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【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

公開日:2025.05.02

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)

「なんだか最近、腰が痛い」「ぎっくり腰になってしまったけど、どんなストレッチをしたら良いの?」と不安になっていないでしょうか。実は、腰痛には様々な種類があり、一言で『腰痛』と言っても原因は沢山あります。ストレッチやトレーニングをした方が良い場合もあれば、することによってかえって悪化させてしまうケースも多いのが事実です。

またストレッチをやった方が良い場合でも、やり方を間違えることで症状が悪化してしまう場合もあります。そこで当記事では、パターン別にやってはいけないストレッチとやるべき対処法を合わせて紹介します。

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【パターン別】やってはいけないストレッチを紹介!

腰痛は様々な原因があり、時期によっても対処法が異なります。一言で腰痛と言っても、とても複雑な症状です。そのため多くの方が悩まれる腰痛に対して、下記で詳しくパターン別に解説します。また今回こちらで紹介するのは、あくまでも一般的な症状の目安ですので、症状が継続する場合などは無理せず医療機関を受診してください。

【急な痛み】ぎっくり腰の場合

ぎっくり腰は、急性腰痛と呼ばれるもので、急な強い痛みを生じます。明らかな原因はわかっていませんが、椎間板(背骨の間のクッション)に小さな亀裂が入ることや、椎間関節(背骨の間の関節)の捻挫、筋肉や筋膜の損傷などが考えられています。

ぎっくり腰になった場合、直後からストレッチを行うのは辞めましょう。ただし、必要以上に安静にする必要はなく、過度な安静はかえって職場復帰が遅くなるとも言われています。1)

ぎっくり腰の場合は、まずは痛みの我慢できる範囲内で日常生活を送ることが最優先です。基本的に3日以上の安静は推奨されていないので、可能な限り動きましょう。2)

もしストレッチを行う場合は、痛みが出ないものを選んだり、急激に伸ばしたりマッサージのように筋肉を強く揉むことは避けることを推奨します。痛みが落ち着いてきたら、再発予防のために、ストレッチはしっかり行なうことをオススメします。詳しい方法は下記で紹介していきますので、ぜひ最後までチェックしてください。

【前屈すると痛い】腰椎椎間板ヘルニアの場合

椎間板(背骨の間のクッションのような組織)は、背骨に加わる衝撃を緩和させる役割を持ちます。しかし加齢や負荷などで椎間板が劣化し、その中央にある髄核と呼ばれる組織が、外に押し出され突出するのが腰椎椎間板ヘルニアです。

腰椎椎間板ヘルニアの方は、前屈をすると椎間板に圧が加わり、症状を悪化させる恐れがあります。そのため、前屈をするようなストレッチはやらない方が良いです。

ストレッチをしていなくても前屈姿勢で背骨が丸くなっていると、椎間板に負荷がかかります。普段から姿勢が悪く、背骨が丸くなっていると感じている方は、姿勢も合わせて意識しましょう。

【反らすと痛い】腰部脊柱管狭窄症の場合

腰部脊柱管狭窄症は、腰の背骨の通り道である脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫され、痛みや痺れなどの症状を引き起こす病気です。長い年月の間、背骨を支えていると組織が変性し、骨や靭帯が分厚くなったり、椎間板が突出することなどが原因として考えられます。

背骨を反らすと脊柱管がさらに狭くなり、症状が悪化するため、特に腰を反らすストレッチは避けましょう。

【高齢者や女性に多い】圧迫骨折の場合

圧迫骨折は、高齢者や閉経後の女性などの骨粗鬆症を患っている方によく見られる症状です。骨粗鬆症になるとくしゃみなどの軽い衝撃などでも、圧迫骨折などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。

圧迫骨折による腰痛の場合は、無理なストレッチは禁物です。前に屈む動きや反らす動きなども負担がかかります。骨折後は、回復の度合いにあった方法でリハビリを行なっていく必要があるため、主治医や担当の理学療法士の指示のもと進めていきましょう。

【慢性的に痛みがある】筋肉や筋膜が問題の場合

筋肉や筋膜に問題がある場合は、筋肉への過度なストレスや運動不足、間違った体の使い方などが原因となることがあります。

この場合は、運動やストレッチなどが有効となるケースが多く、ピラティスなどもオススメです。ただし無理に痛みが出るようなストレッチやいきなり負荷の高い動きは、かえって痛みを助長してしまう可能性があるので、注意が必要です。

【意外と知らない】腰痛への対処法を解説

腰痛になってしまった時、多くの方が「何かしなきゃいけない」「整骨院に行った方が良いのかな?」と思うでしょう。しかし、その時の状況によって対処法はそれぞれ異なります。また中にはすぐに受診した方が良いケースもありますので、具体的な対処法を下記で紹介します。

痛みが出てすぐの時期はまず安静

痛みが出てすぐの急性期の時期には、安静するのも一つの方法です。痛みが強いなかで無理に動くと、さらに痛みを悪化させてしまうケースもあります。ただし、必要以上の安静はかえって回復を遅らせることもあるため、痛みが出てから3日以内には、日常生活レベルの動きに戻すことを目指しましょう。

ただし、なかには圧迫骨折などの疾患を伴っている場合もあるので、痛みが強い場合には、無理に動かずに病院を受診することをオススメします。

当てはまったら病院を受診

腰痛のなかには、「レッドフラッグ」と呼ばれる、すぐに病院を受診した方が良いケースもあります。1)下記に当てはまる場合には、まずは受診することを推奨します。

・発症年齢が55歳*
・時間や活動に関係なく起こる腰痛
・胸部痛
・癌、 ステロイド治療、 HIV感染の既往がある
・栄養不良
・体重が減少している
・広範囲に及ぶ神経症状がある
・背骨が歪んでいる(構築性脊柱変形)
・発熱している

痛みが引かない場合や我慢できないほど強い痛みがある場合も、無理せず整形外科を受診しましょう。

痛みが落ち着いてきたら少しずつ動き始める

痛みが落ち着いてきたら、少しずつ日常生活の動作を無理ない範囲で行なっていきましょう。ずっと座っている姿勢や立ちっぱなしの姿勢も腰に負担がかかるので、痛みが我慢できる範囲内で適度に姿勢を変えることもオススメです。

また床のものをとったり、洗面台で顔を洗うような姿勢は、腰に負担がかかりやすいです。そのため、やむを得ずそのような動作をしなければならない時は、腰をまっすぐにしたまま膝と股関節をしっかりと曲げ、お尻を突き出すようにして行うことを推奨します。

慢性的な痛みの場合はストレッチやトレーニング

痛みが慢性的にあり、筋肉や筋膜に問題がある場合は、ストレッチやトレーニングを行うと良いでしょう。実際に研究でも、運動療法は腰痛改善のために重要な方法であると言われています。最近の研究では、なかでもピラティスは最も有効な方法だとも言われています。2)
ピラティスはストレッチやトレーニングの要素も含まれており、とても効率的なトレーニング方法です。

腰の負担を軽減し、再発を予防するためにも重要ですので、ぜひ取り組んでみてください。

キャットアンドカウ

この運動は、背骨を一つずつ分節的に動かすピラティスのエクササイズです。背骨の柔軟性を高め、腰痛の再発予防に繋げます。ぎっくり腰の痛みが治った後にもオススメです。

⒈四つ這いになります。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒉息を吐きながら背骨を丸めます。

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒊次に息を吸いながら、背骨を反らしましょう。

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒋繰り返し行いましょう。

ショルダーブリッジ

この運動も背骨の柔軟性を高めます。腰痛の方のほとんどが萎縮していると呼ばれる多裂筋を、伸ばしながら使っていくことができます。

⒈仰向けになり、足の幅は拳1個分にしましょう。⒉骨盤を自分の方に傾けます。

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒊背骨が少しずつ床から離れるように、お尻を上げていきましょう。

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

バードドッグ

腰椎(腰の背骨)に負担がかからないように、体幹部(インナーユニット)を安定させていきます。

⒈四つ這いになります。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒉右手、左足を伸ばします。

【パターン別】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは?

⒊身体が倒れないように維持しましょう。

まとめ

一言で腰痛と言っても、実は様々な原因が考えられます。そのため、原因や症状に応じた適切な対処が重要です。

ストレッチやピラティスは、腰痛改善に効果的です。しかし方法を間違えてしまうとかえって悪化させてしまうことも少なくありません。よってご自身のパターンや時期によって適切な方法を選ぶことが大切です。

今回は、対処療法を中心にお伝えしていきましたが、腰痛が起こる原因は、普段の生活に潜んでいることが多いです。なぜ腰痛が起こってしまったのかという根本的な部分をさらに深掘りして考えていくことで、再発予防に繋がっていくのではないでしょうか。腰痛が長引く場合や痛みが強い方は、無理せず専門家に見てもらうことをおすすめします。

当記事が辛い腰痛の緩和に繋がれば幸いです。

参考文献
1)腰痛診療ガイドライン2019 (改訂第2版)
2)Fernández-Rodríguez, R., et al. (2022). Exercise interventions for the management of chronic low back pain: A network meta-analysis. European Spine Journal, 31(4), 728-741.

服部恵実

服部 恵実

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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