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大腿筋膜張筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

公開日:2025.04.21

大腿筋膜張筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

文:柴田 太資(トレーニング指導者 大分高校・中学校サッカー部トレーナー)

「脚を細くしたくてトレーニングを始めたのに、思うように効果が出ない」「太ももが細くなるどころか、外側に筋肉がついて太くなった気がする」そんな脚のトレーニングにお悩みの方に、ぜひ取り入れていただきたいのが「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」のトレーニングとストレッチです。

太ももが過剰に太くなるリスクを軽減して、キュッと引き締まった美しい脚を手に入れるためには、大腿筋膜張筋のトレーニングが有効です。

また大腿筋膜張筋は歩行やランニングにも関わりが深く、鍛えることで美しい歩き姿勢を手に入れたり、有酸素運動による脂肪燃焼効果も期待できます。

大腿筋膜張筋のトレーニングとストレッチをマスターして、ボディメイクを成功させましょう。

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大腿筋膜張筋とは

大腿筋膜張筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

大腿筋膜張筋は太ももの上部、外側に位置する筋肉です。歩行やランニング、片足立ちなど、日常の動作に深く関わりがあります。

固くなる、または弱くなることで、O脚やひざの痛みなどのけがのリスクが高まります。

大腿筋膜張筋の位置

骨盤の前方やや外側から太ももの外側に位置する筋肉で、長さは約10〜15cmです。太ももの外側で張脛靭帯(ちょうけいじんたい)に接続し、そのままひざ下の脛骨(けいこつ)まで繋がります。

体の表層にある筋肉で、骨盤の前方、やや外側で触れることができます。

大腿筋膜張筋の機能

大腿筋膜張筋は、股関節を曲げる(屈曲)外側に開く(外転)内側にひねる(内旋)の3つの役割があります。

また大腿筋膜張筋は腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)を介してひざの外側につながるため、股関節だけでなく、ひざの動きや安定性にも関与します。

また大腿筋膜張筋には、歩行やランニングで足を前に出す際に、脚が過剰に外側を向かないように制御する役割があります。美しい歩き姿勢、効率の良いランニングフォームに大変重要な筋肉です。

大腿筋膜張筋を鍛えるメリット

大腿筋膜張筋を鍛えることで、美脚づくりなど美しいボディラインの形成、ランニングなど有酸素運動のパフォーマンスアップの効果が見込めます。

美脚効果

股関節の屈曲や外転の役割を持つ大腿筋膜張筋が弱くなると、太もものシルエットが太くなる傾向があります。

大腿筋膜張筋が弱い、または固くなるなどで働きが弱くなると、代わりに大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がその役割をカバーします。

大腿四頭筋は太ももの前面全体を覆う筋肉で、肥大すると足全体がが太くなり、美脚づくりにはマイナスです。

特に大腿四頭筋の一部である外側広筋は、肥大すると太もも外側が太くなってしまいます。太もものシルエットを細く美しく整えたい方は、大腿筋膜張筋を鍛えましょう。

有酸素運動のパフォーマンスアップ

大腿筋膜張筋の強化でひざや股関節、骨盤周りが安定することで、ランニングなど有酸素運動のスピードアップや持久力向上が期待できます。

逆に大腿筋膜張筋が機能しにくい場合、ランニング効率が落ちるだけでなく、ひざの外側に痛みが出る「張脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」や「変形性ひざ関節症」などのけがを発症するリスクが高まります。

有酸素運動を無理なく行えることは健康の証です。生涯に渡りこれを維持するために、大腿筋膜張筋の強化は非常に重要です。

また有酸素運動は、体脂肪燃焼やボディメイクにも効果的なため、積極的に鍛えていきましょう。

大腿筋膜張筋を鍛える筋トレ3選

大腿筋膜張筋は、股関節を屈曲(曲げる)、外転(外側に開く)、内旋(内側にひねる)することで鍛えることができます。まずは初心者でも姿勢を安定させやすい、以下の3種目から始めてみましょう。

シングルレッグヒップリフト

大腿筋膜張筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

片足でおしりを持ち上げるトレーニングです。片足10回ずつ、3セットを目安に行いましょう。

【やり方】

⒈ あおむけに寝て、ひざを約90度に曲げ、足の裏を床につける
⒉ 右足は地面から離し、ひざを伸ばす
⒊ 左足で地面を押し、ゆっくりとおしりを持ち上げる
⒋ 左ひざから肩まで、体が一直線になる高さで一度静止したのち、元の姿勢にゆっくり戻る

ひざが内側に倒れたり、左右に大きくぶれると、大腿筋膜張筋が十分に鍛えられません。ひざが動かないように気をつけて行いましょう。

ヒップアブダクション(サイドレッグレイズ)

大腿筋膜張筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

横向きに寝て、股関節を外転するトレーニングです。片足10回ずつ、3セットを目安に行いましょう。

【やり方】

⒈ 横向きに寝て、床側のひざを約90度に曲げる
⒉ 上の脚はひざを伸ばした状態で、つま先が視界に入る程度に前方に出す
⒊ 脚が外旋しないよう、つま先は前方に向けたまま脚を上げる
⒋ 股関節が約30度開く位置まで上げたら一度静止し、ゆっくりと元の姿勢に戻る

トレーニング中につま先が上を向くと、大腿筋膜張筋に刺激が入りにくくなります。つま先が前方、またはかかとが若干上を向くように、脚全体を内側に向ける意識で行いましょう。

サイドプランク

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横向きに寝た状態から、肘と足で体を支え、おしりを持ち上げた姿勢をキープするトレーニングです。左右各20秒を目安に、3セットずつ行いましょう。

【やり方】

⒈ 体が少し『くの字』になるよう、股関節を約20度曲げて横向きに寝る
⒉ 床側の肘を肩の真下につき、足を踏ん張っておしりを持ち上げる
⒊ 正面から見て、頭から足までが一直線になる位置までお尻を持ち上げたら、その姿勢をキープする

上記の姿勢が20秒キープできない場合は、ひざをついて実施してください。反対に余裕がある方は、キープする時間を伸ばすか、体を若干前方に倒すと大腿筋膜張筋に負荷をかけやすくなります。

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大腿筋膜張筋のストレッチ方法

ここからは、手軽にできる大腿筋膜張筋のストレッチ方法を紹介します。大腿筋膜張筋が固くなるのを防ぎ、けがを予防するためにも、日頃からストレッチで柔軟性を高めておきましょう。

あおむけストレッチ

あおむけに寝た状態で行うストレッチです。大腿筋膜張筋だけでなく、おしりの中臀筋(ちゅうでんきん)や腰、背中、胸など、広範囲にストレッチできます。

以下のポイントを抑え、左右各30秒ずつ、4セットを目安に行いましょう。

【やり方】

⒈ 両足は肩幅に開き、腕は真横に伸ばした状態であおむけに寝る
⒉ 右ひざはできるだけ伸ばしたまま、左脚を超えて反対側に倒す
⒊ 右脚はやや外側(つま先が天井向き)に軽くひねった姿勢でキープする

腰やひざに不安がある方は、痛みが出ないよう無理のない範囲で行いましょう。

横向きに座るストレッチ

横向きに座った状態で行うストレッチです。大腿筋膜張筋だけでなく、中臀筋や腰方形筋も伸びるストレッチです。大腿筋膜張筋に意識を向けて行いましょう。

目安は左右各30秒ずつ4セットです。

【やり方】

⒈ 両足を伸ばして横向きに寝た状態から、上半身を起こす
⒉ 床側の脚の太ももの前あたりに、反対の足を足裏を地面につけてひざを立てる
⒊ 両手で床を押しながら上半身を起こし、その姿勢をキープする

腰に不安がある方は、痛みが出ない範囲で行いましょう。

道具を使ったストレッチ

フォームローラーやテニスボールを使ったストレッチです。道具を使って大腿筋膜張筋を物理的に圧迫することで、筋肉を緩めます。目安は左右各30秒ずつ4セットです。

【やり方】

⒈ 両足を伸ばし、横向きに寝る
⒉ フォームローラー、またはテニスボールを大腿筋膜張筋にあてる
⒊ 体重を利用して一定の力で圧を加える

始めは強い圧を加えずに徐々に慣らしていきましょう。

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まとめ

今回は、大腿筋膜張筋のトレーニングとストレッチのやり方について紹介しました。大腿筋膜張筋を鍛えれば、美脚づくりやボディメイクの成果がこれまで以上に期待できるようになるはずです。

また大腿筋膜張筋は、歩行やランニング、立ち上がりや階段の上り下りなど、日常生活の動作でも重要な役割を持つ筋肉です。

鍛えることで、美しさと健康、同時にアプローチができます。ぜひこの参考に、日々のトレーニングに取り入れてみてくださいね。

<参考文献>
Cleam W.Thompson / R.T.Floyd「身体運動の機能解剖学」(医道の日本社)2002
中村雅俊「あらゆる不調が消える世界一のストレッチ」(アチーブメント出版)2024

柴田 太資

柴田 太資

プロアスリートのトレーニング指導、放課後等デイサービスセンターや学童保育など子どもの運動指導、健康増進のためのパーソナルトレーニングなど、幼児から高齢者まで幅広い世代を対象にトレーニングを指導する。専属契約する大分高校サッカー部はプロ選手も多数輩出する全国大会常連の強豪校。パーソナルトレーニングジムの経営や24時間型フィットネスクラブの運営にも携わる。

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