【理学療法士が解説】内腹斜筋の作用とは?外腹斜筋との違いや鍛え方を解説
公開日:2025.04.30
文:内藤 かいせい(理学療法士)
内腹斜筋の構造や作用について、詳しく知りたい方はいませんか?内腹斜筋は腹部の筋肉であり、脊柱の運動や体幹の安定化などの作用があります。
この記事では、内腹斜筋の具体的な役割や外腹斜筋との違い、筋トレ方法をご紹介します。この筋肉について詳しく知ることで、適切なトレーニングが可能となるでしょう。
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内腹斜筋とはどんな筋肉?
内腹斜筋は側腹部についている腹筋群の1つです。ここでは、内腹斜筋の概要や外腹斜筋との違いについて解説します。
内腹斜筋の起始・停止
内腹斜筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
起始 | 腰腱膜 腸骨稜の中間線および鼠径靭帯の外側部 |
---|---|
停止 | 腹直筋鞘の前後両葉に入り、白線に終わる 最後部は第10〜12肋骨の下縁 |
作用 | 体幹の同側の回旋 腹圧を高め、腹式呼吸時の呼息をサポート |
支配神経 | 肋間神経 腸骨下腹神経 腸骨鼠径神経 (T10〜L2) |
触診方法として、まず被検者は背臥位になってもらい、内腹斜筋が走行する腸骨稜から下部肋骨に触れます。その後、体幹を軽く屈曲・回旋してもらうと、筋腹の確認および収縮の触知が可能です。
内腹斜筋の作用
内腹斜筋の作用として代表的なのが、体幹の同側の回旋です。たとえば右側に体幹をひねる場合は、右側の内腹斜筋が働きます。
この作用に加えて、姿勢の維持や呼吸の補助などの役割もあるとされています。息を吐くときや腹圧を高めるときに、内腹斜筋は収縮して腹部を引き締めているのです。この作用は、動作時に体幹がぐらつかないようにすることにつながります。
このように、内腹斜筋は体幹の運動以外にも、さまざまな役割を担っている筋肉といえます。
外腹斜筋との違い
同じ腹斜筋として、外腹斜筋があります。外腹斜筋の起始・停止や作用は以下のとおりです。
起始 | 第5〜12肋骨の外面 |
---|---|
停止 | 腱膜部分は腹直筋鞘の前葉に入り、白線に終わる 鼠径靭帯、恥骨稜 最後部は恥骨稜の外唇 |
作用 | 脊柱の屈曲、同側の側屈、対側の回旋 肋骨の引き下げ 骨盤の引き上げ 腹圧を高め、腹式呼吸時の呼息 |
支配神経 | 肋間神経 腸骨下腹神経 (T5〜L1) |
外腹斜筋は内腹斜筋よりも表層についている筋肉で、同様に体幹の運動や呼吸の補助に関わっています。そのため、内腹斜筋と外腹斜筋の両方の筋肉を協調的に働かせることで、体幹の運動や姿勢の維持がしやすくなります。
内腹斜筋を鍛えるメリット
内腹斜筋を鍛えるメリットは、以下のとおりです。
● 体幹の安定性を高められる
● スポーツのパフォーマンス向上につながる
内腹斜筋は腹部の側面についているので、この部分を鍛えることでウエストの引き締め効果が期待できます。とくに女性にとって、理想的なくびれを作るために欠かせない筋肉といえるでしょう。
また、この筋肉を鍛えることで姿勢改善につながり、日常生活での動作もスムーズとなります。内腹斜筋は、身体をひねる動作や体幹の固定に深く関わっている筋肉です。野球のバッティングやゴルフのスイングなど、多くのスポーツ動作で関わる筋肉なので、鍛えることで運動能力の向上も期待できます。
このように、内腹斜筋を鍛えることは見た目の改善や、身体機能の向上などのメリットがあります。
内腹斜筋を鍛える筋トレ方法
内腹斜筋を鍛えるためには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。ここでは、おすすめの筋トレ内容をご紹介します。
サイドクランチ
サイドクランチは、横向きになった状態で上体を起こして腹斜筋に刺激を入れるトレーニングです。
【サイドクランチのやり方】
2. 膝と股関節を少し曲げて、横向きの状態をキープする
3. 上体を真上にゆっくり上げる
4. ゆっくり上体を下ろす
5. 2〜3の手順を左右で15〜20回×2〜3セット行う
サイドプランク
サイドプランクとは、横向きの状態で身体を支えて、姿勢をキープするトレーニングです。
【サイドプランクのやり方】
2. 下側にある肘と腕で上体を持ち上げる
3. 足を伸ばして身体を一直線にする
4. 一直線になった状態を20秒ほどキープする
5. ゆっくりと身体を下ろす
6. 反対側で行い、それぞれ2〜3セット行う
ツイストレッグレイズ
ツイストレッグレイズとは、あお向けの状態で足を上げて、左右に動かすトレーニングです。腹斜筋以外にも、股関節の屈曲筋である腸腰筋も鍛えられます。
【ツイストレッグレイズのやり方】
2. 両足を75度ほど股関節屈曲する
3. 両足をつけたままゆっくり左右に傾ける
4. 10〜15回×2〜3セット行う
ツイストランジ
ツイストランジとは、足を前に踏み出しつつ、体幹をひねるトレーニングです。腹斜筋だけでなく、大腿四頭筋や大殿筋などの下半身の筋肉も鍛えられます。
【ツイストランジのやり方】
2. 右足を前に踏み出しつつ、体幹を右方向にひねる
3. もとに戻る
4. 左足を前に踏み出しつつ、体幹を左方向にひねる
5. もとに戻る
6. 2〜5の手順を10〜20回×2〜3セット行う
足を踏み出す際は重心を前方に移動させて、膝を90度ほど曲げて行いましょう。トレーニング中はまっすぐな姿勢を意識してください。
腹斜筋のストレッチ方法
ここでは、腹斜筋のストレッチ方法をご紹介します。
腹斜筋をうまく働かせるためには、ストレッチによって筋肉の柔軟性を高めることが重要です。
【腹斜筋のストレッチのやり方】
2. 両手を頭の後ろで組む
3. 上半身をゆっくりと右方向に倒す
4. 倒した状態を20秒ほどキープしたら、もとに戻る
5. 左方向に倒し、20秒ほどキープする
倒した方向の反対側の側腹部を広げるイメージで行ってみましょう。
内腹斜筋の働きを把握しておこう
内腹斜筋は腹部に広く付着しており、体幹の回旋の作用がある筋肉です。さらに、呼吸の補助や体幹の安定化などの働きもあります。
内腹斜筋の表層には外腹斜筋が位置しており、両者が連携することで、適切な動作が行えます。ぜひ今回の記事を参考にして、内腹斜筋の触診やトレーニングを実践してみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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