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中殿筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

公開日:2025.04.22

中殿筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

文:和田 拓巳(スポーツトレーナー)

「最近、歩幅が狭くなった」「片足立ちでバランスが取れない…」と感じることはありませんか?

それは、中殿筋(ちゅうでんきん)が衰えて弱くなっているせいかもしれません。「中殿筋」は、お尻の深部にあり、体を安定させるうえで重要な筋肉です。

しかし普段意識することはほとんどないので、気づかないうちに筋力が低下している場合も。中殿筋が衰えると、うまく歩けなくなったり、片足立ちでバランスをとりにくくなってしまいます。

中殿筋の筋力を高めることで、見た目の変化だけでなく、日常生活での動作を楽にしたり、けがの予防にもつながります。

今回は、中殿筋を鍛えるメリットや簡単にできるエクササイズを、プロのトレーナーが解説します。

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中殿筋とは

中殿筋とは?特徴や位置、鍛え方・ストレッチ法など徹底解説!

中殿筋(ちゅうでんきん)は、臀部(お尻)の外側に位置する筋肉です。まずは中殿筋の位置や機能について、理解しておきましょう。

中殿筋の位置

中殿筋は骨盤の外側「腸骨(ちょうこつ)」の後部から、大腿骨(だいたいこつ)の大転子(股関節の横あたりにある少し出っ張った骨)にかけて付着しています。

臀部の深層に位置する、インナーマッスルと呼ばれる筋肉の1つです。

中殿筋の機能

中殿筋の主な働きは、以下の通りです。

●股関節の外転:股関節から足を外側に上げる動き。
●股関節の内旋および外旋:股関節を回し、ひざを内側や外側に向けるように太ももをひねる動き。
●骨盤の安定性の維持:歩行や片足立ちのときに、浮いている方の足の骨盤が下がらないように、体制を支える働き。

中殿筋を鍛えるメリット

中殿筋を鍛えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

姿勢の安定・改善

歩行やランニングなどの動作では、片足で体重を支えるタイミングが発生します。このとき、普段は意識していなくても、中殿筋が筋力を発揮することで骨盤が水平に保たれています。

しかし中殿筋が弱くなると、浮かせた足側の骨盤が下がる症状(トレンデレンブルグ徴候)が起こりやすくなります。トレンデレンブルグ徴候が現れると、歩行の効率が低下したり、下肢や腰への負担が増してしまいます。

トレンデレンブルグ徴候の予防・改善には、中殿筋の強化が効果的です。

スポーツパフォーマンスの向上

スポーツでは、様々な動作が複雑に組み合わさることで、高いスキルを発揮することができます。

特にダッシュなどの加速時や切り返しなどの方向転換動作の際は、中殿筋が体を安定させ、素早い動作を実現させます。

そのため中殿筋を鍛えることは、このような動作の多いバスケットボールやサッカー、テニスなどの横方向への動きが多い競技をはじめ、様々なスポーツでのパフォーマンス向上につながります。

けがや疾患の予防

中殿筋が弱くなってしまうと、股関節を中心にひざ関節や足関節のほか、周囲の筋肉への負担が増加します。

中殿筋を強化することで、股関節を外側に上げたりひねったりするための筋力が向上し、腰やひざの安定性が高まります。その結果、腰痛やひざの痛みなどを伴う疾患や、けがの予防にもつながるでしょう。

中殿筋を鍛える筋トレ3選

それでは実際に、中殿筋を鍛えるエクササイズを3つ紹介します。

サイドレッグレイズ(ヒップアブダクション)

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1.横向きに寝ます。下側の手で頭を支えます。上側の手を体の前に軽く置いてバランスを保ち、体を一直線にします。
2.つま先を正面に向けたまま、上げられるところまで持ち上げたら、脚を下ろしていきゆっくりと元の姿勢に戻ります。
3.この動作を繰り返し行います。片側10回×3セットを目安に、反対側も同様に行いましょう。

【ポイント】脚を持ち上げる際、つま先は天井に向けないように注意しましょう。天井に向けてしまうと、中殿筋から刺激に刺激が入りにくくなってしまいます。つま先は、やや下向き(内旋)にしたまま動作を行うと、中殿筋がより効率的に働きます。

10回×3セットが楽に感じるようなら、エクササイズバンドなどを活用して負荷を高めましょう。

サイドプランク

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1.横向きになり、肘を曲げて床につきます。肩の真下に肘が来るようにしましょう。両脚は伸ばして交差させます。
2.前腕部と足で体を支えるようにして、腰を床から浮かせます。正面から見て頭・胸・腰・かかとが一直線になるようにしましょう。このとき、下腿部(ふくらはぎ、すね)が床につかないように注意してください。
3.体を一直線に保ったままの姿勢で、10秒間キープします。
4.体の向きを変え、反対側も同様に行います。

【ポイント】簡単にできるエクササイズですが、強度が高く、体力がない場合は10秒でもつらく感じます。このエクササイズで重要なのは、キープしているときの姿勢です。正面からだけでなく、体を上から見て、頭・肩・腰・かかとまでが一直線になるように姿勢を整えましょう。できない場合は、両ひざを曲げてひざで体を支え、頭・肩・腰・ひざが一直線になる姿勢で行うと、強度が下がります。

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ブルガリアンスクワット

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1.足を肩幅程度に広げ、前後に開きます。前の足のつま先は正面を向け、後ろの足のつま先をベンチやイスなどに乗せて、片足立ちになりましょう。
2.股関節とひざを曲げながら、ゆっくり体を下ろしていきます。このとき、胸を張って上体をまっすぐにした姿勢を保ったまま動作を行うようにしましょう。
3.前の足のひざの角度が90度になったら、股関節とひざを伸ばしていき、元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返します。反対側も同様に、片側10回×3セットを目安に行いましょう。

【ポイント】片足で力を発揮するエクササイズのため、バランスを崩しやすいので注意しましょう。バランスがとりにくい人は、中殿筋が弱くなっている証拠です。うまくバランスを取れない場合は、壁などに手を添えて体を支え、安定させながら動作を行いましょう。慣れてきたら手を離し、徐々に負荷を高めていきましょう。

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中殿筋のストレッチ方法

トレーニングを行ったあとは、しっかりケアをしておくことが大切です。ここでは中殿筋のストレッチ方法を紹介します。

寝ながらできる中殿筋のストレッチ

1.あおむけで寝ます。右脚を、両手で胸の前に引き寄せます。
2.左手で右ひざを内側に倒すように引っ張りながら、力を入れていきます。このとき背中をしっかりと床につけたまま、右ひざを左側に倒していくようにしましょう。
3.お尻の横が伸びているのを感じながら、20秒キープします。
4.元の姿勢に戻り、反対側も同様に行います。

椅子に座ってできる中殿筋のストレッチ

1.椅子に座ったまま、片方の足首を反対側のひざの上に乗せます。
2.足首を乗せた方のひざを床に近づけるように、上から手でゆっくり押していきます。
3.お尻の横が伸びているのを感じながら、20秒キープします。
4.元の姿勢に戻り、反対側も同様に行います。

床に座ってできる中殿筋のストレッチ

1.脚を伸ばして床に座った姿勢から、片ひざを立て、反対側の脚をまたぐようにクロスさせます。
2.曲げた側のひざを胸に近づけるように、手でゆっくり引いていきます。
3.お尻の横が伸びているのを感じながら、20秒キープします。
4.元の姿勢に戻り、反対側も同様に行います。

まとめ

今回は中殿筋の働きや鍛えるメリット、エクササイズの方法を紹介しました。

中殿筋はトレーニング初心者にとって、なじみの少ない筋肉ですが、日常生活でも重要な役割を担う筋肉の1つです。

エクササイズによって中殿筋を鍛えることで、動作が楽になったり、けがを防ぐなど、さまざまなメリットが期待できます。

今回紹介したエクササイズやストレッチを参考に、中殿筋を鍛えて、健康で活動的な体を手に入れましょう!

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和田 拓巳

和田 拓巳

スポーツ選手やオリンピック候補選手、アーティストのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。
医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会もしており、講師業にも力を入れている。テレビや雑誌など各種メディアに出演およびトレーニング監修を行う。
著書に「見るだけ筋トレ」(青春出版社)がある。

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