脊柱起立筋とは?おもな役割や効率的に鍛える方法をご紹介
公開日:2025.04.09
文:内藤 かいせい(理学療法士)
脊柱起立筋とはどのような筋肉なのか、日常生活でどのような役割があるのか詳しく知りたい方はいませんか?脊柱起立筋は背部中央に走行しており、姿勢の維持に大きく貢献している筋肉です。
この記事では、脊柱起立筋の具体的な役割や筋トレ、ストレッチのやり方をご紹介します。この筋肉の特徴を知ることで、姿勢に関する知識を深められるでしょう。
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脊柱起立筋とはどんな筋肉?
脊柱起立筋は背中に一直線についている筋肉群で、以下の3つの筋肉で構成されています。
・ 最長筋
・ 棘筋
ここでは、それぞれの筋肉の概要についてみていきましょう。
腸肋筋
腸肋筋は、具体的には以下の3つの筋肉に分かれています。
・ 胸腸肋筋
・ 頸腸肋筋
それぞれ作用が若干異なりますが、ここでは全体の起始・停止や支配神経などについてご紹介します。
起始 | 腸骨稜および仙骨後面 第3(4)〜12肋骨の肋骨角上縁 |
---|---|
停止 | 第1〜12肋骨の肋骨角 第4(3)〜7頚椎の横突起の後結節 |
作用 | 両側:脊柱を反らせる、肋骨を引き下げる 片側:同側への体幹の側屈 |
支配神経 | 脊髄神経後枝の外側枝(C8〜L1) |
最長筋
最長筋も腸肋筋のように、以下の3つの筋肉に分かれています。
・ 頸最長筋
・ 頭最長筋
ここではそれぞれの最長筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
起始 |
【胸最長筋】 腸骨稜 仙骨および腰椎の棘突起 【頸最長筋・頭最長筋】 胸椎の横突起 頸椎の関節突起(第6胸椎〜第5頸椎) |
---|---|
停止 |
【胸最長筋】 全腰椎の肋骨突起、副突起 全胸椎の横突起 第3〜5以下の肋骨 【頸最長筋】 第2〜6頸椎の横突起の後結節 【頭最長筋】 側頭骨の乳様突起 |
作用 |
【全体】 両側:脊柱を反らせる、肋骨を引き下げる 片側:同側への体幹の側屈 【頭最長筋】 同側の頭部の側屈 同側の頭部の回旋 |
支配神経 | 脊髄神経後枝の外側枝(C1〜L5) |
棘筋
脊柱起立筋の1つである棘筋の起始・停止や支配神経は、以下の表のとおりです。
起始 |
第2腰椎から第11〜12胸椎の棘突起 |
---|---|
停止 |
第8〜9から第1〜3胸椎の棘突起 |
作用 |
両側:体幹の伸展 片側:同側の体幹の側屈 |
支配神経 | 脊髄神経後枝の内側枝(C2〜Th10) |
脊柱起立筋の役割
背部についている大きな筋肉である脊柱起立筋には、どのような役割があるのでしょうか。ここでは脊柱起立筋の具体的な役割について解説します。
姿勢の維持
脊柱起立筋は、正しい姿勢を維持するための重要な働きをしています。この筋肉は背骨に沿って走っており、体幹を伸展させることがおもな作用です。
そのため、脊柱起立筋が働くことで立位や座位など、さまざまな姿勢で体幹をまっすぐ保つ役割があります。
また、姿勢の維持には腹筋も大きく関わっています。体幹の前後についている脊柱起立筋と腹筋群が協調的に活動することで、うまく姿勢のバランスをとっているのです。
実際に、脊柱起立筋や腹筋群は安静立位でも持続的に活動しているとされています。これらの筋肉が適切に働かないと、体幹をうまく支えられず、姿勢が崩れやすくなってしまいます。
動作のサポート
脊柱起立筋の姿勢を維持する作用は、さまざまな動作のサポートにもつながっています。たとえば、脊柱起立筋は歩行時の立脚期に強く活動するとされています。このことから、脊柱起立筋が動作時に活動することで、姿勢が崩れないようにしていると考えられるのです。
歩行時だけでなく、どのような動作でも共通して活動しているため、姿勢維持に重要な筋肉であることがわかるでしょう。
このように、脊柱起立筋は静的な姿勢維持だけでなく、動的な場面でも重要な働きをしているのです。日常生活での動作の質を高めるためには、この筋肉を適切に維持・強化することが重要です。
脊柱起立筋を鍛える筋トレメニュー
脊柱起立筋を鍛えるためには、どのような筋トレをすべきなのでしょうか。ここでは、脊柱起立筋を鍛える筋トレメニューをご紹介します。
ヒップリフト
ヒップリフトは大殿筋だけでなく、脊柱起立筋も鍛えられるトレーニングです。
【ヒップリフトのやり方】
2. お尻を上げる
3. 股関節が中間位になるまで上げたらゆっくりもとに戻る
4. 2〜3の手順を10〜15回×2〜3セット行う
トレーニングの負荷を高めたい方は、お腹や腰まわりに重りをつけて行ってみましょう。
バックエクステンション
バックエクステンションは、脊柱起立筋をはじめとした背筋全体を鍛えるトレーニングです。
【バックエクステンションのやり方】
2. 背中を反らせて上体を上げる
3. 胸が床から離れたらゆっくりともとに戻る
4. 2〜3の手順を10〜15回×2〜3セット行う
バードドッグ
バードドッグは、四つ這いの状態で手足を伸ばすトレーニングです。
【バードドッグのやり方】
2. 右手と左足を体幹と一直線になるように、まっすぐ伸ばす
3. 伸ばした状態を10秒ほどキープしたらゆっくりともとに戻る
4. 2〜3の手順を左右交互に5〜10セット行う
トレーニング中は背中や腰を曲げたり、手足が徐々に下がったりしないように注意して行いましょう。
脊柱起立筋のストレッチの方法
ここでは脊柱起立筋の柔軟性を高めるためのストレッチの方法についてご紹介します。
【脊柱起立筋のストレッチのやり方:その1】
2. 頭を膝に向かって近づけ、背中を丸める
3. できるだけ丸めた状態を20秒ほどキープする
4. もとに戻る
【脊柱起立筋のストレッチのやり方:その2】
2. 股関節を曲げて両膝を両手で抱える
3. 両膝を胸に近づける
4. できるだけ胸に近づけた状態を20秒ほどキープする
5. もとに戻る
ストレッチ中は呼吸を止めず、リラックスしながら行いましょう。
脊柱起立筋の役割をおさえておこう!
脊柱起立筋は背中についている大きな筋肉で、「腸肋筋・最長筋・棘筋」の3つに分かれています。これらの筋肉は体幹を伸展させる作用があり、姿勢の維持に役立っています。
また安静時だけでなく、動作時にも働くことで、常に姿勢を保っているのです。
脊柱起立筋を鍛えるためには、ピンポイントに刺激を入れられるようなトレーニングが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、脊柱起立筋の役割についておさえておきましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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