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【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

公開日:2025.03.05

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)

「筋トレをしていて広背筋が筋肉痛になる」「広背筋をストレッチした方が良いと聞いたことがあるけど、実際どうしたら良いの」とお悩みではないでしょうか。広背筋は、背中の大きな筋肉です。

筋トレをする方だけでなく普段からデスクワークが多かったり、運動不足の方は硬くなっていることが多い筋肉でもあります。

広背筋が硬くなることで、巻き肩や腰痛に繋がることも。そこで当記事では、広背筋を解剖学的に解説し、自宅でも行えるストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。

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まずは広背筋の場所と役割を解説!

広背筋(こうはいきん)は背中にある大きな筋肉で、いくつかに付着部を持ちます。ストレッチをするためにも筋肉の走行や役割は重要ですので、詳しく見ていきましょう。

広背筋の場所

まず広背筋の付着部を見ていきます。起始とは筋肉が付着するスタート地点で、停止はゴール地点を指します。

起始
・Th6〜12棘突起
・腰仙椎棘突起
・腸骨稜
・下部肋骨
・肩甲骨下角
停止
・上腕骨小結節稜

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

広背筋の作用・役割

次に広背筋がどのような作用をもたらすのか見ていきましょう。

主に広背筋は、
・脇を閉める動き(肩関節内転)
・肩を内に捻る動き(肩関節内旋)
・手を後ろに引く動き(肩関節伸展)

上記の動きに作用します。
そして大円筋や大胸筋と呼ばれる筋肉ともに働くのです。

また上肢が固定された状況では、骨盤を引き上げる働きもあります。

広背筋が硬いとどんな影響があるの?

広背筋の硬さは、私たちの体に様々な悪影響を及ぼします。姿勢や骨格のアイラメント(位置)を乱すだけでなく、日常生活動作の制限や慢性的な痛みにも繋がりかねません。

特に現代ではスマートフォンの使用や長時間のデスクワークなどによる姿勢の悪化が、広背筋の硬さに関わっているケースが散見されます。それでは、具体的にどのような影響があるのか見ていきましょう。

巻き肩を引き起こす

広背筋は肩関節を内旋させる作用があるため、巻き肩を引き起こす可能性があります。特に下記のような方は注意が必要です。

筋トレ愛好者

ジムで筋トレをされている方は、広背筋を鍛えることが多いと思います。しかし過度に鍛えることで、巻き肩を引き起こしていることもあるのです。

そのため、広背筋は鍛えるばかりではなく、ストレッチも合わせて行うなどバランスを保つことをおすすめします。

デスクワーカー

普段から長時間に渡りデスクワークをする方は、タイピングをする際に肩が常に内旋しているでしょう。そのため広背筋が硬くなり、さらに巻き肩を助長しているかもしれません。

姿勢が悪くなる

広背筋は、胸椎〜腰椎・肋骨下部と広範囲に付着しています。そのため硬くなることで、下記のような影響を及ぼす可能性があります。

肋骨の位置異常

理想的な姿勢では、横から見た際に肋骨と骨盤が縦一直線上に位置しています。これは力学的に最も効率的で負荷の少ない状態です。

しかし、広背筋が硬くなることで、肋骨が外に開き(外旋し)やすくなります。その結果、骨盤に対して肋骨が前方に出た状態になります。この肋骨の開きは、肋骨に付着する横隔膜や腹筋群などの機能低下を引き起こす可能性があります。

インナーユニットを始めとする肋骨に付着する筋肉が十分に機能しないと、体幹部や骨盤の安定性低下を招くため、姿勢悪化に繋がるのです。

脊柱の位置異常

広背筋は胸椎〜腰椎と脊柱の広範囲に付着します。そのため硬くなっている部位の脊柱を反らしすぎてしまうことも。また広背筋の硬さに左右差がある場合には、脊柱が側屈するケースもあります。

肩甲骨の位置異常

広背筋は肩甲骨の下部にも付着します。そのため広背筋が短縮することで、肩甲骨は下方回旋(肩甲骨の下方が内側に向く)、下制(下がる)、内転(内側に閉じる)します。

その結果、肩が下がりなで肩になったり、胸を反らしすぎてしまう(胸椎のフラット化)などの影響を及ぼします。

腰痛や肩の痛みを引き起こす可能性がある

複数の研究データから、広背筋の硬さと腰痛は関係があると言われています。広背筋が緊張することで、脊柱のアライメント(位置)が変化するため、腰椎にストレスが掛かっている可能性があるのです。

さらに広背筋と大殿筋が協調的に働くことで骨盤(仙腸関節)を安定させます。しかし腹横筋など体幹部のインナーマッスルが十分に機能していないなどの理由で、動作中に広背筋が過剰に収縮する場合には、反対側の大殿筋ではなく、広背筋の近くを通る脊柱起立筋が過剰に収縮し腰痛に繋がることもあるのです。

また広背筋の硬さは、肩甲骨や肩関節の位置にも関係するため、肩の痛みを引き起こす可能性もあります。

【要確認】広背筋のセルフチェック方法

それでは実際にあなたの広背筋が本当に硬くなっているのかチェックする方法を紹介します。ご自宅などでも簡単に行えるセルフチェックです。

どれか一つのテストで確定出来る訳ではありませんが、当てはまるものが多いほど広背筋が硬くなっている可能性が高まります。また左右で差があるケースもありますので、ストレッチを行う前に確認していきましょう。

広背筋テスト1

まずは広背筋の長さが短縮しているか見ていきます。

⒈胸の前で両肘を合わせます。手から肘まですべて離れないようにしましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒉両腕が離れないように、肘を上に上げていきます。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒊この時、肘が離れるようであれば、広背筋が硬くなっていることが疑われます。

広背筋テスト2

次は、広背筋の長さに左右差があるか見ていきます。

⒈肘を伸ばしたまま、胸の前で両手を合わせます。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒉手を合わせたまま、体を捻りましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒊左右両方でそれぞれ行います。

⒋右に捻る際に制限がある場合は、左の広背筋、左に捻る際に制限がある場合は、右の広背筋が硬くなっている可能性があります。

もし左右どちらかが硬くなっている方は、硬くなっている側を重点的にケアしていきましょう。

腕を上げた時のポジションを確認

最後に、代償動作を見ていきます。広背筋が硬くなっているケースでは、下記のような代償動作を伴う可能性があります。

⒈座った状態から、手を上に持ち上げましょう。

⒉この際、下記に当てはまる場合は広背筋が硬くなっている可能性があります。
・腕が外に開く

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

・肘が曲がる

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

・腰が反り、肋骨が開く

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

【自宅でできる】広背筋のストレッチを解説!

それでは次に、広背筋が短縮している方におすすめなストレッチを紹介します。自宅でも行えるものばかりですので、ぜひ写真を確認しながら一緒に行ってみてください。

座ってできるストレッチ1

まずは、座ってできるストレッチです。

⒈右足を前、左足を横にして横座りになりましょう。右足と左足を結ぶと90°になります。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒉左手を持ち上げ、体を右に倒しましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒊さらにできる方は、右脇に左手を通し、遠くへ伸ばします。左の広背筋〜右の大臀筋(お尻の筋肉)が伸ばされます。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒋反対も同様に行いましょう。

座ってできるストレッチ2

⒈両足を前に伸ばして、長座の姿勢になりましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒉背骨を丸めていきます。意識できる方は上の背骨から順番に、1〜2cmずつ動いていくのをイメージしながら行います。お腹は潰れないように、上に伸びながら行ってみましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒊両手の親指を下向きにし、右手は後ろ、左手は右足に向かって伸ばします。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒋体を捻っていきましょう。

⒌反対も同様に行います。

四つ這いで行うストレッチ

⒈四つ這いになり、両肘をつきましょう。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒉右手の親指を上に向け、左手の前に置きます。

【簡単にできる】広背筋ストレッチ&セルフチェック方法を解説!

⒊指先は左斜め前に伸ばしながら、お尻は右後ろに下げます。

⒋手とお尻で伸び合うようにしながら、広背筋を伸ばしましょう。

まとめ

今回は自宅で簡単に行える広背筋のストレッチとセルフチェック方法を紹介しました。広背筋の硬さは姿勢にも影響を与えますし、さらには痛みを引き起こす可能性もあります。現代人の多くがデスクワークやスマホの使用などの影響から硬くなっていることが多いです。そのため、当記事を参考にしながらストレッチを取り入れていただき、あなたの健康な身体を維持するためにお役に立てれば幸いです。

服部恵実

服部 恵実

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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