【前屈硬い方必見】身体がぐっと柔らかくなるストレッチを紹介!
公開日:2025.03.04
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「身体がガチガチで前屈ができない」「身体が硬すぎてジムやヨガに行くのも恥ずかしい」と思っているけれど、「これって柔らかくなるの?」「手を床にぺたっとついてみたい」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。前屈が硬い原因は、腿裏が硬いことも挙げられますが、実はそれ以外にも多々あるのです。そこで当記事では、前屈が硬くなる原因とパターン別のストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。
前屈に必要な要素を分解して徹底解説!
「前屈が硬いのは腿裏が硬いからだ」と思っている方も多いでしょう。もちろんそれも間違いではないのですが、実はそれだけではないのです。そのため、まずは前屈に必要な要素を解説していきます。
ハムストリングス(腿裏の筋肉)の柔軟性
そうは言ってもやはり影響が大きいのは、腿裏の筋肉であるハムストリングスです。ハムストリングスは、①半腱様筋(はんけんようきん)、②半膜様筋(はんまくようきん)、③大腿二頭筋(だいたいにとうきん)という三つの筋肉の総称です。
骨盤から膝周辺まで体の後面を走行しているため、短縮すると前屈の制限になります。
下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性
下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、ハムストリングスと同じく後面の筋肉です。①腓腹筋(ひふくきん)、②ヒラメ筋という二つの筋肉を合わせて下腿三頭筋と呼びます。
腓腹筋とハムストリングスは膝裏で交差するように繋がりを持ち、一緒に硬くなることもあります。
大臀筋・股関節外旋筋(お尻の筋肉)の柔軟性
大臀筋、股関節外旋筋はお尻の筋肉です。お尻の筋肉も体の後面に位置するので、硬くなると前屈の制限になることがあります。
脊柱(背骨)の可動性
意外と見落としてしまうのが脊柱(背骨)の可動性です。前屈をする際には、背骨がしなやかに丸くなる(屈曲する)のが理想的です。
背骨の間の関節が硬くなっていて制限になる場合もあれば、背骨周りの筋肉が硬いことが制限となっているケースもあります。
腸腰筋(股関節の筋肉)のコントロール
前屈時に腸腰筋(ちょうようきん)が働くことで、股関節を支点として回転することができます。腸腰筋は腰椎に付着しているので、腰の安定性を高めるためにも重要です。
なぜ前屈が硬くなるの?
前屈の要素はわかったけれど、「なぜ私だけこんなに体が硬いんだろう」「そもそもの原因はなんなの?」と疑問に思いますよね。それでは次に、前屈が硬くなる要因について解説していきます。
長時間の座位姿勢
まず現代人に多いのが、デスクワークなどで長時間に渡り座位姿勢を取っていることが挙げられます。
座っている姿勢では、膝を曲げた状態が続きます。腿裏の筋肉であるハムストリングスが短縮したままの状態ですので伸びにくくなり、前屈をした際に制限となるのです。
さらに背骨を丸めた姿勢で座っている方も多いでしょう。その姿勢では、腸腰筋の機能が低下したり、背骨の柔軟性が低下しやすいのです。
よって普段から座っている時間が長い方は、その生活習慣が前屈を制限している可能性があります。
運動不足
さらに運動不足な方も多いですよね。運動をしないことによって、体の後面の筋肉を伸ばす機会がなく柔軟性が低下していたり、関節の可動域が低下していることもあります。
さらに運動をしないことによって、全身の血流も悪化するため柔軟性を低下させている可能性があります。
ストレス
意外かもしれませんがストレスも、前屈の制限に影響を与えるケースも。
ストレスを感じると自律神経のバランスが乱れます。交感神経(活動的な状態で強く働く神経)が優位になると、無意識のうちに全身の筋肉が緊張します。
さらに呼吸も浅くなることが多く、呼吸の主要筋である横隔膜と関連のある筋肉も同時に硬くなったり、肋骨周辺の筋肉が緊張状態になることもあるのです。
その結果、前屈動作も制限されている可能性があります。
効率的に前屈を深めるストレッチ3選!
それでは前屈を深めるためのストレッチを紹介します。前屈を深める効果だけでなく、怪我や身体の調子を整えることにも繋がりますので、無理のない範囲で行ってみてください。
腿裏ストレッチ
まずは腿裏のストレッチです。ハムストリングスや下腿三頭筋を伸ばします。相反する筋肉(腿の前)を使うことで、効果的に後面をストレッチすることができます。
⒈まずは股関節を曲げ、お尻を後ろに突き出します。手は机や棚、ローラーなどにつきましょう。
⒉ゆっくりと膝を伸ばし、腿裏が伸びるのを感じましょう。
⒊次に膝を曲げ、足首を手で掴みましょう。きつい方は膝の辺りを掴みます。
⒋腿の前を使いながら膝をゆっくりと伸ばします。
⒌腿裏が伸びるのを感じましょう。
ロールオーバー
次に背骨の柔軟性を向上させたり、後面の筋肉をストレッチしていきます。
⒈仰向けに寝て、手は身体の横に伸ばします。
⒉膝を伸ばしたまま、ゆっくりと足を持ち上げていきます。
⒊お尻を持ち上げ、足を頭の方へ持っていきます。
⒋ゆっくりと背骨を一つずつ床に下ろすようにして元の位置まで戻りましょう。
※骨粗鬆症や腰、背骨に持病をお持ちの方は行わないように注意しましょう。
スパインストレッチ
最後に、前屈動作にかなり近い状態でのストレッチを行います。腸腰筋を使いながら、背骨と腿裏をストレッチしていくことがポイントです。
⒈長座の姿勢で座りましょう。骨盤をなるべく起こして座ります。腿裏がきつく骨盤が倒れてしまう方は、少し膝を曲げても大丈夫です。
⒉手を前に伸ばし、背骨を上から順番に丸めていきます。
⒊肩甲骨から手を前に伸ばしていくような意識です。
⒋お腹の下は潰れないよう、おへその前に丸太をイメージし、飛び超えるような意識で行います。
⒌ゆっくりと下から順番に背骨を元の位置まで戻します。
まとめ
今回は前屈を柔らかくするために、前屈に必要な要素やストレッチ方法について解説しました。
前屈が硬い場合には、腿裏をストレッチすることが一番に思い浮かぶかもしれません。しかし、前屈には腿裏のハムストリングス以外にも様々な要素が含まれます。そのため、今までストレッチをしていたけどなかなか柔らかくならなかったという方は、他の部位のストレッチなども行ってみてくださいね。
ぜひ当記事が前屈を柔らかくしたい方のお悩み改善に繋がれば幸いです。

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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