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長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

公開日:2025.04.25

長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

文:内藤 かいせい(理学療法士)

長内転筋とはどんな筋肉なのか、ほかの内転筋群とどのような違いがあるのか知りたい方はいませんか?長内転筋は内転筋群のなかでも長く大きい筋肉であり、さまざまな運動にも関与しています。

この記事では、長内転筋の概要や鍛えるメリットをご紹介します。どのような筋肉なのかを知ることで、内転筋群の知識を深められるでしょう。

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長内転筋とはどんな筋肉?

長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

長内転筋とはどのような筋肉なのでしょうか。ここでは、長内転筋の概要やそのほかの内転筋群について解説します。

内転筋を構成する筋肉の1つ

長内転筋とは、内転筋を構成する筋肉の1つです。長内転筋の起始・停止や支配神経などについて、以下の表にまとめました。

起始 恥骨結節の下方
停止 大腿骨粗線内側唇の中部1/3
作用 股関節の内転、屈曲
支配神経 閉鎖神経前枝(L2〜L4)

長内転筋は内転筋のなかでも大きい筋肉なので、触診しやすいのも特徴です。

背臥位の状態で股関節・膝関節を屈曲してもらい、股関節水平外転してもらうと、長内転筋の確認が可能です。

そこから股関節外転方向に抵抗をかけた状態で、内転してもらうと筋収縮を確認できます。

そのほかの内転筋群の概要

内転筋群には、長内転筋以外にもさまざまな筋肉があります。ここでは、そのほかの内転筋群の概要についてご紹介します。

恥骨筋

起始 恥骨櫛
恥骨筋膜
停止 恥骨筋線
作用 股関節の内転、屈曲
支配神経 大腿神経
閉鎖神経前枝
(L2〜L3)

短内転筋

起始 恥骨結節の下方
停止 恥骨筋線の下方
大腿骨粗線の内側唇上部1/3
作用 股関節の内転、屈曲
支配神経 閉鎖神経前枝(L2〜L4)

大内転筋

起始 恥骨下枝
坐骨枝
坐骨結節
停止 恥骨筋線
大腿骨粗線の内側唇
内側上顆
作用 前部:股関節の内転
後部:股関節の伸展
支配神経 前部:閉鎖神経後枝
後部:坐骨神経
(L2〜S1)

薄筋

起始 恥骨下枝
停止 脛骨の内側面(鵞足)
作用 股関節の内転
膝関節の屈曲、内旋
支配神経 閉鎖神経前枝(L2〜L4)

外閉鎖筋

起始 閉鎖膜の外面とその周囲
停止 大腿骨転子窩
作用 股関節の内転、外旋
支配神経 閉鎖神経(L3〜L4)

長内転筋の作用

長内転筋のおもな作用は、股関節の内転・屈曲です。このような作用は、足を閉じる動作や歩行などのさまざまな動きに関与しています。股関節の内転や屈曲の作用は長内転筋だけでなく、以下の内転筋群も関わっています。

● 恥骨筋
● 短内転筋
● 大内転筋

また薄筋や外閉鎖筋などの内転筋群は、股関節内転に加えて、外旋や股関節の屈曲などの作用もあります。

長内転筋を鍛えるメリット

長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

長内転筋を鍛えることは、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットについて解説します。

O脚の軽減

長内転筋を鍛えることで、O脚の軽減が期待できます。実際に、長内転筋を含む内転筋群のトレーニングを継続することで、O脚の指標となる膝間距離が縮小されたという報告があります。

内転筋のトレーニングによってO脚が改善されれば、将来的に変形性膝関節症の予防にもつながる可能性もあるでしょう。O脚に悩んでいる方がいる場合、内転筋のトレーニングを行うことも検討してみてください。

スポーツのパフォーマンス向上

長内転筋を鍛えることは、さまざまなスポーツのパフォーマンス向上にもつながります。とくにサッカーやバスケットボールなど、急な方向転換や横への動きが多いスポーツでは、長内転筋群が強く関わっています。長内転筋を鍛えることで、スポーツ時の動作がスムーズになり、より素早い動きがしやすくなるのです。

ただし、長内転筋は激しい運動で損傷を受けやすい筋肉でもあるとされています。スポーツのパフォーマンスを向上させるためには、長内転筋を鍛えると同時に、適切なケアを行うことも大切です。

長内転筋の鍛え方

長内転筋を鍛えるためには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、具体的なトレーニング方法をご紹介します。

ボール潰し

このトレーニングでは、膝にボールを挟んで潰します。

【ボール潰しのやり方】

1. イスに座り、ボールを両膝の間に挟む
2. ボールを潰すように力を入れる
3. 5秒間ほど力を入れ続けたら、力を抜く
4. 2〜3の手順を10回×2〜3セット行う

ワイドスクワット

長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

ワイドスクワットとは、足を広く広げて行うスクワットです。通常のスクワットと比較して、内転筋に刺激が入りやすい特徴があります。

【ワイドスクワットのやり方】

1. 足を肩幅よりも広く開いて立つ
2. つま先を少し外側に向ける
3. 姿勢をまっすぐにしたまま、ゆっくり膝を曲げる
4. 膝を90度ほど曲げたら、ゆっくりともとに戻る
5. 3〜4の手順を15〜20回×2〜3セット行う

膝を曲げる際は、つま先よりも前に出ないように注意しましょう。

サイドランジ

長内転筋とはどんな筋肉?起始・停止や具体的な作用を解説

サイドランジとは、立った状態で足を真横に踏み出すトレーニングです。踏み出す距離を調整することで、自分にあった負荷量を設定できます。

【サイドランジのやり方】

1. 両足を閉じた状態で立ち、姿勢をまっすぐにする
2. つま先を前にした状態で、片足を真横に踏み出す
3. 踏み出した膝を90度ほど曲げたら、ゆっくりともとに戻る
4. 2〜3の手順を左右の足で15〜20回×2〜3セット行う

長内転筋のストレッチ方法

長内転筋の柔軟性を維持・改善するには、ストレッチする習慣をつけることが大切です。長内転筋のストレッチ方法は、以下のとおりです。

【内転筋のストレッチのやり方】

1. 床に座ってあぐらの姿勢になる
2. 両方の足の裏をつける
3. 両足を身体側に近づける
4. 両膝を少しずつ床に近づける
5. 姿勢をまっすぐにした状態で、ゆっくりと上体を前に倒して骨盤を前に傾ける
6. 上体をできるだけ倒した状態で20秒ほどキープする

筋肉の柔軟性を高めることはケガの予防にもなるので、運動前後はストレッチを忘れずに行いましょう。

長内転筋の作用や鍛え方をおさえておこう

長内転筋は恥骨から大腿骨の内側にかけてついている筋肉で、股関節の内転や屈曲に関わっています。長内転筋は内転筋群の1つで、ほかにもさまざまな筋肉と連動しながら働いています。

O脚の改善やスポーツのパフォーマンス向上のためには、長内転筋のトレーニングが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、長内転筋のアプローチ方法を実践してみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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