大腰筋の作用とは?起始・停止や鍛え方、ストレッチの方法を解説
公開日:2025.03.26 更新日:2025.10.01

文:内藤 かいせい(理学療法士)
大腰筋とはどのような筋肉なのか、どのような役割があるのか知りたい方はいませんか?大腰筋は股関節周囲についている筋肉で、動作や姿勢にとって重要な役割を持っています。
この記事では、大腰筋の作用や鍛え方についてご紹介します。どのような筋肉なのかを知ることで、リハビリの質を高めるきっかけとなるでしょう。
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大腰筋とは?

大腰筋とは、股関節の深層についている筋肉です。大腰筋の起始・停止、支配神経は以下のとおりです。
| 起始 | 第12胸椎から第4腰椎の椎体 腰椎の肋骨突起 第12肋骨 |
|---|---|
| 停止 | 大腿骨の小転子 |
| 作用 | 股関節屈曲 |
| 支配神経 | 腰神経叢(T12、L1〜L4) |
このように、大腰筋は体幹と下肢をつなぐ筋肉です。大腰筋は、以下の流れで触診をします。
1. 膝関節を屈曲位にする
2. 腸骨稜の高さで腹直筋の側面から内側へ手を押し込む
3. わずかに股関節を屈曲すると筋収縮が感じられる
ただし、大腰筋はインナーマッスルのため触診が難しく、体型によっては触知が困難となるケースも珍しくありません。
大腰筋の作用
大腰筋にはどのような作用があるのでしょうか。ここでは、具体的な作用について解説します。
股関節の屈曲
大腰筋のおもな作用として、股関節の屈曲があげられます。このような作用から、歩行時に下肢を振り出すために欠かせない筋肉といえるでしょう。大腰筋が活動することで下肢の振り出しが促され、スムーズな歩行につながります。
そのほかにも、階段昇降やスポーツなどのさまざまな動作にも関与しています。大腰筋が衰えると足の振り出しがうまくいかず、歩行時につまずいて転倒する恐れもあるでしょう。
立位姿勢の安定化
大腰筋は上半身と下半身をつなぐ筋肉のため、立位時の安定性にも大きく貢献しています。立位をとって股関節伸展位になると、大腿骨頭が臼蓋から前方へ突出することとなります。しかし、大腰筋は大腿骨頭の前方に走行しているため、骨頭の突出を防ぐ役割をしているのです。
この大腰筋の役割によって体幹の後方への動揺を防ぎ、姿勢の安定化につながっています。このように、大腰筋は比較的小さな筋肉であるものの、股関節の動きや姿勢に大きく関わっています。
大腰筋と腸骨筋の関係性
大腰筋と腸骨筋は独立した筋肉ですが、両方を含めて「腸腰筋」と呼びます。これは、それぞれの筋肉が密接な関係にあるからです。腸骨筋の起始・停止や支配神経などは、以下のとおりです。
| 起始 | 腸骨窩全体 |
|---|---|
| 停止 | 大腿骨の小転子 |
| 作用 | 股関節屈曲、外旋 |
| 支配神経 | 大腿神経(L2〜L4) |
このように、腸骨筋も股関節屈曲に関係する筋肉です。そのため、大腰筋と腸骨筋が共同することで、歩行や階段昇降などの下肢を振り出す動作をスムーズに行えます。
大腰筋に問題が生じた際の影響

大腰筋に問題が生じると、姿勢や動作に大きな影響が現れます。たとえば、筋力が低下すると大腿骨頭の前方突出を制御できず、骨盤後傾による腰椎後弯が起こりやすくなります。大腰筋の可動域が低下している場合、骨盤が前傾位に引っ張られて腰椎前弯の増強につながるのです。
これらは脊椎全体の歪みに発展するため、姿勢の崩れが生じ、バランスの低下や身体の不調をきたす恐れがあります。大腰筋による問題は日常生活の動作にも大きく影響するため、適切なケアと運動が重要です。
大腰筋の鍛え方
大腰筋を鍛えるには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、大腰筋の鍛え方をご紹介します。
もも上げ
気軽に行えるトレーニングとして、もも上げがおすすめです。
1. 立った状態で姿勢をまっすぐにする
2. 必要に応じて手すりや壁に手を添える
3. 太ももをできる限り上げる
4. 左右交互に20回×2〜3セット行う
立った状態でふらつく場合は、座って行ってもかまいません。その場合は、背もたれに背中を寄りかからないようにして行いましょう。
レッグレイズ
レッグレイズは、あお向けになって両足を上げるトレーニングです。大腰筋だけでなく、腹筋も同時に鍛えられます。
1. あお向けになって両足を伸ばす
2. 天井に向かって両足を上げる
3. ゆっくりと両足を下ろす
4. 2〜3の手順を15回×2〜3セット行う
足を床につけずにトレーニングすることで、持続的に腹筋を鍛えられます。
バイシクルクランチ
バイシクルクランチは、あお向けの状態で自転車を漕ぐように足を動かすトレーニングです。腸腰筋以外にも、腹斜筋や腹直筋などの腹筋群を同時に鍛えられます。
1. あお向けになって両手を頭の後ろに組む
2. 股関節と膝を90度に曲げる
3. 右肘と左膝を近づけるように上体をひねる
4. もとに戻り、左肘と右膝を近づけるように上体をひねる
5. 3〜4の手順を20回×2〜3セット行う
大腰筋のストレッチのやり方
大腰筋の柔軟性を高めるためには、ストレッチを行うことが重要です。ここでは、大腰筋のストレッチの方法をご紹介します。
1. あお向けになって両足を伸ばす
2. 両手で片膝を抱えて、胸に近づける
3. できるだけ近づけた状態で20秒ほどキープする
4. 反対の足で行う
1. 膝立ちになって姿勢をまっすぐにする
2. 片膝立ちになる
3. 前に出した足に体重をかけて、重心を前に移動する
4. その状態を20秒ほどキープする
5. 反対の足で行う
大腰筋の役割をおさえておこう
大腰筋は背骨から大腿骨にかけてついており、股関節の屈曲や立位姿勢の維持などの役割があります。大腰筋が衰えたり硬くなったりすると、股関節の動きが悪くなり、動作に支障をきたす恐れがあります。
また、骨盤を正中位に保ちにくくなり、姿勢の歪みにつながるケースもあるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にして、大腰筋に注目したアプローチを行ってみてください。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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