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腿裏ストレッチでハムストリングスの柔軟性UP!効果的な方法とコツ

公開日:2025.04.11

腿裏ストレッチでハムストリングスの柔軟性UP!効果的な方法とコツ

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)

「腿裏がガチガチで前屈ができない」「ハムストリングスをストレッチした方がいいらしいけど、どうやってやるの?」とお悩みの方はいらっしゃるのではないでしょうか。

特にデスクワークの方は、一日中座っている姿勢が続くため、腿裏がガチガチになっていることが多いです。

ハムストリングスが硬くなると、姿勢に影響を及ぼしたり、血流が悪化し冷えやすくなります。また最悪の場合、神経を圧迫して痺れに繋がるケースもあります。

そこで当記事では、腿裏の筋肉を柔らかくするストレッチを紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。

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そもそもハムストリングスとは?

そもそもハムストリングスとは?
ハムストリングスは、腿裏にある筋肉で、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)の総称です。

骨盤(坐骨結節)から始まり、大腿骨(太ももの骨)や脛骨(スネの骨)などに付着します。広範囲に渡る筋肉なので、内側ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋)、外側ハムストリングス(大腿二頭筋)と分けて呼ぶことも多いです。

基本的にハムストリングスは、膝を曲げたり、股関節を後ろに反らす役割を持ちます(OKCの場合)。さらに立っている状態(CKCの場合)では、骨盤を後傾(後ろに傾ける動き)させたり、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)と共同的に働き、膝を伸ばす動きにも関与します。

腿裏が硬くなることによるデメリット

腿裏が硬くなることで、姿勢などの見た目への影響だけでなく痛みや不調を引き起こす可能性があります。具体的にどのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

姿勢の悪化

ハムストリングスは体の後ろ側にあり、骨盤から膝下にかけて走行している筋肉です。そのため、筋肉が短縮すると骨盤は後傾しやすく(後ろに倒れやすく)なります。その結果、骨盤が本来の適切な位置からずれるため、姿勢不良に繋がるのです。

また姿勢が悪くなることで、さらにハムストリングスが硬くなるという悪循環に陥るケースも散見します。

血流悪化による冷えや疲労

ハムストリングスが緊張して短縮した状態が続くと、筋肉内の血流が悪化する可能性があります。この血行不良が長期間に渡り継続することで、冷えや慢性的な疲労を引き起こすことも多いです。

痛みや不調

ハムストリングスが硬くなると、その下を通る坐骨神経(ざこつしんけい)と呼ばれる神経が圧迫され、しびれや痛みを引き起こす可能性があります。1)

またハムストリングスが硬いと、腰椎(腰の背骨)に負担がかかり、腰痛に繋がる場合もあるのです。2)

ハムストリングスは長い筋肉で、骨盤から膝下まで走行しているということもあり、体に与える影響も大きいのです。

腿裏を効果的に伸ばすポイント

ハムストリングスの柔軟性を保つことが重要なのはわかりましたね。ただ、そうは言っても「腿裏のストレッチはしているけど、全然柔らかくならない」「うまく伸ばせている気がしないんだけどどうしたら良いの?」という方も多いでしょう。そんな方に向けて、ハムストリングスを効果的に伸ばすポイントを解説します。

骨盤の傾きに注意する

ハムストリングスは、骨盤から付着しています。そのためストレッチをする際には、骨盤が後ろに傾かないようにセットするのが重要です。

さらに詳しくお伝えすると、股関節の前にある腸腰筋(ちょうようきん)を使い骨盤を前傾位で固定し、ハムストリングスをストレッチするとしっかり伸ばすことができます。

股関節から動かす

腿裏のストレッチをしているつもりでも、背骨が曲がっているだけで腿裏が伸びていないというケースはよくあります。背骨や背中のストレッチをしたい場合はそれで良いのですが、ハムストリングスをストレッチしたい場合は、股関節から動かすことを意識してみてくださいね。

膝の向きを使い分ける

ハムストリングスは、内側(半腱様筋、半膜様筋)と外側(大腿二頭筋)で分かれています。走行の違いから内側、外側で役割が異なるため、分けてストレッチをすることもポイントです。

内側ハムストリングスの場合は、股関節を外旋し(太ももを外に捻った状態)、膝関節伸展、股関節屈曲させる(膝を伸ばした状態で股関節を曲げる)とストレッチ効果が高まります。逆に外側ハムストリングスの場合は、股関節を内旋し(太ももを内に捻った状態)、膝関節伸展、股関節屈曲させる(膝を伸ばした状態で股関節を曲げる)と伸張性が高まるのです。

相反抑制を利用する

一方の筋肉を使うことで、逆側の筋肉がリラックスする仕組みを相反抑制(そうはんよくせい)と言います。相反抑制はストレッチをする上でとても重要な仕組みです。

例えば、ハムストリングスをストレッチしたい場合には、拮抗する筋肉である大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)に力を入れます。そうすることで、太ももの後ろ側のハムストリングスがリラックスし、伸ばしやすくなるのです。

【自宅でできる】ハムストリングスのストレッチを紹介!

それでは具体的なストレッチ方法を紹介します。先ほど解説したポイントを抑えながら行ってみてください。

ジャックナイフストレッチ

まずは速攻で前屈が柔らかくなるストレッチを紹介します。相反抑制を利用しますので、太ももの前の大腿四頭筋に力を入れながら、後ろ側のハムストリングスを伸ばしていきましょう。

  1. 1. まずは、立った状態から前屈をしましょう。この時、膝が曲がっても大丈夫です。腰の疾患がある方は注意しましょう。
  2. 2. 足首を持ちます。きつい方は膝裏を持ちましょう。

⒊ゆっくりと膝を伸ばします。腿の前の筋肉を使いながら、腿裏を伸ばします。

台を使ったストレッチ

台やローラーを使ったストレッチを紹介します。腸腰筋を使って股関節を引き込み、骨盤が後ろに倒れないよう意識しながら行うことで、しっかりとハムストリングスが伸びます。

⒈まずは股関節を曲げ、お尻を後ろに突き出します。手は机や棚、ローラーなどにつきましょう。

⒉ゆっくりと膝を伸ばし、腿裏が伸びるのを感じましょう。

⒊腿裏が伸びるのを感じましょう。

ダウンドッグ

最後にヨガのポーズでもあるダウンドッグを紹介します。先ほどと同様に、股関節を引き込みながら腿裏を伸ばすことがポイントです。お尻を高く上げていくと知らずのうちに、腰が丸まっている方がたくさんいらっしゃいます。まずは膝が完全に伸び切らなくても大丈夫ですので、鼠径部(股関節の前面)を折り込むようなイメージで行ってみましょう。

⒈四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。

⒉股関節を引き込むようにお尻を後ろに下げましょう。

⒊ゆっくり膝を浮かして、お尻を天井に向かって引き上げます。腰が丸くならないように意識しましょう。

⒋踵を上げたり下げたりすることでふくらはぎのストレッチも行えます。

まとめ

今回は腿裏のハムストリングスを柔らかくするために、必要なストレッチや効果的に伸ばすポイントについて解説しました。ハムストリングスの解剖学を知ることでより効果的にストレッチをすることができますね。

ハムストリングスが硬くなると姿勢の悪化や運動機能の低下、痛みなどの症状に繋がるリスクもあります。ですが、事実として多くの方が硬くなっています。

そのため、ストレッチを習慣化するなどしてぜひ腿裏を柔らかく保っていただけたらと思います。ぜひ当記事が腿裏を柔らかくしたい方のお悩み改善に繋がれば幸いです。

参考文献
1)Michaud, T. C., & Meyer, A. (2013). Effects of hamstring tightness on sciatic nerve function. Clinical Anatomy, 26(5), 560-568.

2)Cameron, M. H. (2012). Musculoskeletal pain and injury: Muscle tightness and discomfort. Journal of Musculoskeletal Pain, 20(3), 261-267.

服部恵実

服部 恵実

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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