医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

公開日:2025.04.23

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

文:内藤 かいせい(理学療法士)

肩甲骨まわりについている大円筋について、詳しく知りたい方はいませんか?大円筋は肩甲骨から上腕骨についている筋肉で、肩関節の動きに関係しています。

この記事では、大円筋の役割や小円筋との違い、筋トレメニューをご紹介します。どのような筋肉なのかを知ることで、肩関節の動きに関する知識を深められるでしょう。

おすすめ特集

大円筋とはどんな筋肉?

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

大円筋とは、肩甲骨の下角から上腕骨にかけてついている筋肉です。大円筋の起始・停止や支配神経は、以下のとおりです。

起始 肩甲骨の下角部
棘下筋膜下部外面
停止 上腕骨の小結節稜
作用 肩関節内転、内旋、伸展
支配神経 肩甲下神経(C5〜C7)

大円筋は表層の筋肉であり、肩甲骨の下角から上腕骨に向かっている筋腹に触れ、肩関節内旋してもらうと収縮を触知できます。

大円筋の役割

先ほど紹介したように、大円筋のおもな作用は肩関節の「内転・内旋・伸展」です。

動作に関与するだけでなく、大円筋には肩甲骨の安定性を高める役割もあるとされています。この筋肉が働く場面は以下のような、さまざまな動作があげられます。

● 腕を振る
● 目の前のものを引き寄せる
● 両手で荷物を持つ

日常的な動作だけでなく、テニスや水泳などの腕を使用したスポーツでも、大円筋が働く機会は多いでしょう。このような動作をスムーズに行うためにも、大円筋によって関節の安定性を高めつつ、動きをサポートしているのです。

大円筋と小円筋の違い

大円筋に類似した筋肉として、「小円筋」があげられます。ここでは、それぞれの筋肉の違いについて解説します。

小円筋は大円筋とは作用が異なる

小円筋は大円筋の近くについている筋肉ですが、作用が異なります。小円筋の概要について、以下の表にまとめました。

起始 肩甲骨後面の外側縁
停止 上腕骨大結節の下部
上腕骨大結節稜の上端
作用 肩関節外旋
支配神経 肩甲下神経(C5〜C6)

このように、大円筋は肩関節内旋に働く一方で、小円筋は外旋に働くのが特徴です。また、小円筋の起始は大円筋の起始部よりもやや上方についています。

大円筋の起始よりも上部から、上腕骨にかけて走行している筋腹に触れ、肩関節外旋してもらうと収縮を触知可能です。

小円筋は回旋筋腱板を構成する筋肉

小円筋は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)を構成する筋肉の1つです。回旋筋腱板は、以下の筋肉から構成されており、肩関節の周囲を覆うことで安定性を高める役割があります。

● 棘上筋
● 棘下筋
● 小円筋
● 肩甲下筋

肩関節はほかの関節と比較して可動域の自由度が高い分、安定性に乏しい点があります。その低い安定性を補うために、上記の筋腱が関節をサポートしているのです。

とくに野球の投球やテニスなど、肩をよく使用するスポーツでは回旋筋腱板が重要な役割を果たしています。

回旋筋腱板の機能の衰えは、肩関節の安定性が低下して痛みや不安定性を引き起こす原因となります。

大円筋を鍛える筋トレメニュー

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

大円筋を鍛えるには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、おすすめの筋トレメニューをご紹介します。

ダンベルリバースフライ

ダンベルリバースフライとは、ダンベルを持った状態で腕を後方に広げるトレーニングです。ダンベルを持っていない方は、水の入ったペットボトルで代用が可能です。

【ダンベルリバースフライのやり方】

1. 両手でダンベルを持つ
2. 前傾姿勢になる
3. 肘を伸ばしつつ、両手を胸の前でかまえる
4. 肩甲骨を内側に寄せつつ、腕をまっすぐ外側へ開く
5. ゆっくりダンベルを下ろす
6. 4〜5の手順を10〜15回×2〜3セット行う

腕を広げる際は、肘の向きを変えないように注意して行いましょう。

ベントオーバーロー

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

ベントオーバーローとは、前傾姿勢でダンベルやバーベルを身体に引き寄せるトレーニングです。大円筋だけでなく、僧帽筋や広背筋なども鍛えられます。

【ダンベルを使用したベントオーバーローのやり方】

1. 両手でダンベルを持つ
2. 膝を軽く曲げて、前傾姿勢になる
3. 肘を伸ばしつつ、両手を胸の前でかまえる
4. 左右の脇腹に向かって肘を後ろに引きながらダンベルを上げる
5. ゆっくりダンベルを下ろす
6. 4〜5の手順を10〜15回×2〜3セット行う

前傾姿勢中は、背中が丸くならないように注意してください。

懸垂(チンニング)

大円筋の役割は?小円筋との違いやおすすめの筋トレ方法をご紹介

チンニングは懸垂のことで、バーにぶら下がって身体を持ち上げるトレーニングです。大円筋や広背筋だけでなく、腕の筋肉も鍛えられます。

【チンニングのやり方】

1. 逆手(手のひらの向きが後ろ)の状態で懸垂用のバーを握る
2. ぶら下がった状態になる
3. 肘を曲げてバーに身体を近づける
4. 顔のあたりまでバーが近づいたら、ゆっくりともとに戻る
5. 3〜4の手順を5〜10回×2セット行う

チンニングは負荷の高いトレーニングなので、ケガを防ぐためにも無理のない回数で行いましょう。

大円筋のストレッチ方法

ここでは、大円筋のストレッチのやり方について、いくつかの方法をご紹介します。

【大円筋のストレッチ:その1】

1. 姿勢を伸ばしつつ、右腕を真上に上げる
2. 上げた腕の肘を曲げて、手を頭の後ろに回す
3. 左手で肘を持ち、頭のほうに引き寄せる
4. 体幹を左に側屈させて、その状態を20秒ほどキープする

【大円筋のストレッチ:その2】

1. 四つ這いになる
2. 両腕を前に伸ばしながら床につける
3. 頭をできるだけ落とした状態を20秒ほどキープする

大円筋の構造や作用をおさえておこう!

大円筋は、肩関節の内旋や内転、伸展などの作用がある筋肉です。その作用から肩の運動だけでなく、関節の安定性を高める役割があるとされています。

そのため、日常生活からスポーツまで、肩関節の運動に関わる動作を行ううえで重要な筋肉といえるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にして、大円筋の知識やアプローチ方法についておさえておきましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

今よりさらに良い環境で働けるよう
キャリアドバイザーが全力でサポートします
\今すぐ1分で完了/

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

他の記事も読む

おすすめ

TOPへ