【理学療法士が解説】外腹斜筋の起始・停止や役割は?鍛え方もご紹介
公開日:2025.04.29
文:内藤 かいせい(理学療法士)
外腹斜筋とはどのような筋肉なのか、詳しく知りたい方はいませんか?この筋肉は腹筋群の1つで、おもに体幹の運動に関与しています。体幹を安定させるためには、外腹斜筋を鍛えることが重要です。
この記事では、外腹斜筋の解剖学的情報や具体的な役割を解説します。外腹斜筋の知識を深めることで、臨床での評価や筋トレの際に役立つでしょう。
おすすめ特集
外腹斜筋の起始・停止は?
外腹斜筋とは、腹部の側面につく腹筋群の1つです。外腹斜筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
起始 | 第5〜12肋骨の外面 |
停止 | 腱膜部分は腹直筋鞘の前葉に入り、白線に終わる 鼠径靭帯、恥骨稜 最後部は恥骨稜の外唇 |
作用 | 脊柱の屈曲、同側の側屈、対側の回旋 肋骨の引き下げ 骨盤の引き上げ 腹圧を高め、腹式呼吸時の呼息 |
支配神経 | 肋間神経 腸骨下腹神経 (T5〜L1) |
触診の際は、まず被検者にあお向けになってもらい、回旋を加えた体幹の屈曲をしてもらいます。その際に側腹部の外腹斜筋の筋腹を確認でき、肋骨から腸骨稜にかけて触れることで収縮がわかります。
外腹斜筋の役割
外腹斜筋にはどのような役割があるのでしょうか。ここでは、外腹斜筋の具体的な役割を解説します。
脊柱の運動
外腹斜筋の作用の1つに、以下のような脊柱の運動があげられます。
● 同側の側屈
● 対側の回旋
このような作用は、普段の生活やスポーツ中など、さまざまな場面で行われています。あお向けになった状態から起き上がる、後ろを振り向くなどの動作がおもな例です。
体幹の安定化
外腹斜筋は、体幹を安定化させる働きもあるとされています。具体的にいうと、関節に適度な緊張を与えて脊柱の安定性を高める役割があります。
実際に、外腹斜筋は歩行時や腕の運動の際に働き、体幹の固定性を高めるとされているのです。この働きにより、さまざまな動作をスムーズに行いやすくしています。
体幹が固定されないと、運動時にふらつきやすくなり、転倒リスクが増加する恐れがあります。このように、安定した姿勢で動作を行うためには、外腹斜筋の働きが重要です。
呼吸の補助
外腹斜筋は、呼気に関わる補助筋として機能しています。安静時の呼吸では働きませんが、運動時や深呼吸の際に活動が高まるとされています。
具体的には、肋骨の引き下げや骨盤の引き上げなどの作用があり、これによって腹圧を高めて呼吸を補助しているのです。
このように、外腹斜筋は脊柱の運動や体幹の安定化だけでなく、呼吸機能の補助という役割も担っています。
これらの作用から、日常生活や運動時において重要な役割があることがわかるでしょう。
外腹斜筋と内腹斜筋の違い
内腹斜筋は、外腹斜筋と同じように側腹部についている筋肉群の1つです。
内腹斜筋は、外腹斜筋よりも下層についています。内腹斜筋の起始・停止や作用は以下のとおりです。
起始 | 腰腱膜 腸骨稜の中間線および鼠径靭帯の外側部 |
停止 | 腹直筋鞘の前後両葉に入り、白線に終わる 最後部は第10〜12肋骨の下縁 |
作用 | 体幹の同側の回旋 腹圧を高め、腹式呼吸時の呼息をサポート |
支配神経 | 肋間神経 腸骨下腹神経 腸骨鼠径神経 (T10〜L2) |
このように、内腹斜筋も体幹の動きや呼吸に関係する働きがあります。触診の際は、背臥位の状態から体幹を屈曲・回旋してもらい、腹直筋の側方に触れると筋の触知が可能です。
外腹斜筋のおすすめの筋トレ方法
外腹斜筋を鍛えるには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、おすすめの筋トレ方法をご紹介します。
ツイストクランチ
ツイストクランチとは、体幹をひねりながら腹筋を鍛えるトレーニングです。
1. あお向けになって両手を頭の後ろに組む
2. 上体を起こしつつ、右肘と左膝を近づける
3. もとに戻り、左肘と右膝を近づける
4. 2〜3の手順を20回×2〜3セット繰り返す
腹斜筋に適度な負荷をかけるために、上体は起こしすぎないようにして行いましょう。
サイドプランク
サイドプランクは、横向きの姿勢を保って体幹筋を鍛えるトレーニングです。
1. 横向きに寝る
2. 足を伸ばしつつ、下側の肘と腕で上体を持ち上げる
3. 身体を一直線にした状態を20秒ほどキープする
4. ゆっくりともとに戻る
5. 反対側で行い、それぞれ2〜3セット行う
体幹が側屈しないように、トレーニング中はお腹まわりに力を入れることを意識して行いましょう。
サイドクランチ
サイドクランチとは、横向きの状態で上体を起こして腹斜筋を鍛えるトレーニングです。
1. 横向きに寝て膝と股関節を少し曲げる
2. 上体を真上にゆっくり上げる
3. ゆっくり力を抜く
4. 2〜3の手順を左右で15〜20回×2〜3セット行う
ダンベルツイスト
ダンベルツイストとは、ダンベルを持ちながら上体を起こし、左右にひねるトレーニングです。ダンベルを用意できない場合は、水の入ったペットボトルで代用しましょう。
1. あお向けの状態になる両膝を立てる
2. ダンベルを両手で持ち、上体の前でかまえておく
3. 上体を少し起こす
4. ダンベルを上体の前にかまえたまま、上半身を左右にひねる
5. 15〜20回×2〜3セット行う
外腹斜筋の効率的なアプローチを目指そう
外腹斜筋は腹部の側面についている筋肉で、体幹の運動や姿勢の安定化などの働きがあります。体幹の安定性を高めて、安全かつスムーズな動作をするためには、外腹斜筋のトレーニングが重要です。
そのほかにも、腹圧を高めて運動時の呼息をサポートする役割もあります。ぜひ今回の記事を参考にして、外腹斜筋を鍛えるためのトレーニングを実施してみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
他の記事も読む
- 風邪をひいたときにおすすめの食事とは?積極的にとりたい栄養素と調理のコツを紹介
- 膝が痛いときにやってはいけないことは?膝の痛みの原因やおすすめの対処法を解説
- お尻の痛みは筋肉痛だけじゃない?おもな原因や対策、予防法を解説
- 筋トレで全身を鍛える!理想の体を作る部位別おすすめトレーニング48選
- 肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
- あなたの肩こりの重症度は?セルフチェックの仕方や改善方法を解説
- 土踏まずが痛いときの対処法は?原因と改善方法を解説
- その背中の痛みは「ぎっくり背中」かも?発症原因や改善方法をご紹介
- 巻き肩は筋トレで改善できる?おすすめメニューとそのほかのポイントを解説
- グーパー運動の効果とは?使用する筋肉や正しいやり方を理学療法士が解説
- 指立て伏せで鍛えられる筋肉は?正しいやり方やメリット・デメリットを解説
- 小円筋の起始・停止は?具体的な役割や鍛え方について理学療法士が解説
- 下腿三頭筋の役割や鍛えるメリットは?具体的なトレーニング方法も解説
- 腹直筋の役割や鍛え方は?おすすめのトレーニングもご紹介
- 【疲れやすい方必見】自律神経を整える簡単ストレッチ3選
- 【大臀筋ストレッチ】ガチガチお尻をしっかり伸ばす方法を徹底解説!
- 【むくみ・重だるさ解消】ふくらはぎのストレッチを解剖学的に徹底解説!
- 【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?
- 膝の水を抜くストレッチはあるの?原因や対処法も合わせて解説!
- 黒豆茶の驚きの効果とは?成分・効能や飲む際の注意点を解説