【大人になっても諦めない】身長を伸ばす秘訣&ストレッチ方法を紹介!
公開日:2025.03.09 更新日:2025.03.27
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「最近、身長が縮んできた気がする」「大人になっても身長を伸ばしたい」とお悩みではないでしょうか。年齢とともに身長が縮むのはしょうがないと思っている方もいるかもしれません。
しかし姿勢や筋骨格を整えることで、身長が伸びた方はたくさんいらっしゃいます。
そこで当記事では、大人になっても身長が伸びる方法を紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。
年齢とともに身長が縮む理由
大人になり年齢を重ねるに連れて、身長が縮んできたと感じる方もいるでしょう。ただ身長が縮んだという事実だけでは大きな問題にはなりませんが、その結果、体の不調や痛みなどの症状に繋がることもあるのです。もちろん個人差はありますが、原因を知り適切な対処をすることで予防できるケースもあります。そのため、まずは加齢とともに身長が縮む理由を解説していきます。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
加齢に伴い身長が低下する理由の一つが骨粗鬆症です。骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症が原因で圧迫骨折や背骨の変形が起こり、身長が縮んでいる可能性はあります。
日本では約1000万人以上の方が骨粗鬆症だと言われており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。特に女性は、閉経後のホルモンバランスの変化によって、骨密度の低下が顕著になります。ちなみに40-70歳代の10年間の脊椎椎体骨折発生率は、男性5.6%、女性9.9%で、椎体骨折の既往歴がある場合にはさらに高率となったと言われているのです。1)
25歳時の身長と比べて4cm以上の身長低下がある場合には、椎体骨折している可能性が高く、椎体骨折のリスクが2.8倍であることも報告されています。2)
加齢による椎間板の水分減少
椎間板は、背骨と背骨の間にありクッションのような働きを持ちます。椎間板は水分を含んでおり、動きに合わせて形を変化させることで衝撃を吸収します。
加齢とともに体内の水分量は減るため、椎間板の水分量も同じく減少します。よって椎間板の水分量が減少した分だけ、身長も低下するのです。
ちなみに重力によって椎間板の水分は少しずつ逃げていくため、朝と比較すると夜では約2cm身長が低くなると言われます。そして寝ている間に水分を再吸収し、また戻るのです。これが朝の方が身長が高い理由です。
不良姿勢
猫背などの不良姿勢は、背骨が丸くなる分だけ身長も低下します。一時的な問題だけでなく不良姿勢が続くことで、さらに脊柱にも圧が加わり、椎間板の水分量減少を助長します。
また不良姿勢では、重力に抵抗する筋肉を使わない状態が続き、背骨を伸ばすことが段々と難しくなっていきます。その結果、さらに身長低下に繋がる可能性があるのです。
O脚
意外かもしれませんが、O脚も身長低下に関わる要因の一つです。本来、真っ直ぐ立っているはずの脚の骨ですが、O脚の方の場合は横に傾いています。そのため、その傾きの分だけ身長が縮んでしまうのです。
さらに年齢を重ねると骨も変形し湾曲することも多く、その場合にはさらに脚の長さが短くなるため身長も低下します。
身長を伸ばす秘訣とは?
では大人になっても身長を伸ばすためにはどのようにしたら良いのでしょうか。具体的なポイントや考え方を解説していきます。
正しい姿勢を理解する
理想的な姿勢とは、全身各部位の力学的負荷が最小になる姿勢と言えます。しかし意外と理想的な姿勢を勘違いされている方が多いのも事実です。具体的なポイントが以下の通りです。
正面から見た時(前額面)
・胸骨柄
・剣状突起
・恥骨結合
・両膝関節の中心
・両内果間の中心
横から見た時(矢状面)
・肩峰
・大転子
・膝蓋骨後面
・外果の2〜5cm前方
抗重力筋を鍛える
人間は直立二足歩行をするため、重力に対して抵抗しながら移動する必要があります。理想的な姿勢を保持するためには、重力に抗する筋肉(抗重力筋)を適切に使えることが重要です。加齢とともに弱くなる方が多く、弱くなると重力に負けて身長が縮んでしまいます。そのために抗重力筋を鍛えることをおすすめします。
代表的な抗重力筋は以下の通りです。
・脊柱(半棘筋、脊柱起立筋)
・体幹深層部(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜)
・腹部(外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋)
・臀部(大臀筋)
・体幹-下肢(腸腰筋)
・大腿(大腿四頭筋、ハムストリングス)
・下腿(下腿三頭筋、前脛骨筋、後脛骨筋)
身長を伸ばすストレッチを解説!
それでは身長を伸ばすストレッチを解説します。理想的な姿勢や骨の位置へ整えるために必要な動きや、重力に抵抗するために必要な筋肉を使います。
胸椎伸展ストレッチ
猫背で胸の背骨が丸まってしまっている方におすすめのストレッチです。
⒈正座になります。
⒉手を床につきましょう。
⒊肘を伸ばしながら胸を引き上げましょう。肩甲骨の間を反っているような意識を持ちながら行います。
⒋元の位置に戻りましょう。
⒌繰り返し行います。
猫背改善トレーニング
猫背で胸の背骨が丸まってしまっている方は、背中の筋肉である「僧帽筋下部」という筋肉が弱くなっていることが多いです。そのためストレッチと合わせてトレーニングも行うと効果的です。頭の位置も整うため、より身長アップに繋がります。
⒈四つ這いになりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。
⒉頭が落ちやすいので、後頭部で天井を押すような意識を持ちます。
⒊右手、左足を上げましょう。肩甲骨の下あたりを使う意識で行います。
⒋反対も同様に行いましょう。
O脚改善トレーニング
O脚も身長が縮む要因の一つでした。脚のラインを整えて、身長アップに繋げましょう。
⒈仰向けに寝て、股関節・膝関節を90度に曲げます。踵同士をくっつけ、つま先の間は拳一個分です。
⒉膝を伸ばして、内腿の間をしっかり着けます。腰が反らないように注意して行いましょう。
⒊ゆっくりと元の位置に戻します。
⒋繰り返し行いましょう。
まとめ
今回は身長を伸ばすストレッチ方法について解説をしていきました。年齢とともに身長が縮んでしまう方が多いと思います。しかし普段の姿勢を意識したり、姿勢を支え重力に抵抗する筋肉を使うことで、予防できる部分もあります。
その予防のための意識は身長を伸ばすだけでなく、背骨を守ることにも繋がるため、腰痛予防などにも効果的です。ぜひ当記事を参考にしていただき、あなたのお悩みを解決し、健康な身体を維持するためにお役に立てれば幸いです。
参考文献
1)中村 利孝:高齢者の脊柱変形と躯幹短縮による生活機能低下の実態の解明と予防法の開発,2006
2)Vogt Tm,Ross PD,Palermo L,et al.Vertebral fracture prevalence among women screened for the Fracture Intevention Trial and a simple clinical tool to screen for undiagnosed vertebral fractures.Fracture Intervention Trial Research Group.Mayo Cline Proc 2000;75:888-96

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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