小円筋の起始・停止は?具体的な役割や鍛え方について理学療法士が解説
公開日:2025.05.08

文:内藤 かいせい(理学療法士)
小円筋とはどのような筋肉なのか、どのような働きがあるのか知りたい方はいませんか?
小円筋は肩甲骨から上腕骨についている筋肉で、肩関節の運動に関わっています。さらに、肩関節の安定性に関わる「腱板」を形成する筋肉の1つです。
この記事では、小円筋の解剖学的な情報や役割、トレーニング方法をご紹介します。この筋肉に関する知識を深めることで、肩の筋肉を鍛える際に役立つでしょう。
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小円筋とはどんな筋肉?

小円筋とは、肩甲骨についている小さな筋肉のことです。小円筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
| 起始 | 肩甲骨後面の外側縁 |
|---|---|
| 停止 |
上腕骨大結節の下部 上腕骨大結節稜の上端 |
| 作用 | 肩関節外旋 |
| 支配神経 | 肩甲下神経(C5〜C6) |
小円筋の触診方法として、まず座位にて肩関節を外旋してもらいます。その際に、肩甲骨後面の外側縁(近位2/3)から停止部にかけて触れると、筋腹の確認および収縮の触知が可能です。
小円筋のおもな役割

小円筋はどのような作用があるのでしょうか。ここでは、小円筋のおもな役割について解説します。
肩関節の運動
小円筋のおもな作用が、肩関節の外旋運動です。肩関節の外旋運動は、以下のようなさまざまな動作に関わっています。
● 手を上げる
● 腕を回す
これらの動作は、日常生活やスポーツなどの幅広い場面で必要です。そのため、小円筋が衰えると多くの動作に悪影響をおよぼす恐れがあります。
肩関節の安定性の向上
小円筋は肩の運動だけでなく、関節の安定性の向上にも関わっています。
小円筋は、肩関節の安定性を高める「腱板」の1つです。腱板とは、肩まわりにつく以下の4つの筋肉の腱で構成されています。
● 棘下筋
● 小円筋
● 肩甲下筋
肩関節は自由度が高い反面、安定性に欠ける面があります。そのため、腱板によって肩関節の安定性を補い、上腕骨が不適切な方向に動くのを防ぐ役割があるのです。
肩関節のケガを予防するためには、腱板に関わる筋肉を鍛えることが重要です。
小円筋が関係している代表的な疾患

小円筋が関係している疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な疾患について解説します。
腱板断裂
腱板断裂とは、腱板が断裂する疾患のことです。腱板断裂を引き起こす原因としては、以下があげられます。
● 肩の使いすぎ
● 事故によるケガ
これらの原因によって腱板にストレスがかかると、断裂を引き起こしやすくなります。腱板断裂を発症したときのおもな症状が、肩の痛みです。
症状の進行とともに肩の痛みが悪化しやすく、腕が上がりにくくなるケースもあります。
発症初期は、リハビリや薬物療法などの保存療法が行われます。
痛みが強い場合や断裂が大きい場合は、手術が必要になることもあるでしょう。症状を放置すると断裂が広がる可能性があるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
石灰沈着性腱板炎
石灰沈着性腱板炎とは、腱板に石灰(カルシウムの結晶)がたまり、炎症を引き起こす病気です。夜間に突然発生する激しい痛みがきっかけとなって、発症するケースが多いとされています。
痛み以外にも、肩の可動域制限が生じることもあります。
この疾患は40〜50歳代の女性に多くみられるとされており、明確な発症原因はわかっていません。症状の多くは自然に軽快するため、まずは痛み止めの内服やステロイド注射などの保存療法を行います。症状が改善しない場合は、手術によってたまった石灰を摘出することもあります。
小円筋と大円筋の違い
小円筋に類似した筋肉として、大円筋があげられます。大円筋も肩関節の動きに関与する筋肉で、小円筋よりも下方についています。
大円筋の起始・停止や作用などについて、以下の表にまとめました。
| 起始 |
肩甲骨の下角部 棘下筋膜下部外面 |
|---|---|
| 停止 | 上腕骨の小結節稜 |
| 作用 | 肩関節内転、内旋、伸展 |
| 支配神経 | 肩甲下神経(C5〜C7) |
小円筋が肩関節の外旋に働く一方で、大円筋は内旋や内転などの作用があります。また、大円筋は肩甲骨と上腕骨の間を通って付着する筋肉であり、腱板に直接的には関与していません。
小円筋を鍛えるためのトレーニング
肩の動きをスムーズにしつつ、関節の安定性を高めるためには、小円筋のトレーニングが重要です。ここでは、小円筋を鍛えるトレーニング方法を解説します。
小円筋のトレーニング:その1
ここでは、1つ目の小円筋のトレーニング方法についてみていきましょう。
トレーニング方法
2. 肘を90度曲げた状態で、左右(内・外旋)に動かす
3. 20回×3セット行う
トレーニング中は、腕が脇から離れないように注意しましょう。
小円筋のトレーニング:その2
ここでは、2つ目の小円筋のトレーニングについてみていきましょう。
トレーニング方法
2. 肩関節と肘関節を90度屈曲した状態にする
3. 肘を支点にして、腕を左右に動かす
4. 20回×3セット行う
トレーニング中は、肘を動かさないように注意してください。
小円筋のストレッチ方法
小円筋をうまく働かせるためには、ストレッチによって筋肉の柔軟性を高めることも重要です。ここでは、小円筋をほぐすためのストレッチ方法を紹介します。
小円筋のストレッチ方法
2. 下側の肩関節と肘関節を90度屈曲した状態にする
3. 上側の手で下側の腕を持ち、床に向けて内旋方向にゆっくりと動かす
4. 痛みの出ない範囲まで内旋させて、その状態を20秒ほどキープする
5. 反対の腕で行う
小円筋の作用やトレーニング方法をおさえておこう!
小円筋は肩関節の外旋に働く筋肉で、さまざまな動作に関わっています。肩の運動だけでなく、腱板の1つとして関節を支えて、安定性を高める役割もあります。
小円筋の衰えは腱板断裂につながる恐れもあるため、トレーニングやストレッチの実施が重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、小円筋のアプローチに役立ててみてください。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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