肩甲骨はがしのやり方には要注意!誤った方法での危険性や安全に行うコツを解説
公開日:2025.05.14

文:内藤 かいせい(理学療法士)
肩甲骨はがしとは、肩甲骨を動かすことで周囲の筋肉をほぐし、関節の柔軟性を高める方法です。
身体の不調改善につながる一方で、間違った方法で行うと痛みをはじめとした問題が生じる危険性もあります。
この記事では、間違った肩甲骨はがしを行った場合の危険性や安全に行うためのポイントをご紹介します。
適切な方法を知ることで、安全かつ効果的に肩甲骨はがしを行えるでしょう。
おすすめ特集
肩甲骨はがしとは?
肩甲骨はがしとは、肩甲骨をはがすように動かすことで周囲の筋肉をほぐし、動きを改善する方法です。この施術は、デスクワークやスマートフォンの使用などによる姿勢の悪化で、肩・首のこりに悩む方に対して行われています。肩甲骨を動かすことで、筋肉の緊張をほぐし、血行促進が期待できます。
さらに、肩甲骨の位置を整えることで姿勢が改善し、身体の不調軽減につながるのです。
肩甲骨はがしはさまざまな効果が期待できる施術ですが、安全に行うためには正しい知識と適切な方法で行う必要があります。
肩甲骨はがしには危険性がある?

肩甲骨はがしは、間違った方法で行うと身体に悪影響が出る恐れもあります。ここでは、どのような危険性があるのかをご紹介します。
筋肉への悪影響
肩甲骨はがしを誤った方法で行うと、筋肉に悪影響をおよぼす可能性があります。肩甲骨まわりには、以下のような肩甲骨の動きに関わる筋肉が集まっています。
● 広背筋
● 菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨を強引に動かすと、これらの筋肉が損傷して痛みや炎症を引き起こす原因となるでしょう。
筋肉が損傷すると、腕を上げる、物を持ち上げるなどの日常生活にも支障をきたしやすくなります。
関節への悪影響
肩甲骨はがしは、肩関節にも悪影響が出る恐れもあります。とくに注意すべきなのが、肩甲骨を無理に動かすことで起こる肩関節の脱臼です。
肩関節は人体のなかでも可動域が広い関節であり、その反面不安定な構造になっています。肩甲骨に不適切な力がかかると、関節が正常な位置からずれてしまう可能性があります。
また、肩甲骨はがしの際に過度な力をかけると、関節を支える靭帯や関節包などの組織を傷めることもあるでしょう。
これらの組織が損傷すると、関節の安定性が低下するだけでなく、慢性的な痛みや違和感の原因となります。
神経の悪影響
肩甲骨の周辺には神経が通っており、不適切な肩甲骨はがしによって損傷につながる恐れがあります。肩甲骨の周辺を走る神経は、腕や手の感覚・運動に関係しています。
強引な肩甲骨はがしによって神経が傷つくと、以下のような症状が現れることもあるでしょう。
● 痛み
● 筋力低下
肩甲骨はがしを安全に行うポイント

肩甲骨はがしを安全に行うためには、どのような工夫をすべきでしょうか。ここでは、具体的なポイントを解説します。
施術前にリスクのチェックをする
施術前は、対象者の状態を把握して肩甲骨はがしのリスクがないかチェックすることが大切です。
まず確認すべき点が、首や肩関節の疾患の有無です。五十肩や頚椎症などの疾患がある場合、肩の可動域が制限されている可能性があります。
そのため、無理に肩甲骨を動かすと筋肉をはじめとした組織を痛める恐れがあります。
また、骨の状態についても入念なチェックが必要です。高齢の方や骨粗鬆症の方は骨が脆くなっている可能性があり、強い力で肩甲骨を動かすと骨折のリスクが高まります。
施術によるトラブルを予防するためにも、対象者の状態を慎重に確認しましょう。
身体の状態にあわせた強さで行う
肩甲骨はがしを行う際は、対象者の状態にあわせた強さで行うことが重要です。
力加減を誤ると筋肉や関節を傷つける恐れがあるため、慎重に力の強さを調整する必要があります。
とくに肩こりが重症化している場合は、肩甲骨を動かすための隙間が少なくなりがちです。この状態で無理に力を入れると、筋肉を痛める原因となります。
肩甲骨はがしは一度に強く行うのではなく、段階的に力を調整することが大切です。
最初は軽い力で様子をみて、反応を確認しながら徐々に力を入れていきましょう。このように丁寧に施術を進めることで、安全で効果的な施術が可能となります。
肩甲骨はがしに注意が必要な方の特徴
肩甲骨はがしはすべての方に適用があるわけではなく、なかには注意すべきケースもあります。ここでは、注意すべき方の具体的な特徴を解説します。
持病や既往歴がある方
肩甲骨はがしは、持病や既往歴のある方にとって危険な場合があります。とくに以下のような疾患がある方は、施術によって症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
● 関節炎
● 神経系の疾患
骨粗鬆症の方は骨密度が低下しているため、強い圧力をかけると骨折のリスクが高まります。
関節炎の方は関節に負担がかかることで、炎症が悪化して痛みが増す可能性があります。
ヘルニアをはじめとした神経系の疾患がある方は、施術によって神経を圧迫し、しびれや痛みなどの症状が強まることもあるでしょう。
このような持病や既往歴のある方は、必ず事前に医師に相談してから肩甲骨はがしを行うようにしましょう。
痛みや違和感を訴えたらすぐに施術を中止し、医師に相談することを心がけてください。
子どもや高齢者
子どもや高齢者に肩甲骨はがしを行う際も注意が必要です。
子どもの場合、骨や筋肉がまだ発達段階にあります。施術によって骨や筋肉を痛めると、成長に悪影響をおよぼす恐れがあります。
高齢者の場合、加齢による骨密度の低下や筋力の衰えがみられることが多いでしょう。そのため、強い力で施術を行うと、骨折や筋肉の損傷を引き起こす可能性があります。
子どもや高齢者に肩甲骨はがしを行う場合は、事前に医師に相談しましょう。
自分でできる肩甲骨はがしのやり方
肩甲骨はがしは、自分で行うことも可能です。自分でできる肩甲骨はがしのやり方は、以下のとおりです。
肩甲骨はがしのやり方
2. 両手をゆっくり上げる
3. 手のひらを外側に向けながら肘を伸ばし、肩の高さまで手を下げる
4. 2〜3の手順を3〜5回行う
腕だけではなく、肩甲骨ごと動かすことを意識して行いましょう。手を下げる際は、両方の肩甲骨を寄せるイメージで行ってみてください。
■関連記事
肩こりに効果的な「肩甲骨はがし」とは?自分でできるストレッチ法や効果を解説
肩甲骨はがしの危険性を把握しておこう
肩甲骨はがしは肩甲骨周囲の筋肉をほぐす施術で、可動域や姿勢の改善などの効果が期待されています。一方で、強く行ったり、無理に圧迫したりすると筋肉や神経を痛める原因となります。
安全に肩甲骨はがしを行うためには、対象者のリスクをチェックしたうえで、適度な強さで行うことが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、適切な肩甲骨はがしを実践してみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
他の記事も読む
- 【足のだるさを取る方法】仕事の合間にできるストレッチと日々のケアを紹介!
- 【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!
- カエル足ストレッチで変わる!股関節が柔らかくなると得られる5つの変化
- 冷え性の原因からケアまで!今日から始めたいストレッチ3選
- プランクプッシュアップとは?鍛えられる筋肉や正しいやり方をご紹介
- スパイダープランクで全身の筋肉を鍛えよう!正しいやり方や効果を高めるポイントを解説
- ハイプランクの効果とは?鍛えられる筋肉や正しいやり方を解説
- 【便秘でお困りの方へ】自宅でできるストレッチと対処法を解説!
- 【全身ストレッチの基本】毎日続けたいストレッチ5選
- 壁プランクの正しいやり方は?おもなメリットや効果を高めるポイントをご紹介
- 膝つきプランクで気軽にトレーニング!正しいやり方や効果を高めるポイントを解説
- プランクジャックとはどんなトレーニング?正しい方法や鍛えられる筋肉をご紹介
- バランスボールプランクで体幹筋を鍛えよう!正しいやり方や実施中の注意点を解説
- ツーポイントプランクを行うポイントは?正しいやり方や鍛えられる筋肉を解説
- ハイリバースプランクのやり方は?鍛えられる筋肉や実施中のポイントを解説
- リバースプランクはどの筋肉を鍛えられる?正しいやり方や効果を高めるコツを解説
- ワンレッグプランクはどの筋肉を鍛えられる?正しいやり方やコツをご紹介
- 寝ると背中が痛いのに、起きると治るのはなぜ?具体的な原因と対処法をご紹介
- 葉酸の効果とは?1日に必要な摂取量や効率的に取るポイントを解説
- コーヒーは1日何杯飲んでいい?カフェインの摂取量目安と健康効果が期待できる飲み方とは





