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骨盤底筋群とは?衰えによる影響やトレーニング方法を解説

公開日:2025.03.30

骨盤底筋群とは?衰えによる影響やトレーニング方法を解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

骨盤底筋群とはどのような筋肉なのか、知りたい方はいませんか?骨盤底筋群は骨盤の深層についている筋肉で、内臓を支えたり、排泄をコントロールしたりする役割があります。骨盤底筋群が衰えると生活にさまざまな悪影響をおよぼす恐れがあるため、筋力維持に努めることが重要です。

この記事では、骨盤底筋群の役割や鍛えるための筋トレ方法をご紹介します。この筋肉の知識を深めることで、身体のトラブルを未然に防ぐきっかけとなるでしょう。

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骨盤底筋群とはどこの筋肉?

骨盤底筋群とは?衰えによる影響やトレーニング方法を解説

骨盤底筋群とは、骨盤の内側についている深層の筋肉群のことです。骨盤底筋群は以下の3層で構成されているのが大きな特徴です。

● 第1層:臓側骨盤隔膜
● 第2層:骨盤隔膜
● 第3層:尿生殖隔膜

このうち、2層の骨盤隔膜には肛門挙筋という筋肉があり、これは以下の3種類で構成されています。

● 恥骨尾骨筋
● 恥骨直腸筋
● 腸骨尾骨筋

これらの筋肉は肛門の周囲についており、臓器を支えたり、排泄時に働いたりしています。骨盤底筋群へアプローチする際は、これらの筋肉がおもな対象です。

骨盤底筋群の役割

骨盤底筋群には、どのような役割があるのでしょうか。ここでは、具体的な役割について解説します。

臓器の支持

骨盤底筋群の1つ目の役割は、さまざまな臓器を支えている点です。骨盤底筋群は骨盤の深層で、ハンモックのような形を作っています。そして、そのハンモックの上に子宮や膀胱などの臓器が乗っている状態になっています。

骨盤底筋群が活動することで臓器が下がることなく、正常な位置をキープできるのです。反対に、骨盤底筋群が衰えると臓器をうまく支えられず、子宮や膀胱の機能が低下する恐れがあります。

排尿・排便のコントロール

骨盤底筋群には、尿道や肛門をうまくコントロールし、適切に排尿・排便できるようにする役割があります。具体的には、骨盤底筋群は尿道・肛門の排泄口を開閉する作用があります。これにより適切なタイミングでの排泄が可能です。

トイレに行きたくなったときに我慢できるのは、この骨盤底筋群が関与しているからなのです。しかし、骨盤底筋群が衰えると、この開閉する機能が低下して尿・便失禁をしてしまう恐れがあります。

姿勢の維持

骨盤底筋群は、身体の姿勢を保つための役割も果たしています。骨盤底筋群はインナーマッスルの1つで、以下の筋肉とともに活動しています。

● 腹横筋
● 多裂筋
● 横隔膜

これらの筋肉は体幹を取り囲むようについており、それぞれが協調して働くことで腹圧が高まり、姿勢の安定化につながっているのです。また、骨盤底筋群は速筋(白筋)線維よりも遅筋(速筋)線維の割合が高いといわれています。そのため、長時間の姿勢保持に適した筋肉といえるでしょう。

骨盤底筋群が衰える原因

骨盤底筋群とは?衰えによる影響やトレーニング方法を解説

骨盤底筋群が衰える原因には、以下があげられます。

● 加齢
● 妊娠・出産
● 肥満
● 激しい運動

加齢による筋力低下は、骨盤底筋群が衰える大きな原因の1つです。妊娠・出産時は赤ちゃんの重みが骨盤底筋群にかかり続けるため、筋肉が徐々に伸びて衰えやすくなります。また、肥満になると余分な脂肪が内臓を圧迫して骨盤底筋群に負担をかけやすくなります。

さらに、激しい運動によって腹圧が急激に上昇すると骨盤底筋群に大きな負荷がかかり、その繰り返しによって衰えるケースもあるでしょう。骨盤底筋群が衰えると尿漏れを起こしたり、姿勢が悪くなったりする恐れがあるため、トレーニングによって鍛えることが重要です。

骨盤底筋群の鍛え方

骨盤底筋群を鍛えるためには、どのようなトレーニングを行えばよいのでしょうか。ここでは、骨盤底筋群のトレーニング方法について解説します。

あお向けの状態で行うトレーニング

ここでは、あお向けの状態で行う骨盤底筋群のトレーニングについてご紹介します。

【あお向けで行う骨盤底筋群トレーニングのやり方】
1. あお向けになって両膝を曲げる
2. 両膝をつけたまま、肛門や尿道、膣を締めるようなイメージで5秒程度力を入れる
3. 力を抜く
4. 2〜3の手順を10回繰り返す

お尻を少し持ち上げて行うと、肛門を締めやすくなります。

座った状態で行うトレーニング

ここでは、座った状態で行う骨盤底筋群のトレーニングをご紹介します。

【座って行う骨盤底筋群トレーニングのやり方】
1. イスに深く座って背もたれに寄りかかり、身体をリラックスさせる
2. 座った姿勢のまま、肛門や尿道、膣を締めるようなイメージで5秒程度力を入れる
3. 力を抜く
4. 2〜3の手順を10回繰り返す

座った状態のトレーニングは自宅だけでなく、オフィスや電車内でも行えるので、コツをつかんだら定期的に実施してみましょう。

立った状態で行うトレーニング

ここでは、立った状態で行う骨盤底筋群のトレーニングをご紹介します。

【立って行う骨盤底筋群トレーニングのやり方】
1. イスやテーブルの前に立つ
2. 両手でイスやテーブルを支え、腰や膝を曲げて少し前のめりになる
3. 肛門や尿道、膣を締めるようなイメージで5秒程度力を入れる
4. 力を抜いてリラックスできる姿勢になる
5. 2〜4の手順を10回繰り返す

骨盤底筋群を鍛える際のポイント

骨盤底筋群を効率的に鍛えるためには、いくつかのポイントをおさえたうえで行うことが重要です。ここでは、骨盤底筋群を鍛える際のポイントについて解説します。

呼吸を意識する

骨盤底筋群を効果的に鍛えるためには、呼吸を意識してトレーニングしてみましょう。骨盤底筋群は横隔膜と連動して動く筋肉であり、呼吸にあわせて自然に上下するとされています。呼吸を意識することで横隔膜の運動が促され、それにともなって骨盤底筋群に刺激が入りやすくなります。

トレーニングでは、息を吐きながら骨盤底筋群に力を入れて、力を抜くときに息を吸うことを心がけて行ってみましょう。ただし、呼吸を意識しすぎて力みすぎないように注意してください。

まずは骨盤底筋群の動きを感じやすい体勢行う

トレーニングを行うときに、骨盤底筋群を動かすイメージがつかみにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。その場合は、まずは骨盤底筋群の動きを感じやすい体勢で行ってみましょう。

骨盤底筋群の動きを感じやすい体勢としてあげられるのが、四つ這いです。四つ這いになって頭をお尻よりも低い位置にすることで、内臓が頭部方向へ移動し、骨盤底筋群にかかる重みが軽減されます。この姿勢だと骨盤底筋群を動かしやすくなるので、収縮を感じやすくなります。

骨盤底筋群の動きを覚えてから、先ほど解説したトレーニングを実践してみましょう。

骨盤底筋群を意識しながらアプローチしてみよう

骨盤底筋群には排泄をスムーズにする、姿勢を維持するなどのさまざまな役割がある筋肉群です。骨盤底筋群が衰えると尿失禁してしまう、内臓が下がってしまうなどの悪影響が現れ、生活に支障をきたす恐れがあります。
また、この筋肉群が衰える原因としては、加齢や妊娠・出産などがあげられます。
ぜひ今回の記事を参考にして、骨盤底筋群のアプローチを実践してみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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