【筋肉別】ガチガチなお尻をほぐすストレッチ方法を解剖学的に解説!
公開日:2025.03.04
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「お尻が硬いのでストレッチの方法を知りたい」「効果が出るようにするにはどうしたら良いの?」とお悩みではないでしょうか。お尻と言っても筋肉は沢山あります。そして各筋肉によって付いている場所が異なるため、なんとなくやっているだけではしっかり伸びていないことも。そこで当記事では、お尻の筋肉を解剖学的に解説し、各筋肉ごとにストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。
お尻の筋肉にはどんなものがあるの?
お尻の筋肉と言っても、実は一つの筋肉ではなく大きく分けて四つの筋肉が集まっています。さらに細かく分けていくと、九つも筋肉があるのです。そのため、まずはお尻の筋肉にどのようなものがあるのか解説していきます。
大殿筋
大殿筋は、最も大きく表側にある筋肉です。股関節を後ろに引いたり(伸展させたり)、太ももを外にねじる(外旋させる)働きを持ちます。
さらに大殿筋は大きな筋肉なので、働きで上部と下部に分かれます。上部は太ももを外に開く(股関節を外転させる)働きがあり、下部は太ももを内側に閉じる(股関節を内転させる)働きがあるのです。
日常生活の中では、歩いたり階段を昇る際に、重要な役割を果たすため重要な筋肉です。
また大殿筋は骨盤の後方についている筋肉なので、骨盤の傾きに影響を受ける筋肉です。骨盤が前傾位であれば大殿筋は弱化、骨盤後傾位であれば短縮傾向にあります。
中殿筋
中殿筋は、骨盤の外側にある扇形の筋肉です。太ももを外に開く(股関節外転させる)働きがあります。
さらに中殿筋は、前方と後方に分かれます。前方は太ももを内側にひねる動き(股関節内旋動作)と、曲げる動き(屈曲動作)を行い、後方は太ももを外側にひねる動き(股関節外旋動作)と、後ろへ反らす(伸展動作)を行うのです。
側方の安定性を保つために重要な筋肉であるため、安定した歩行や片足立ちに関わります。
小殿筋
小殿筋は、お尻の奥にある筋肉です。深層にあり、比較的小さな筋肉です。中殿筋と同様に前方と後方に分かれ、運動方向もそれぞれ同じ方向です。
太ももの骨(大腿骨)を、骨盤に引きつけ安定させる働きを持ちます。
小殿筋は、股関節の関節包(周りを覆っている組織)に付着するため、硬くなると股関節の詰まり感に繋がるケースもあります。
外旋六筋
外旋六筋は、股関節を外旋させる(太ももを外に回す)筋肉です。梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋の六つの筋肉を合わせて外旋六筋と言います。
多くの方は梨状筋と上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋の間に坐骨神経が走っているため、それらの筋肉が緊張することで坐骨神経痛に繋がるケースもあるのです。
【筋肉別】お尻のストレッチを徹底解説!
それでは実際にお尻のストレッチを解説します。解剖学的により重点的に伸びるようなストレッチ方法を紹介しますので、できる方はぜひすべて取り組んでみてください。
大殿筋ストレッチ
まずは大殿筋のストレッチを解説します。大殿筋は胸腰筋膜と呼ばれる筋膜を介し、さらに反対側の広背筋との繋がりがあると言われています。そのため背中の斜めのラインを意識して伸ばしていくと、伸張感が増加するのです。走行を意識しながら行ってみましょう。
⒈四つ這いから右足を一歩前に出し、スネを横に倒します。
⒉左手を右前に伸ばしましょう。
⒊ねじるようにしながらお尻の筋肉を伸ばします。
中殿筋・小殿筋ストレッチ
次に中殿筋と小殿筋はほぼ同じ走行をしているため、同時にストレッチを行います。
中殿筋と小殿筋は、股関節の内転、屈曲、外旋または内転、伸展、内旋で伸張します。ここでは、股関節の内転、屈曲、外旋の動作でストレッチをしていきましょう。
⒈右足を左足の上に乗せ、組み合わせます。できる方は膝を曲げましょう。
⒉さらに可能であれば右手を右膝に当て、左下へ押しましょう。
⒊姿勢を維持し、お尻が伸びているのを感じましょう。
股関節外旋筋ストレッチ
次に股関節外旋筋をストレッチします。外旋筋は収縮すると股関節が外旋するため、反対の動きを行うことで伸張されます。よって股関節内旋方向にストレッチをしていきましょう。
⒈膝を曲げて座りましょう。手はお尻の後ろにつきます。
⒉膝を内向き、外向きにパタパタと倒します。股関節から動かす意識で行いましょう。
⒊繰り返し実施します。
梨状筋ストレッチ
梨状筋は本来であれば、股関節外旋筋ですので、股関節を内旋させた時に伸ばされます。しかし股関節屈曲60以上になると、作用が逆転し内旋作用を持つのです。よって股関節を60度以上屈曲させ、外旋させると梨状筋が伸張します。
⒈座った姿勢で、右足を左足の上に乗せましょう。
⒉背筋を伸ばし、股関節から身体を前に傾けます。
⒊元の姿勢に戻り、繰り返し行いましょう。
お尻の筋肉をストレッチすることで得られるメリット
ここまでお尻の筋肉について解説をしてきました。最後に、ストレッチをすることでどんなメリットが得られるのか解説します。
姿勢やアライメントの改善に繋がる
お尻の筋肉が短縮することは、骨盤の向きに関わるため、姿勢にも大きな影響を与えます。よってストレッチを取り入れ、骨盤の向きを調整することで、姿勢や骨格のアライメントを整えることにも繋がるでしょう。
また止まっている時だけでなく、動作中の姿勢にもお尻の筋肉は大きく関わります。特にスポーツをする方などは、お尻の筋肉は大きな影響を及ぼしますので、しっかり整えていけるとパフォーマンスの向上や怪我の予防にも繋がります。
美脚や美尻に繋がる
お尻の筋肉をストレッチすることで、骨の位置が整う場合があります。その結果、骨格ラインが綺麗になったり筋肉の使い方が整い、美脚や美尻に繋がることもあるのです。
さらにストレッチをすることで血流が促進され、浮腫みが解消し脚痩せ効果を発揮するケースもあります。
またお尻の筋肉(特に大殿筋)は大きな筋肉ですので、ストレッチだけでなく鍛えることでメリハリのある体に繋がるのです。
坐骨神経痛の予防・軽減
坐骨神経痛の要因の一つに、梨状筋症候群があります。梨状筋の緊張が高まることで、坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす症状です。よって梨状筋をストレッチすることで、症状の予防や軽減に繋がるケースがあります。
ただし梨状筋が硬くなっていることにも理由がありますので、根本的な解決をする場合には、他の筋肉も同時に整えていく必要があります。現在、痛みのある方はぜひ近くの専門家にご相談ください。
まとめ
今回はお尻のストレッチ方法について解剖学的に解説をしていきました。お尻には大殿筋、中殿筋、小殿筋、股関節外旋筋とたくさんの筋肉があります。そして、日常生活を送る上でも重要な筋肉ばかりです。
お尻の筋肉は、普段からデスクワークが多かったり、運動不足などで硬くなっている方がほとんどです。そのため、ぜひ当記事を参考にしてお尻のストレッチを日常的に取り入れていただけますと幸いです。

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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