【動くのが怖い方必見】ぎっくり腰を楽にするストレッチ&再発予防法を解説!
公開日:2025.03.06
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「ぎっくり腰になった時はどうしたら良いの?」「即効性のあるストレッチなどの対処法はないの?」とお悩みではないでしょうか。ぎっくり腰になってからすぐの時期は、痛みで動けないかもしれません。しかし、過度な安静はかえって回復を遅くすると言われています。そこで当記事では、ぎっくり腰になった時の対処法やストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。
ぎっくり腰とは?
いわゆる「ぎっくり腰」は、急に起こった強い腰の痛み(腰痛)を指します。一般的に用いられている名称(通称)で、病名や診断名ではありません。1)
正式には、「急性腰痛症」や「腰椎捻挫」と言います。
基本的には、重い物を持ち上げたり動かした際などに許容以上の負荷が掛かることで起こります。その損傷部位は関節や軟骨、筋肉や腱など様々です。
しかし中には、ぎっくり腰だと思っていても椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの病気(疾患)の可能性もあります。
ぎっくり腰になった時の対処法
痛みが強い場合は、まずは安静にしましょう。しかし長期的な安静は回復を遅らせるとガイドラインでも言われていますので、状態に合わせて活動を再開することが望ましいです。2)具体的にどのように対処していくと良いのかさらに詳しく解説していきます。
我慢できない痛みがある場合は整形外科を受診
我慢できない程の強い痛みがある場合は、ぎっくり腰ではなく他の疾患を併発している場合もあります。そのため、悪化を予防するためにも整形外科の受診を推奨します。特にしびれや力が入らないなどの症状がある場合は、早急に受診をしましょう。
3日以上は安静にしない
基本的に、発症してから2〜3日程度は炎症が起こっている可能性があります。しかし3日ほど経過し、痛みが軽減してきたら過度な安静は避け、活動を再開しましょう。
もしまだ痛みがある場合は、痛みのある部位を冷やすと炎症の早期改善に繋がります。もしコルセットをした方が楽になるのであれば、一時的に装着しても良いでしょう。
痛みが治ってきたら運動やストレッチを行う
1週間ほど経過し痛みが軽減してきたら、再発予防に向けて運動やストレッチを行うことをおすすめします。
背中や腿裏の筋肉の硬さ、お腹周りの筋肉の弱さに対して行うことで、腰への負担を軽減します。具体的な方法を下記で解説していきます。
ぎっくり腰の痛みを和らげるストレッチ&再発予防エクササイズを紹介!
それでは実際に、ぎっくり腰の後におすすめなストレッチ&エクササイズを紹介します。痛みの出ない範囲で行うことがポイントです。呼吸を止めないようにリラックスしながら行ってみましょう。
チャイルドポーズ
MRIを用いた研究では、腰痛患者の横隔膜は、健常者に比べ薄く、呼吸のテンポが早いことがわかっています。3)横隔膜は、呼吸に関わる主要な筋肉です。特に多くの方は後面に呼吸が入りにくく、横隔膜の動きが制限されるため、背中に呼吸を入れ横隔膜を動かしていきましょう。
⒈正座になります。
⒉前に身体を倒して、手を頭の下にいれます。
⒊背中側に空気を入れる意識で、呼吸をしましょう。
キャットアンドカウ
背骨の筋肉をストレッチしたり、血流を促進させていきます。さらにお腹の筋肉も使っていくことができますので、再発予防エクササイズの準備としても効果的です。
⒈四つ這いになります。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。
⒉息を吐きながら背骨を丸めます。
⒊次に息を吸いながら、背骨を反らしましょう。
⒋繰り返し行いましょう。
ショルダーブリッジ
腰痛の方は多裂筋がうまく機能していないケースがあります。このエクササイズでは、背骨を一つずつ細かく動かすことで、多裂筋を伸ばしながら使っていくことができます。
さらにお腹の筋肉や骨盤底筋(骨盤の底を支える筋肉)なども鍛えることができるので、腹部を安定させて再発予防にも繋がります。
⒈仰向けになり、足の幅は拳1個分にしましょう。
⒉骨盤を自分の方に傾けます。
⒊背骨が少しずつ床から離れるように、お尻を上げていきましょう。
ハムストリングスストレッチ
ハムストリングス(腿裏の筋肉)のストレッチを紹介します。ハムストリングスは骨盤を後傾させる(後ろに傾ける)ため、硬くなることで腰椎や仙腸関節のストレスに影響します。
腿裏を伸ばす時に、前屈をしてストレッチする方法をされる方が多いと思います。しかし中には腰を丸めて、背骨のストレッチになっている方もいらっしゃいます。そのため腸腰筋を使いながら股関節をしっかりと引き込み、腿裏を伸ばすことがおすすめです。
⒈膝を曲げ、お尻を後ろに向かって突き出します。
⒉手はテーブルやローラーなどを支えるか、前習えの状態にしましょう。
⒊股関節を引き込んだ状態のまま、ゆっくり膝を伸ばします。
クロスエクステンション
次に、腹部を安定させるためのエクササイズを紹介します。多裂筋(腰痛の方で弱くなっていることの多い筋肉)も使うことができるため再発予防におすすめなエクササイズです。
⒈四つ這いになります。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。
⒉右手、左足を伸ばします。
⒊身体が倒れないように維持しましょう。
ハンドレッド
次に、腹部の安定と腰椎の安定性に関わる腸腰筋を使っていきましょう。負荷が高いエクササイズなので、これまで紹介したものができた方はチャレンジしてみてください。
⒈仰向けになり、膝・股関節は90度にセットします。
⒉鳩尾あたりから上体を起こします。腰の下は手の平一枚分をキープしましょう。
⒊できる方はそのまま姿勢を維持し、手を上下に細かく動かしましょう。
※足の間にピラティスリングやティッシュボックスなどを挟むと、内腿の筋肉や骨盤底筋なども使うことができます。
まとめ
今回はぎっくり腰になった際の対処法やストレッチ方法について解説しました。
ぎっくり腰は基本的にしばらくすれば回復する症状ですが、一度なった方は再発しやすいのも事実です。回復を早めるためには、過度に安静を取らない方が良いとも言われます。
そのため、ぎっくり腰になったら痛みの程度に合わせて少しずつ動いていくことをおすすめします。
ぜひ当記事を参考に、あなたのぎっくり腰が楽になれば幸いです。
参考文献
1)日本整形外科学会
2)Federal Clinical Practice Guideline, Acute Low Back Problems in Adults
3)Vostatek P, Novák D, Rychnovský T, Rychnovská S. : Diaphragm postural function analysis using magnetic resonance imaging. PLoS One, 8 (3) : e56724, 2013.

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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