巻き肩は筋トレで改善できる?おすすめメニューとそのほかのポイントを解説
公開日:2025.05.10
文:内藤 かいせい(理学療法士)
自分の姿勢が巻き肩かもしれないと思い、どのように改善すればよいのかを知りたい方もいるのではないでしょうか。
巻き肩を改善するためには、肩まわりの筋トレがおすすめです。巻き肩を放置すると肩こりや頭痛などの身体の不調につながる恐れがあるため、早めの改善が重要です。
この記事では、巻き肩の原因やおすすめの筋トレ方法をご紹介します。トレーニングの継続によって、まっすぐとしたキレイな姿勢につながるでしょう。
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巻き肩とは?
巻き肩は、肩が前方に丸まってしまう状態のことです。巻き肩になると姿勢が悪く見えるだけでなく、背中の筋肉に余計な負担がかかり、以下のような身体の不調を引き起こすことがあります。
● 頭痛
● 目の疲れ
● 呼吸の浅さ
このような不調が続く場合は、早期の改善が重要です。
また、巻き肩は猫背と混同しやすいですが、両者には違いがあります。猫背は背中全体が丸まった状態を指すのに対して、巻き肩は肩の部分だけが前方に出てしまうことです。
ただし、巻き肩と猫背は同時に起こることも多く、両方の改善が必要になるケースもあります。
巻き肩を引き起こす3つの原因
巻き肩は、どのような原因によって発症するのでしょうか。ここでは、おもな原因について解説します。
1. 普段の姿勢の悪さ
1つ目は、普段の姿勢の悪さです。とくにパソコンやスマートフォンを長時間使用する方は要注意です。
このような方は無意識に前屈みになりがちなので、肩が前方に出やすくなります。不良姿勢が続くことで肩まわりの筋肉が硬くなり、やがて巻き肩へとつながるのです。
とくにスマートフォンは多くの方が日常的に使用する機会が多いため、普段からの姿勢に気をつけることが重要です。
2. 筋力の衰え
2つ目は、筋力の衰えによるものです。背中や肩まわりの筋肉のなかには、姿勢を維持する役割を持っているものもあります。
たとえば、背中の中心部を通る「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」や背中上部に広範囲につく「僧帽筋(そうぼうきん)」などが、姿勢に関わっています。
加齢や運動不足によってこれらの筋肉が衰えると、正しい姿勢を保てなくなり、巻き肩を引き起こしてしまうのです。
3. 寝るときの姿勢
3つ目は、寝るときの姿勢によるものです。とくに横向きで寝ることは、巻き肩を引き起こす原因となります。横向きで寝ると、上になっている肩が前方に倒れやすくなります。
一方で、下になっている肩には体重がかかり、こちらも前方に押し出される形となるのです。横向きの姿勢を長時間続けると、肩が前方に出た状態で筋肉が硬くなり、巻き肩につながります。
また、寝具が原因で巻き肩を引き起こすことも少なくありません。
たとえば、枕の高さがあわなかったり、マットレスが柔らかすぎたりすると寝返りがしにくくなります。その結果、横向きの状態が続いて巻き肩を助長してしまうのです。
巻き肩のセルフチェック方法
巻き肩かどうかを知るためには、自分でチェックすることからはじめましょう。
巻き肩のセルフチェックとしては、まず鏡で姿勢を確認する方法があげられます。横向きで立ち、肩が前に出ている場合は巻き肩の可能性があります。
別の方法としては、あお向けの状態、または壁に背中をつけて、肩が床や壁についているかチェックしてみましょう。
肩がついていない状態であれば、巻き肩を疑う必要があります。
これらのセルフチェックで巻き肩に気づいたら、早めに対策をはじめることが大切です。
巻き肩改善におすすめの筋トレメニュー
巻き肩改善の方法としておすすめなのが、背中や肩まわりの筋トレです。筋トレによって筋肉を鍛えることで、姿勢が改善されて巻き肩の解消につながります。
ここでは、おすすめの筋トレメニューをご紹介します。
あお向けプッシュアップ
あお向けプッシュアップは壁に寄りかかって行うトレーニングで、腕を使って身体を持ち上げます。
このトレーニングでは肩の筋肉である「三角筋」の後ろ部分の線維を鍛えられます。
あお向けプッシュアップのやり方
2. 両手を広げつつ、壁につける
3. 両腕を後ろに伸ばし、身体を持ち上げる
4. ゆっくりもとに戻る
5. 3〜4の手順を10〜15回×2〜3セットを目安に行う
プランク
プランクは、うつ伏せになって身体を支えた状態をキープするトレーニングです。背中や腹筋など、体幹の筋肉を鍛えられるのが特徴です
プランクのやり方
2. 両腕を肩幅程度に開き、床につける
3. 手足で身体を持ち上げて、上半身と下半身を一直線にした状態を20秒ほどキープする
4. ゆっくりともとに戻る
5. 3〜4の手順を2〜3セット行う
プランク中は、身体を曲げたり反らせたりしないように注意して行いましょう。
Tレイズ
Tレイズとは、うつ伏せの状態で上半身を浮かすトレーニングです。広背筋や脊柱起立筋などの背中の筋肉を鍛えられます。
Tレイズのやり方
2. 両手を真横に広げる
3. 両手を広げた状態で、背中を反らせて上半身を床から離す
4. できるだけ反らせたら、ゆっくりもとに戻る
5. 3〜4の手順を10〜15回×2〜3セットを目安に行う
リアレイズ
リアレイズとは、ダンベルを持って両手を横に広げるトレーニングです。このトレーニングでは、肩の三角筋や背中の僧帽筋などの筋肉を鍛えられます。ダンベルを持っていない方は、水の入ったペットボトルで代用してみましょう。
リアレイズのやり方
2. 前屈みになり、両手は膝の前に位置する
3. 肘を軽く伸ばして、両手を横に広げる
4. 真横に広げたらゆっくり下ろす
5. 3〜4の手順を10〜15回×2〜3セットを目安に行う
筋トレ以外の巻き肩の改善方法
筋トレ以外にも、巻き肩を改善する方法はあります。ここでは、そのほかの改善方法についてみていきましょう。
ストレッチ
ストレッチによって、肩まわりの筋肉の柔軟性を高めることも重要です。巻き肩に効果的なストレッチとして、大胸筋を伸ばす方法がおすすめです。
大胸筋は胸の筋肉で、巻き肩になると短縮しやすくなります。大胸筋が短縮すると肩が丸まりやすく、さらに巻き肩が助長する原因にもなるのです。大胸筋のストレッチのやり方は、以下のとおりです。
大胸筋のストレッチのやり方
2. 壁に手をつける
3. 手をつけた状態で身体を前に突き出し、その状態を20秒ほどキープする
4. 反対の手で行う
身体を前に突き出す際は、大胸筋の付着部である肩関節の付け根部分を広げるようなイメージで行ってみましょう。
日常生活での姿勢の見直し
普段からの姿勢を見直し、改善することも重要です。前述したように、普段の姿勢が悪いことでも巻き肩が起こりやすくなります。とくにパソコンやスマートフォンの使用時は肩が前に出やすくなるため、以下のポイントを意識しましょう。
● 背もたれにしっかりと寄りかかる
● 画面から適度に離れ、前屈みにならない
また、普段から横向きで寝る習慣があると、肩が前に出てしまいがちです。できるだけあお向けで寝ることを心がけ、枕の高さやマットレスの硬さは適度なものを選択しましょう。
筋トレで巻き肩を解消しよう!
巻き肩は肩が前に出ている状態のことで、肩こりをはじめとした身体の不調のきっかけとなります。巻き肩の改善を目指すためには、筋トレで肩まわりや背中の筋肉を鍛えることが重要です。
またストレッチによる筋肉の柔軟性の向上や、普段の姿勢の見直しも並行して行ってみましょう。ぜひ今回の記事を参考にして、巻き肩の解消を目指してみてください。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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