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縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介

公開日:2025.04.26

縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介

文:内藤 かいせい(理学療法士)

股関節や膝関節の運動に関わる縫工筋には、どのような特徴があるのか知りたい方はいませんか?縫工筋は骨盤から下腿についている長い筋肉で、下肢のさまざまな動作で使われています。

この記事では、縫工筋の概要や鍛え方、ストレッチ方法をご紹介します。この筋肉の知識を深めることで、臨床での評価やアプローチに役立てられるでしょう。

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縫工筋とはどんな筋肉?

縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介

縫工筋は股関節と膝関節の動きに関わる筋肉で、細長い形状が特徴です。ここでは、縫工筋の起始・停止やおもな作用を解説します。

縫工筋の起始・停止

縫工筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。

起始 上前腸骨棘
停止 脛骨粗面の内側(鵞足)
作用 股関節の屈曲、外転、外旋
膝関節の屈曲、内旋
支配神経 大腿神経(L2〜L3)

縫工筋の触診方法としては、まず背臥位になってもらい、膝伸展位で股関節を屈曲させます。股関節屈曲した後に外旋させると、起始から停止までの筋腹を確認しやすくなります。

さらに、筋腹を触れた状態で膝・股関節屈曲位にしつつ、外転・外旋運動してもらうと収縮の確認が可能です。

縫工筋の作用

縫工筋は、おもに股関節と膝関節の運動に作用します。股関節と膝関節の作用は、以下のとおりです。

【股関節】

● 屈曲
● 外転
● 外旋

【膝関節】

● 屈曲
● 内旋

このように、縫工筋は骨盤と脛骨に筋肉が付着している関係上、2関節の運動に関わっています。また股関節の作用から、あぐらの動作に関わる筋肉といえるでしょう。

座っているときに足を持ち上げる動作や、サッカーでボールを足で受け止める動作などの運動にも関わっています。

縫工筋と関係がある「鵞足」とは?

縫工筋の停止部位は、「鵞足(がそく)」と呼ばれています。ここでは、縫工筋と鵞足についての関係性について解説します。

鵞足は3つの筋肉が付着する部位のこと

鵞足とは、膝の内側にある3つの筋肉が集まって付着している部位のことです。鵞足という名前は、筋肉の付着部の形がガチョウの足に似ていることが由来とされています。

鵞足を構成する筋肉は、以下のとおりです。

● 縫工筋
● 薄筋
● 半腱様筋

薄筋は股関節の内転筋群の1つで、股関節内転や膝関節屈曲などの作用があります。また、半腱様筋はハムストリングスの1つで、股関節の伸展や膝関節屈曲に働きます。

鵞足炎の症状や原因

3つの筋肉がついている鵞足が炎症を起こすことで生じるのが、鵞足炎です。

鵞足炎のおもな症状としては、以下のとおりです。

● 膝の内側の痛み
● 腫れ
● 熱感

とくに、運動時や階段の上り下りなどで痛みが強くなるのが特徴的です。この症状の原因としては、以下があげられます。

● 過度な運動
● 不適切なトレーニング
● 鵞足に関わる筋肉の柔軟性の低下
● 急な運動量の増加

これらの原因によって鵞足にある滑液包にストレスがかかると、鵞足炎につながります。

鵞足炎を予防するためには、運動前の適切なストレッチ、負荷量の調整などの工夫が重要です。

縫工筋の付け根が痛む原因とは?

縫工筋の起始部に強い痛みがある場合、上前腸骨棘の裂離骨折を発症している可能性があります。上前腸骨棘の裂離骨折は、思春期に起こりやすいとされています。

とくにサッカーやリレーなど、ダッシュで縫工筋に急な負荷がかかるような競技で発症しやすいのが特徴です。縫工筋に強い負荷がかかった結果、起始である上前腸骨棘の一部が剥離してしまうのです。

多くの症例では、保存療法による治療が行われます。しかし、骨折した部位が転移している場合、慢性的な痛みや偽関節の形成リスクがあるため、手術による治療も検討されます。

縫工筋の鍛え方

縫工筋を鍛えるには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、縫工筋を鍛えるトレーニング方法をご紹介します。

レッグレイズ

縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介

レッグレイズとは、背臥位の状態で両足を上げるトレーニングです。縫工筋だけでなく、腸腰筋や腹筋なども鍛えられます。

【レッグレイズのやり方】

1. 背臥位になって両膝を伸ばす
2. 天井に向かって両足を上げる(股関節を屈曲する)
3. 45〜75度の範囲まで上げたら、ゆっくりと下ろす
4. 2〜3の手順を10〜15回×2〜3セット行う

足を下ろす際は床につけないようにすると、さらに筋肉に負荷をかけられます。

ワイドスクワット

縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介

ワイドスクワットとは、通常のスクワットよりも足を広げて行うトレーニングです。縫工筋以外にも、内転筋も効率的に鍛えられます。

【ワイドスクワットのやり方】

1. 立った状態で、足を肩幅よりもやや広めに開く
2. つま先を少し外側に向ける
3. きれいな姿勢をキープしたまま、ゆっくりと膝を曲げる
4. 膝を90度ほど曲げたら、膝を伸ばす
5. 3〜4の手順を15〜20回×2〜3セット行う

関節の負担を軽減するために、膝をつま先よりも前に出さないことを意識して行いましょう。

縫工筋のストレッチ方法

ここでは、縫工筋のストレッチ方法をご紹介します。縫工筋を痛めないようにするために、運動前後はストレッチで筋肉の柔軟性を高めておきましょう。

【縫工筋のストレッチのやり方】

1. 片膝立ちになる
2. 前の足は大きく前に出し、膝は90度にしておく
3. 後ろ足の甲を持つ
4. 後ろ足の膝は床につけつつ、後ろ足を外側に動かす
5. できるだけ外側に動かした状態を20秒ほどキープする
6. 左右の足で行う

縫工筋の作用やアプローチ方法をおさえておこう!

縫工筋は大腿部に走行している長い筋肉で、股関節や膝関節のさまざまな運動に関わっています。縫工筋は鵞足についており、その部分が炎症を起こすことで生じるのが鵞足炎です。

また、スポーツによる急な運動によって縫工筋の起始部にストレスがかかると、上前腸骨棘の骨折を引き起こす恐れもあります。

そのような問題を予防するためには、筋トレやストレッチなどの実施が重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、縫工筋のアプローチをしてみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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