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腕橈骨筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

公開日:2025.04.18

腕橈骨筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

文:加藤 小百合(自律神経専門パーソナルトレーナー)

パソコンやスマートフォンを長時間使うと、痛みや疲れを感じませんか? その原因は「腕橈骨筋(わんとうこつきん)」の緊張や疲労かもしれません。

この筋肉は、たくましい前腕をつくり出すとともに、日常生活やスポーツで重要な役割を果たしています。

本記事では、腕橈骨筋の基本的な情報と、効果的なトレーニング方法やストレッチについて解説します。前腕の痛みや疲れ対策として、ぜひ参考にしてください。

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腕橈骨筋とは?

腕橈骨筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

腕橈骨筋は、肘より上の上腕骨(じょうわんこつ:二の腕の骨)外側から手首の親指近くまで細長く伸びる筋肉です。

スムーズな腕や手の動きと力強さを支え、日常生活やスポーツにおいて重要な役割を果たしています。

腕橈骨筋の位置

腕橈骨筋は前腕の親指側にあります。上腕骨の外側下部から前腕の外側を通って手首近くの橈骨(前腕の親指側の骨)の茎状突起まで伸びている筋肉です。

皮膚に近い位置にあり、腕を曲げると盛り上がるため、触って確認できます。


起始 上腕骨の遠位外側面、外側上腕筋間中隔
停止 橈骨の茎状突起

トレーニングやストレッチで高い効果を得るためには、筋肉がどの骨に付いていて筋肉の繊維がどの方向に走っているかを意識することも大切です。

また、筋肉の下には橈骨神経が通っているので、腕の動きだけでなく手の感覚にも関わります。そのため、腕橈骨筋に問題が起きると手の動きや感覚に影響を及ぼすこともあります。

腕橈骨筋の機能

腕橈骨筋は、腕を動かす際に以下の2つの働きをしています。

肘を曲げる
上腕二頭筋や上腕筋などと連携して、肘を曲げる動作に使われ、働きやすい筋肉は、手のひらの向きによって変わります。

茶碗をもつときのように手のひらが上を向いた状態(前腕回外位)では、主に上腕二頭筋と上腕筋が働き、コップをもつときのように手のひらが内側を向いた状態(前腕中間位)では、腕橈骨筋が強く働きます。

前腕をまわす
腕橈骨筋は、手首を安定させ、前腕をまわす際にも使われています。これは、は、手のひらが上に向いた状態(前腕回外位)や手のひらが下に向いた状態(前腕回内位)から、親指を天井に向ける(前腕中間位に戻す)動作です。

前腕をまわす動作をサポートし、ドアノブをまわす、ペットボトルのキャップを開けるなどの日常動作をスムーズにしています。

このように、腕橈骨筋はスポーツや日常生活のさまざまな動作に関わり、重要な役割を担っているのです。

腕橈骨筋を鍛えるメリットと注意点

腕橈骨筋を鍛える主なメリットは、次の3つです。

・日常生活の動作を改善
・スポーツのパフォーマンス向上
・けがの予防や疲労の軽減

日常生活の動作を改善

物をつかんだり、重い荷物を持ち上げたりする動作で力がはいりやすくなります。また、ドアノブを回したり、ペットボトルのキャップを開けたりする動作がスムーズになります。

スポーツのパフォーマンス向上

野球のバッティング、テニスやゴルフのスイング、腕相撲や格闘技など、腕の力を必要とするスポーツでパフォーマンスが向上しやすくなります。

とくに、腕で体重を支える必要があるクライミングやボルダリングでは、腕橈骨筋の強さは非常に重要です。

けがの予防や疲労の軽減

腕橈骨筋には、腕の位置を維持したり、肘や手首の関節を安定させたりする役割もあるので、けがをしにくくなる効果も期待できます。パソコンを長時間使用していると、手首に負担がかかりますが、腕橈骨筋が発達していると手首をしっかりと支えられるので、疲労の軽減にもつながります。

鍛えすぎに注意!腕橈骨筋トレーニングの注意点

腕橈骨筋を適切に鍛えると、見た目の改善だけでなく、さまざまなメリットがあります。

ただし、スポーツをする方や重い物を扱う作業をする方は、鍛えすぎると逆効果になる可能性があります。トレーニングをする際は、次のことに注意しましょう。

過度なトレーニングを避ける

過度なトレーニングは、手首や肘・肩・首の痛みにつながる危険があります。実施する際には、10回以上行える軽めの負荷で1~3セット、セット間は60秒間以上休憩を取りましょう。

筋肉痛になったら、痛みがあるうちはお休みしてください。週2〜3回程度トレーニングを行えば十分と考えておきましょう。最初は負荷を軽くして、軽いウエイトを使ってはじめましょう。

バランス良く鍛える

肘を曲げるトレーニングで上腕二頭筋や上腕筋などが鍛えられると、肘が伸びにくくなり、巻き肩や猫背につながることがあります。

上腕三頭筋など肘を伸ばすトレーニングも併せて行って、全身をバランス良く鍛えましょう。

正しいフォームで行う

誤ったフォームでトレーニングを実施すると、けがや姿勢の悪化につながりかねません。定期的にトレーニングメニューを見直したり、専門家に見てもらったりして、正しいフォームで行いましょう。

トレーニングの前に、注意点を知っておけば効果的にトレーニングができます。ストレッチなどのセルフケアもあわせて行うと、より良い成果が得られやすくなります。

ライフスタイルやトレーニングの目的に合わせて適切なトレーニングを選択し、継続的に実践しましょう。

腕橈骨筋を鍛える筋トレ3選

腕橈骨筋を効果的に鍛えるためには、適切なトレーニング方法を選ぶことが必要です。ここでは、初心者向けの自宅トレーニングとジムでの効果的なトレーニングを3つ紹介します。

初心者向け・ハンマーカール

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ハンマーカールは、ビールジョッキを持ち上げるように手のひらを内側にして行うトレーニングです。椅子に座って行っても、立って行ってもかまいません。

1. 両手のひらを内側に向け、親指を上にして両手にダンベルをもつ
2. 脇をしめ、親指を上に向けたままダンベルを持ち上げる
3. ゆっくりとダンベルを元の位置に戻す
4. 1~3の手順を繰り返す(10~15回を1~3セット)

ダンベルがない場合はペットボトルを使ってもいいですし、親指を上に向けた拳をつくり、反対の手で手首を上から押さえて負荷をかけながら肘を曲げてもOKです。

肘を曲げるときに息を吐き、伸ばすときに吸いましょう。

ダンベルリバースカール

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「リバースカール」は、ハンマーカールよりも負荷の高いトレーニングです。
ダンベルがない場合はペットボトルを使いましょう。

1. 足を肩幅に開いて立ち、手の甲を前にした状態(順手)でダンベルをもつ(椅子に座って行ってもOK)
2. 肘と手首を固定したまま、ダンベルを持ち上げて1秒間キープする
3. ゆっくりとダンベルを元の位置に戻す
4. 1~3の手順を繰り返す(10~15回を1~3セット)

ダンベルを上げるときに息を吐き、下ろすときに吸いましょう。ジムで行う場合はEZバー(波打つ形のバー)を使ってハの字になるように握ってもOKです。

インクラインハンマーカール

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ジムでより効果的に腕橈骨筋を鍛えたい場合は「インクラインハンマーカール」がおすすめです。
インクラインハンマーカールは、傾斜のあるベンチに横になった状態で行います。肩関節が伸展した状態で上腕二頭筋がストレッチされ、立位よりも広い可動域で鍛えることができます。

1. インクラインベンチを45°に設定して横になる
2. 両手のひらを内側に向け、親指を上にして両手にダンベルをもつ
3. 肘をなるべく動かさずに曲げて、ダンベルを持ち上げ1秒間キープする
4. ゆっくりとダンベルを元の位置に戻す
5. 3〜4を繰り返す(10~15回を1~3セット)

ダンベルを上げるときに息を吐き、下ろすときに吸いましょう。

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腕橈骨筋の柔軟性を高めるストレッチ3選

デスクワークやスマートフォンを使っていて、腕の疲れや重だるさを感じていませんか? 腕橈骨筋は重い荷物をもつときやスポーツのときだけでなく、長時間パソコンで作業したりスマートフォンを使っていたりしても負担がかかる疲れやすい筋肉です。

そこで、自宅でもオフィスでも簡単にできるセルフマッサージとストレッチを紹介します。筋肉の緊張をほぐして疲れを改善し、作業効率を向上させてましょう。

1.腕橈骨筋をほぐすセルフケア

1.左手のひらと親指の腹で右の前腕(肘から手首の間)をつかむ
2.3~5か所前腕を圧迫する位置を変えながら、ドアノブをまわすように右手首をまわす
3.反対の腕も同様に、それぞれ10秒間から20秒間ほど行う

2.デスクワーク中にできる簡単ストレッチ①

1.左腕を前に伸ばして手のひらを上に向け、右手で左手の指をゆっくりと向こう側に倒す
2.20秒~30秒間キープし、2~3回繰り返す
3.反対も同様に行う

3.デスクワーク中にできる簡単ストレッチ②

1.左腕を前に伸ばして手のひらを下に向け、右手で左手の指をゆっくりと手前に引く
2.20秒~30秒間キープし、2~3回繰り返す
3.反対も同様に行う

このストレッチは、仕事の合間に短時間で行えるため、腕の疲れを感じたら気軽に実践できます。

ストレッチをこまめに行うと、デスクワークによる腕の疲れや痛みが軽減され、肩こりや猫背の予防にもなります。

ただし、痛みを感じるほど強く行うのではなく、気持ちよい範囲でゆっくりと伸ばしましょう。呼吸をゆっくり行えば、リラックス効果を高められます。

まとめ

腕橈骨筋のトレーニングやストレッチについて解説しました。筋肉の機能や位置を知ることは、腕の痛みや疲れを軽減する手がかりにもなります。

また、適切なトレーニングやストレッチを行うことは、筋力アップ、日常生活やスポーツでのパフォーマンス向上、けが予防につながります。

筋力トレーニングの効果を最大限発揮させるには、鍛えるだけでなく休養も大切です。ぜひ、この記事を参考に、疲れにくい理想の腕を手に入れてください。

<参考文献>
坂井建雄/松村讓兒(監訳)『プロメテウス解剖学アトラス』2016(医学書院)

加藤 小百合

加藤 小百合

フィットネスクラブ、カルチャーセンター、医療機関などでピラティス、ヨガ、気功、ウォーキング指導など運動指導歴20年以上。鍼灸整骨院と産前産後の整体施術もあわせ、のべ3万人以上をサポート。パーソナル指導のほか企業研修講師として目の疲れ、首・肩こり、腰痛改善セミナーも行う。体も心も整うセルフケアを中心にWebライターとしても活動中。

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