【むくみ・重だるさ解消】ふくらはぎのストレッチを解剖学的に徹底解説!
公開日:2025.05.03
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
「毎日、足がパンパンで重だるい」「ふくらはぎが硬くて冷えやすい」というお悩みはありませんか。
デスクワークや立ちっぱなしなど同じ姿勢が続く方は、夕方になるとむくみや足のだるさが気になりますよね。
その原因の一つに、ふくらはぎの筋肉が硬くなっていることが考えられます。
ふくらはぎの筋肉は、主に下腿三頭筋と呼び、腓腹筋とヒラメ筋から構成されています。足元に行き渡った血液を、ポンプのように心臓に戻す働きを持ち、『第二の心臓』とも呼ばれます。
しかし運動不足や同一姿勢が続くことで、このポンプ機能が十分に働かなくなり、むくみや冷えなどの症状を引き起こすのです。
さらにふくらはぎが硬くなることで血管が圧迫され、より血流が悪化し、悪循環に陥ります。
そこで当記事では、ふくらはぎのストレッチ方法について詳しく解説します。
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ふくらはぎの主な筋肉について解説!
ふくらはぎは一つの筋肉ではなく、いくつかの筋肉が合わさっています。
主に「腓腹筋(ひふくきん)」と「ヒラメ筋」の二つからなり、それらを合わせて「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」と呼ばれます。
腓腹筋は二つに分かれ、ヒラメ筋は一つであるため、合わせて三つの頭を持ち、下腿三頭筋と呼ばれるのです。
それぞれの筋肉には特徴があり、役割も異なります。そのため、ふくらはぎのストレッチを効果的に行うために、まずはふくらはぎの筋肉について解説していきます。
腓腹筋
腓腹筋は太ももの骨から踵まで付いていて、ふくらはぎの一番表にある筋肉です。膝の後ろから踵にかけて付いています。さらに詳しい走行は下記の通りです。
・内側頭:大腿骨内側上顆、膝関節包後面
・外側頭:大腿骨外側上顆
・踵骨隆起
腓腹筋は、つま先を下げる(足関節底屈)働きのほか、膝を曲げる働きを持ちます。
膝を伸ばした状態で足首が硬いと感じる場合は、腓腹筋が硬くなっている可能性があります。
また腓腹筋はハムストリングスという腿裏の筋肉の近くを通り、膝裏で交差するように走るため、ハムストリングスが硬くなると腓腹筋も一緒に硬くなることがあるのです。
ヒラメ筋
ヒラメ筋もふくらはぎの筋肉で、腓腹筋よりも奥にある筋肉です。膝下の骨の後面から踵にかけて付いています。さらに詳しい走行は下記の通りです。
・脛骨ヒラメ筋線、腓骨頭と腓骨頭後面
・踵骨隆起
ヒラメ筋は、つま先を下げる(足関節背屈)働きを持ちます。膝を曲げた状態で足首が硬いと感じる場合は、ヒラメ筋が硬くなっているかもしれません。
また腓腹筋とヒラメ筋は一部が繋がっているとも言われていることや同じふくらはぎを走行していることから、足首が硬い場合どちらかが硬いというよりも両方が硬くなっていることが多いでしょう。
ふくらはぎが硬くなると起こる症状
ふくらはぎの筋肉が硬くなると、むくみや冷え、足の重だるさなどさまざまな症状が引き起こされます。さらにそれだけでなく、足がつりやすくなったり、痛みに繋がる可能性もあるため注意が必要です。
具体的に引き起こされる症状を、さらに詳しく紹介します。
むくみや冷え
ふくらはぎの筋肉が硬くなると血管も同時に硬くなり、血流が悪化します。その結果、むくみや冷えに悩んでいる方が多いのです。
運動不足や長時間に渡って座っている方は、ふくらはぎの筋肉を動かしていないので硬くなり、むくみや冷えに繋がっている可能性があります。
また血流が悪化することでむくみや冷えだけでなく、足の重だるさを感じるケースもあるのです。
つりやすくなる
ふくらはぎの筋肉が硬くなり、十分に筋肉を使っていないと、「縮む」動きと「緩める」動きがスムーズに行われなくなり、つりやすくなる場合があります。特に運動をしている最中や就寝時に、つる方が多いでしょう。
足がつりやすい方は、ストレッチをしたりトレーニングをすることで、徐々につりにくくなっていきます。
足底筋膜炎(足底腱膜炎)やアキレス腱の痛み
ふくらはぎの筋肉は、歩いたり走ったりする際に衝撃を吸収する役割を持っています。柔軟性があり、適切に収縮することで、体を衝撃から守るのです。
しかし、ふくらはぎが硬くなると、柔軟性が低下し、他の部位に負荷がかかります。その結果、足の裏に炎症が生じる足底筋膜炎(足底腱膜炎)や、アキレス腱の痛みに繋がる可能性があります。
なぜふくらはぎは硬くなるの?
ふくらはぎが硬くなると、むくみや冷え、痛みなどの不調が起こることはわかりましたが、そもそもなぜ硬くなるのでしょうか。
基本的には、筋肉を使っていないため血流が悪くなるケースが多いです。しかしそれだけでなく、加齢や不良姿勢、脱水なども関連するのです。
原因を知ることで予防にも繋がりますので、ぜひご自身の状況を振り返りながら読み進めてみてください。
運動不足や長時間のデスクワーク
現代は、デスクワークや座っている時間が長く、運動不足の方がほとんどです。
長時間に渡り座っていると、ふくらはぎの筋肉を使う時間が短く、血流が悪化します。
血流が悪化すると、筋肉に乳酸などの老廃物が溜まり、筋肉の柔軟性が低下する可能性があるのです。
また同じ姿勢で固まっていることで、純粋に筋肉を伸ばす機会も減るため柔軟性が低下します。運動不足になると筋肉も落ちるため、さらに代謝も低下し、悪循環に陥ります。
不良姿勢
実は、普段の姿勢もふくらはぎの硬さに関わります。
例えば、腰が前方に移動するSway Bcakという姿勢では、前に移動する重心を支えるために、ふくらはぎの筋肉が過剰に活動します。
持続的に腓腹筋やヒラメ筋が活動することで、さらに筋肉は収縮しやすくなるため力を抜くことができず硬くなるケースがあります。
そのため、ふくらはぎの柔軟性を高めたい場合は、ふくらはぎのストレッチだけでなく姿勢を整えることも重要なのです。
脱水や栄養不足
体内の水分が不足すると、筋肉に必要な栄養素や酸素が十分に行き渡らなくなる可能性があります。
また筋肉が脱水状態になると、電解質のバランスが乱れるので、筋肉の柔軟性が低下することもあるのです。
さらにマグネシウムやカルシウムなど筋肉の動きの調整に関わる栄養素が欠如すると、筋肉が過度に緊張するケースもあり、栄養も大切な要素の一つです。
ふくらはぎを柔らかくするストレッチを解説!
それでは、ふくらはぎを柔らかくするストレッチを紹介します。ストレッチを行うことで腓腹筋とヒラメ筋を中心としたふくらはぎの筋肉の柔軟性を向上させていきましょう。
腓腹筋・腓腹筋ストレッチ
腓腹筋とヒラメ筋を同時にストレッチしていきます。
膝を伸ばした状態で踵を下げると、腓腹筋を重点的にストレッチすることができ、膝を曲げた状態で踵を下げると、ヒラメ筋を重点的に伸ばすことができます。
⒈四つ這いの姿勢になりましょう。
⒉足を一歩前に出します。つま先と膝の向きが一直線になるように意識しましょう。
⒊後ろの足を遠くへ伸ばし、膝を床から浮かせます。さらに踵を遠くへ伸ばすように意識するとより伸び感が強まります。できる方は、少し反動をつけて、踵を後ろに下げるようにしても良いでしょう。
⒋前の足のヒラメ筋、後ろの足の腓腹筋がストレッチされます。
ダウンドッグ
最後にヨガのポーズでもあるダウンドッグを紹介します。ふくらはぎだけでなく、腿裏から踵まで全体的にストレッチすることができるため効果が高まります。
足踏みをするように膝を曲げたり伸ばしたりすることで、腓腹筋とヒラメ筋を両方ストレッチすることができ、便利なストレッチです。
⒈四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。
⒉股関節を引き込むようにお尻を後ろに下げましょう。
⒊ゆっくり膝を浮かして、お尻を天井に向かって引き上げます。腰が丸くならないように意識しましょう。
⒋膝を曲げたまま踵をつけます。
⒌次に膝を伸ばした状態で踵をつけてみましょう。
まとめ
今回は、ふくらはぎのストレッチを紹介しました。ふくらはぎの筋肉が硬くなることで、むくみや冷え、足の重だるさ、つりやすくなる、さらには足底筋膜炎やアキレス腱の痛みなど、さまざまな不快な症状を引き起こす可能性があります。
その原因には、長時間同じ姿勢でいることや運動不足、加齢、不良姿勢、脱水や栄養不足などが考えられます。
これらの症状を改善するためには、普段から定期的に動いたり姿勢を整えることなどが重要です。
また日常的に意識することが難しい方は、ストレッチなどを行いケアをしていけると良いですね。
ぜひ当記事を参考に、ふくらはぎの硬さを解消し、むくみや重だるさを解消できれば幸いです。

服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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