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【理学療法士が解説】前脛骨筋の役割とは?起始・停止やトレーニング方法を紹介

公開日:2025.04.27

【理学療法士が解説】前脛骨筋の役割とは?起始・停止やトレーニング方法を紹介

文:内藤 かいせい(理学療法士)

足関節の動きに関わる前脛骨筋は、どのような筋肉なのか詳しく知りたい方はいませんか?この筋肉は足関節を背屈させるだけでなく、動作やバランスの維持などにも関与しています。

この記事では、前脛骨筋の起始・停止や作用、鍛え方をご紹介します。前脛骨筋の知識を深めつつ、アプローチ方法を知ることで、臨床に役立てられるでしょう。

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前脛骨筋とはどんな筋肉?

【理学療法士が解説】前脛骨筋の役割とは?起始・停止やトレーニング方法を紹介

前脛骨筋とは、すねの前面についている下腿の筋肉です。前脛骨筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。

起始 脛骨外側面
下腿骨間膜
停止 内側楔状骨
第1中足骨の底面
作用 足関節の背屈、内返し
支配神経 深腓骨神経(L4〜S1)

前脛骨筋は表層部についている筋肉のため、触診は容易です。足関節の内返しをともなった背屈をしてもらうと、筋腹の確認および筋収縮の触知が可能です。

前脛骨筋の役割

前脛骨筋は足関節の背屈、内返しの作用があり、さまざまな動作で活用されています。ここでは、前脛骨筋にはどのような役割があるのかを解説します。

立ち上がりのサポート

前脛骨筋は、イスから立ち上がる際のサポートをしている筋肉です。

イスから立ち上がる際に、重心を前方に移動するために下腿を前傾するタイミングがあります。そのタイミングで前脛骨筋が働き、足関節背屈による下腿前傾を促しているのです。

とくに不安定な座面から立ち上がる際に、前脛骨筋の筋活動が増加するとされています。

このように、前脛骨筋はスムーズな立ち上がり動作に必要な筋肉といえるでしょう。

歩行のサポート

前脛骨筋は、歩行でも非常に重要な役割を担っています。

1つ目は、立脚期での荷重応答期(LR)です。初期接地によってかかとが地面についた後、前脛骨筋によって足関節の急激な底屈をおさえる働き(底屈制動)があります。

これにより、その後の立脚中期にスムーズに移行できます。

2つ目は、遊脚期のクリアランスの確保です。

遊脚期につま先が地面に引っかからないように、前脛骨筋が働いて足関節を中間位に保持しています。

このときに前脛骨筋がうまく働かないと、つま先が地面に引っかかって転倒を引き起こす恐れがあります。

立位時のバランスのサポート

前脛骨筋は立位時のバランスをキープするための役割もあります。

立位時に、重心が後方へ移動しないように前脛骨筋が働き、立位姿勢のバランスを保っています。前脛骨筋だけでなく、下腿三頭筋と協調して働くことで、足関節をコントロールしてふらつきを予防しているのです。

高齢になるとバランス能力が低下し、転倒のリスクが高まるとされています。

そのため、前脛骨筋を含めたバランスに関わっている筋肉のトレーニングを継続して行うことが重要です。

足部のアーチの形成

前脛骨筋は足部のアーチ(内側縦アーチ)の形成にも関与している筋肉です。

足部には以下の3つのアーチがあり、地面からの衝撃の吸収や歩行時の推進力の向上など、さまざまな役割があるとされています。

● 内側縦アーチ
● 外側縦アーチ
● 横アーチ

これらのアーチは骨や靭帯などによる静的な支持機構と、筋肉による動的な支持機構によって形成されています。

前脛骨筋を含めた足部の筋肉が十分に働くことで、このアーチの維持につながるのです。反対に、前脛骨筋が衰えると扁平足を引き起こし、アーチとしての機能が低下する恐れがあります。

前脛骨筋に問題が生じた場合の影響

【理学療法士が解説】前脛骨筋の役割とは?起始・停止やトレーニング方法を紹介

前脛骨筋に問題が生じたときに起こる症状の代表例が、下垂足です。下垂足は足関節の背屈が困難となり、足が底屈位に垂れてしまう症状のことです。

足関節の背屈ができないので、歩行時に足が引っかかりやすくなり、ケガや転倒のリスクが高まりやすくなります。

下垂足を発症するおもな原因としては、末梢神経障害や脳卒中などによるものです。末梢神経障害の場合、寝た状態で股関節が外旋位になることで起こる腓骨神経の圧迫がおもな例です。

神経の圧迫が続くことで、前脛骨筋への神経伝達が阻害され、下垂足の発症につながるのです。

脳卒中の場合、脳の運動を司る部位や経路が障害されることで起こります。

このような問題によって足関節の背屈がうまくできないと感じたら、早めに医療機関を受診することが重要です。

前脛骨筋の鍛え方

前脛骨筋を鍛える方法として、どのようなトレーニングがあるのでしょうか。ここでは、具体的な前脛骨筋の鍛え方について解説します。

足関節の背屈運動

前脛骨筋は、足関節の背屈に働く筋肉です。

そのため、その作用に従った運動の実施によって前脛骨筋を鍛えられます。やり方としては、シンプルに足関節の背屈を繰り返す運動でもかまいません。

背屈運動は立った状態や座った状態でも行えるため、スキマ時間を活用して気軽に運動できます。

自重トレーニングでは物足りない場合は、ゴムチューブを活用して負荷を高めるのもおすすめです。チューブを足に引っ掛けて背屈することで、負荷量を高められます。

バランストレーニング

バランストレーニングによって、前脛骨筋の筋収縮を促すトレーニングもおすすめです。具体的には、バランスディスクや不安定板などの上に立ち、バランスをとる方法です。

これらのトレーニングは前脛骨筋だけでなく、下腿三頭筋をはじめとしたバランスに関わる筋肉を全体的に鍛えられるメリットがあります。

このようなバランストレーニングの実施によって、バランス能力の向上がみられたという報告もあります。

ただし、バランストレーニングは身体が不安定となりやすいため、転倒には注意が必要です。転倒を防止するためには、以下のような工夫をするとよいでしょう。

● 手すりや壁などの近くで行う
● バランスがとりやすい難易度からはじめる

前脛骨筋のストレッチ方法

ここでは、前脛骨筋のストレッチ方法をご紹介します。

【前脛骨筋のストレッチのやり方】

1. 立った状態で手すりや壁に手を添える
2. 片足を引いて足の甲側を床に押し付ける
3. 痛みのない範囲で押し付けた状態を20秒ほどキープする
4. 反対の足で行う

立った状態でのストレッチが難しい方は、座った状態で行ってみましょう。体重をかけすぎると足を痛める恐れがあるので、強く押し付けないようにしてください。

前脛骨筋に関する知識を深めよう

足関節は脛骨から足部にかけて走行している筋肉で、足関節の背屈と内返しの作用があります。前脛骨筋は、立ち上がりや歩行などの多くの動作に関わっている筋肉です。

前脛骨筋の筋力を維持することで、これらの動作をスムーズに行えます。ぜひ今回の記事を参考にして、前脛骨筋のトレーニングを実践してみましょう。

内藤かいせい

内藤 かいせい

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

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