土踏まずが痛いときの対処法は?原因と改善方法を解説
公開日:2025.05.12
文:内藤 かいせい(理学療法士)
土踏まずに痛みを覚えたときに、なにが原因なのか、どのようにして治せばよいか知りたい方はいませんか?
土踏まずが痛むきっかけはさまざまで、なかには普段の生活に支障をきたすこともあります。
この記事では、土踏まずが痛む原因や改善方法をご紹介します。
原因に適した対処をすることで、痛みの改善につながるでしょう。
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土踏まずが痛い原因とは?
土踏まずとは、足裏の中央部分のアーチ状になった部分を指します。ここでは、土踏まずが痛むおもな原因を解説します。
扁平足
扁平足とは、土踏まずである足裏のアーチが低くなっている状態のことです。土踏まずのアーチには、以下のような役割があります。
● 体重の分散
● バランスの維持
扁平足になると、このようなアーチの役割が機能しなくなり、足の痛みや疲労感などの症状が現れやすくなります。
扁平足の原因は、おもに先天性(生まれつき)のものと後天性なものがあります。後天的な扁平足の原因は、以下のとおりです。
● 足にあわない靴の使用
● 過度な運動
● 体重の増加
足底腱膜炎
足底腱膜炎とは、足裏のかかとから指までについている「足底腱膜」という組織に炎症が起きる状態です。足底腱膜は、土踏まずのアーチを作るうえで重要となる組織です。
しかし、以下のような原因で足底腱膜に負荷がかかると、炎症を引き起こして足底腱膜炎の発症につながります。
● 激しい運動
● 体重の増加
● 加齢による組織の老化
おもな症状としては、歩くときのかかとや足裏の痛みなどがあげられます。
とくに歩きはじめは痛みが強くなる傾向にありますが、しばらく歩くと軽減するのが特徴です。
後脛骨筋炎
後脛骨筋炎(こうけいこつきんえん)とは、後脛骨筋と呼ばれる筋肉が炎症を起こした状態のことです。
後脛骨筋は、ふくらはぎから足の指にかけてつく筋肉で、土踏まずのアーチを支える役割があります。
この後脛骨筋に負荷がかかることで炎症を起こし、土踏まずの痛みや足首の腫れなどの症状が現れます。
運動時に痛みが強くなり、そのまま続けると症状が悪化する恐れもあるでしょう。
後脛骨筋炎はランニングやジャンプなど、繰り返し後脛骨筋に負荷がかかる運動がおもな発症原因です。
適切な治療を受けないまま運動を続けると、症状が慢性化したり、後脛骨筋腱が断裂したりすることもあります。
有痛性外脛骨
有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)とは、土踏まずの付近にある骨(外脛骨)に痛みが生じる状態のことです。
外脛骨は出っ張りのような骨のことで、すべての方についているわけではありません。
有痛性外脛骨を発症すると、運動時に足の内側や土踏まずに痛みが生じやすく、腫れがみられることもあります。
外脛骨の付近には、前述した後脛骨筋の腱がついています。
激しい運動によって後脛骨筋腱と外脛骨がこすれると、有痛性外脛骨を発症しやすくなるのです。
土踏まずの痛みを改善する方法
土踏まずの痛みを改善するためには、どのような方法が効果的なのでしょうか。
ここでは、具体的な改善方法について解説します。
足の筋トレ
筋肉の衰えが原因で扁平足となり、土踏まずの痛みが出ている場合は、足の筋トレがおすすめです。
足裏の筋肉を鍛えることで土踏まずのアーチが作られるようになり、痛みの軽減につながります。具体的な足の筋トレメニューは、以下のとおりです。
【かかと上げ】
2. できるだけ大きく両足のかかとを上げる
3. ゆっくりかかとを下ろす
4. 2〜3の手順を15〜20回×2〜3セットを目安に行う
かかと上げはふくらはぎの筋肉だけでなく、後脛骨筋のトレーニングにもなります。
足のグーパー運動
2. 足の指をグーパーと伸ばす・曲げるを繰り返す
3. 50〜100回×2〜3セットを目安に行う
足のグーパー運動では、足の全体的な筋肉を鍛えられます。
足のストレッチ
足の筋肉や組織の柔軟性の低下が原因で痛みが出ている場合は、ストレッチを行ってみましょう。
ストレッチによって足まわりの柔軟性を高めることで、土踏まずにかかる負担が少なくなり、痛みの軽減につながります。具体的なストレッチの方法は、以下のとおりです。
アキレス腱伸ばし
2. 片足を後ろに引き、イスや壁に体重を乗せる
3. 後ろに引いた足のふくらはぎを伸ばす
4. 20秒ほど伸ばしたら反対の足で行う
アキレス腱伸ばしでは、ふくらはぎの筋肉や後脛骨筋を効果的にストレッチできます。
足底腱膜のストレッチ
2. かかとを支えつつ、一方の手で足の指を持つ
3. つま先を上げつつ、足の指をゆっくり反らせる
4. 反らせた状態を20秒ほどキープする
5. 反対の足で行う
ストレッチする際は、痛みが出ない範囲で行い、リラックスしながら持続的に伸ばしていきましょう。
マッサージ
筋肉や組織の硬さによって土踏まずの痛みが生じている場合、ストレッチだけでなくマッサージもおすすめです。
マッサージによって、筋肉や組織の緊張をほぐし、柔軟性の改善が期待できます。セルフマッサージでふくらはぎや足裏を適度に指で圧迫して、もみほぐしてみましょう。
強すぎる刺激は逆効果となるため、心地よい強さで行うことが大切です。
また、テニスボールやゴルフボールを使ったマッサージも効果的です。
ボールの上に足裏を乗せ、体重をかけながらゆっくりと前後に動かしていきます。これにより、足裏の筋肉や足底腱膜を効率的にほぐせます。
インソールやサポーターの使用
インソールやサポーターの使用も土踏まずの痛みの軽減につながります。インソールとは、土踏まずのアーチにあわせて作られた中敷きのことです。
インソールの使用によって歩行時の衝撃が分散され、土踏まずにかかる負担が軽減されます。
サポーターは、土踏まずのアーチを外側から支える補助具です。伸縮性のある素材によって土踏まずを適度に圧迫することで、アーチの保持をサポートします。
これらの道具は、症状や足の形状によって適したものが異なります。
まずは医療機関や専門店で相談し、自分の足にあったものを使用しましょう。
運動量の調整
スポーツが原因で土踏まずの痛みが生じている場合は、運動量の調整が重要です。
過度な運動は症状を悪化させる原因となるため、自分の体調にあわせて調整する必要があります。
具体的な調整方法としては、運動時間を短縮する、運動の頻度を減らすなどがあげられます。
たとえば、毎日1時間のウォーキングをしている場合、30分に短縮する、2日に1回ペースに変更するなどの工夫をしてみましょう。
このように、運動量を調整することで土踏まずの負担が軽減し、痛みの改善が期待できます。
土踏まずが痛い場合は早期の対処が重要
土踏まずのアーチは、運動時の衝撃の吸収や体重の分散など、さまざまな役割があります。
土踏まずが痛む原因には、扁平足や足底腱膜炎などが考えられます。
痛みを改善するためには、このような原因にあわせた対処が必要です。
ぜひこの記事を参考にして、痛みが生じている場合は早期からの対処を心がけましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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