【お尻ガチガチ解消】梨状筋ストレッチ&トレーニング方法を解説!
公開日:2025.03.06 更新日:2025.03.27
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「お尻がガチガチでいつも硬い」「お尻や腿裏が痺れる」「梨状筋をストレッチした方が良いと言われたけど、方法がわからない」とお悩みではないでしょうか。
梨状筋はお尻にある筋肉で、股関節の動きに関わります。骨盤から太ももにかけて走っている筋肉なので、骨盤と股関節のポジションにも関わります。
普段から座っている時間が長かったり、運動不足の方は硬くなっていることが多い筋肉です。梨状筋が硬くなることで、坐骨神経痛に繋がることも。
そこで当記事では、梨状筋を解剖学的に解説し、自宅でも行えるストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。
まずは梨状筋の場所と役割を解説!
梨状筋はお尻にある筋肉で、深層にあります。大まかに説明をすると、骨盤から大腿骨(太ももの骨)に掛けて走っている筋肉です。さらに詳しい筋肉の走行を理解することで、ストレッチの効果も高まりますので、下記で見ていきましょう。
梨状筋の場所
まず梨状筋の付着部を見ていきます。起始とは筋肉が付着するスタート地点で、停止はゴール地点を指します。
・仙骨前面
・S2-4仙骨孔の間
・大坐骨切痕
・大転子内側
梨状筋は単独のパターンが多いですが、中には他のお尻の筋肉(内閉鎖筋や上双子筋、中臀筋)と連結していることもあります。
梨状筋の作用・役割
梨状筋は、股関節外旋(太ももを外にねじる)・外転(太ももを外に開く)作用を持ちます。
ただし、股関節60〜90°屈曲位では内旋作用に変わるため、ストレッチをする際には知っておきたい内容です。
梨状筋が硬いとどんな影響があるの?
梨状筋は骨盤から股関節に掛けて走行している筋肉です。そのため、骨盤や股関節周りの不調や痛みを引き起こす可能性があります。具体的な影響を下記に解説します。
坐骨神経痛に繋がる可能性
坐骨神経は、脊柱から出て骨盤内を通り、梨状筋の下を通過し、腿裏に向けて走行します。そのため、梨状筋が硬くなると坐骨神経を圧迫するため、お尻や腿裏の痺れを引き起こすのです。これを、梨状筋症候群と言います。
骨盤の左右差を引き起こす可能性
大腿骨と仙骨を結ぶので、左右で梨状筋の硬さが異なる場合には、仙骨を引っ張り、骨盤のアライメントに左右差が生まれることもあります。
骨盤の左右差があることは必ずしもダメという訳ではありませんが、痛みなどの症状に繋がる可能性もありますので、意識しておけると良いでしょう。
股関節の詰まり感
梨状筋を始めとする外旋筋、大臀筋、中臀筋、ハムストリングスなど後方の硬さがあると、大腿骨が前方に押し出される可能性があります。梨状筋単独での影響は小さいですが、他の筋肉と合わせて柔軟性を向上させていけると良いでしょう。
さらに梨状筋は股関節を求心位に保つ働きがあるため、股関節の安定性を高め、負担のないポジションで股関節を動かすためにも整えていく必要があります。
【簡単にできる】梨状筋のストレッチを解説!
それでは、自宅でも簡単に行える梨状筋のストレッチを姿勢別に紹介します。
うつ伏せでできるストレッチ
梨状筋は、うつ伏せで股関節が真っ直ぐ(屈伸0度)の状態では、股関節外旋作用があります。そのため、股関節を内旋方向に動かすことでストレッチ効果があります。
⒈うつ伏せになり、片膝を90度に曲げましょう。
⒉足を内側、外側に倒します。(股関節を内旋、外旋させます。)
⒊少しずつ動いてきたら、足を外に倒し、股関節内旋方向にストレッチをします。
⒋元の姿勢に戻りましょう。
座ってできるストレッチ
次に座ってできるストレッチです。座った状態では、股関節屈曲90度程度となるため、梨状筋は内旋作用を持ちます。そのため、股関節を外旋方向に動かすことでストレッチしていきましょう。
⒈椅子に座り片足を反対の足の上にのせましょう。
⒉背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒します。
⒊お尻の伸びを感じながら行いましょう。
⒋元の姿勢に戻ります。
【梨状筋が硬い方は合わせてやって!】梨状筋トレーニングを解説!
梨状筋が硬い方はストレッチすることで、筋肉のバランスを良い状態に保てる可能性はあります。しかしそもそもなぜ梨状筋が硬くなってしまうのでしょうか。一つの要因としては、骨盤(仙骨と寛骨)が適切なポジションで安定していないため、梨状筋が過度に収縮することで安定性を保とうとしている可能性があります。そのため梨状筋が硬い方は、骨盤の安定性を高めるということを合わせて行うことをおすすめします。
多裂筋トレーニング
骨盤(仙骨)の位置を整える筋肉の一つである「多裂筋(たれつきん)」を鍛えていきます。
⒈うつ伏せになりましょう。
⒉膝を伸ばし、踵を遠くに伸ばす意識で足を持ち上げます。
⒊ズボンの引っかかる腰のラインで、背骨の真横あたりに力が入っていることが理想です。
⒋繰り返し実施しましょう。
ドローイン
骨盤(寛骨)の位置を整える筋肉の一つである「腹横筋(ふくおうきん)」を鍛えていきます。
⒈仰向けで寝ましょう。膝・股関節を曲げます。この時、背中と床の間は手のひら一枚分空けておきましょう。
⒉息を吐きながらお腹を薄くしていきます。
スイミング
⒈まずは四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにセットしましょう。
⒉姿勢をまっすぐに保ったまま、片手を持ち上げて行きましょう。
まとめ
今回は梨状筋のストレッチ方法について解剖学的に解説をしていきました。梨状筋が硬いことで、不調や痛みに繋がっているケースは少なくありません。また梨状筋が硬いことにより、骨盤や股関節のアライメントが悪く、二次的な不調を引き起こしている場合もあります。
そのため、梨状筋のストレッチを行うとともに、硬くならないような土台を作っていくことが重要です。当記事では、梨状筋が硬くなることを予防するためのトレーニングも合わせて解説しました。ぜひ当記事を参考にして梨状筋のコンディショニングを日常的に取り入れていただけますと幸いです。

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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