トレ方法は?背中を鍛えるメリットやセットで鍛えたい筋肉も解説」の記事で紹介しています。
大腿四頭筋・ハムストリングス・大臀筋を刺激する「スミスマシンスクワット」
2.バーを握って肩に担ぎ、胸を張った姿勢を保ちながら、股関節とひざを曲げてゆっくり体を下していきましょう。
3.太腿が床と平行になるまで体を下ろしたら、股関節とひざを伸ばして元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返し行います。
スミスマシンでスクワットを行う場合、立つ位置が悪いと上体が大きく前傾してしまったり、ひざが前に出てしまったりと、姿勢がくずれやすくなります。
姿勢が適切でないまま動作を行うと、腰やひざなどの関節に負担がかかってしまうので注意しましょう。
通常のスクワットの正しいやり方は「スクワットの正しいやり方は?姿勢や動作を徹底解説!」の記事を参考にしてください。
大腿四頭筋・大臀筋を刺激する「スミスマシンランジ」
2.バーを握って両肩に担いだら、股関節とひざを曲げながらゆっくり体を下していきます。このとき、胸を張って上体をまっすぐにしたまま、体を下していくように意識しましょう。
3.前脚のひざの角度が90度になったら、股関節とひざを伸ばしていき元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返し行います。反対側も同様に行いましょう。
ランジも立つ位置が重要です。ひざを曲げたときに、前脚のひざがつま先よりも前に出ない位置で立つようにしましょう。
通常のランジのやり方は「ランジ筋トレとは?効果や正しいやり方について徹底解説!」の記事をチェックしてみてください。
まとめ
今回はスミスマシンについて解説しました。いままでスミスマシンの使い方がわからず敬遠していた人でも、スミスマシンのメリットや正しい使い方を理解すれば、不安なくスミスマシンを活用することができるでしょう。
スミスマシンは、安全で効果的なトレーニングができるマシンの1つです。スミスマシンを利用してトレーニングの幅を広げ、理想の体づくりに活用していきましょう!
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和田 拓巳
スポーツ選手やオリンピック候補選手、アーティストのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。
医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会もしており、講師業にも力を入れている。テレビや雑誌など各種メディアに出演およびトレーニング監修を行う。
著書に「見るだけ筋トレ」(青春出版社)がある。
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