薄筋の具体的な作用とは?起始・停止やおすすめのトレーニング方法もご紹介
公開日:2025.06.16

文:内藤 かいせい(理学療法士)
薄筋とはどんな筋肉なのか、どのような作用があるのか詳しく知りたい方はいませんか?この筋肉は股関節の内転筋群の一つで、下肢の運動に関わっています。
この記事では、薄筋の解剖学的な知識やトレーニング・ストレッチ方法をご紹介します。薄筋の知識を深めることで、適切なアプローチが可能となるでしょう。
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薄筋はどんな筋肉?

薄筋とはどんな筋肉なのでしょうか。ここでは、起始・停止や作用について順番に解説します。
薄筋の起始・停止
薄筋は骨盤から脛骨に向かって走行している筋肉で、股関節の内転筋群の一つです。薄筋の起始・停止や支配神経は、以下のとおりです。
| 起始 | 恥骨下枝 |
|---|---|
| 停止 | 脛骨内側面(鵞足) |
| 作用 | 股関節の内転 膝関節の屈曲・内旋 |
| 支配神経 | 閉鎖神経前枝(L2〜L4) |
薄筋の触診方法として、まず被検者にあお向けになってもらいます。股関節は軽度内旋位、膝関節は伸展位の状態で下腿を支えつつ外転させます。その後、股関節内転方向に抵抗をかけると、筋腹の確認および触知が可能です。
薄筋の作用
薄筋のおもな作用は、次のとおりです。
● 膝関節の屈曲・内旋
薄筋を含めた股関節内転筋群は、歩行時の安定感を高める役割があるとされています。また膝の屈曲・内旋は、階段昇降や方向転換などの動作に関わっています。薄筋は二関節筋であるため、下肢の運動において多面的な作用を持つ筋肉といえるでしょう。
薄筋の停止部である「鵞足」について
薄筋の停止部である「鵞足」とは、どのような部位なのでしょうか。ここでは、鵞足について詳しく解説します。
鵞足は複数の筋肉が付着する部位のこと
鵞足とは、脛骨の上部内側にある部位のことです。この部位は、以下の3つの筋肉が合流して付着しています。
● 縫工筋
● 半腱様筋
これらの筋腱が集まる様子がガチョウの足に似ていることから、「鵞足」と名付けられています。縫工筋と半腱様筋の具体的な情報について、以下の表にまとめました。
【縫工筋】
| 起始 | 上前腸骨棘 |
|---|---|
| 停止 | 脛骨粗面の内側(鵞足) |
| 作用 | 股関節の屈曲・外転・外旋 膝関節の屈曲・内旋 |
| 支配神経 | 大腿神経(L2〜L3) |
【半腱様筋】
| 起始 | 坐骨結節 |
|---|---|
| 停止 | 脛骨粗面の内側(鵞足) |
| 作用 | 股関節の伸展・内転・内旋 膝関節の屈曲 |
| 支配神経 | 坐骨神経の脛骨神経部(L4〜S2) |
縫工筋についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:縫工筋の作用や起始・停止は?鍛え方やストレッチ方法もご紹介
薄筋の損傷で鵞足炎になることも
薄筋を含む鵞足に付着する筋肉の過度な使用は、鵞足炎を引き起こす恐れがあります。鵞足炎とは、鵞足部分とその周囲の滑液包に炎症が生じた状態のことです。鵞足炎の典型的な症状としては、以下のとおりです。
● 圧痛
● 腫れ
とくに階段を下りるときや長時間の歩行後に痛みが出やすいのが特徴です。症状が重度化すると、安静時でも痛みをともなうこともあります。鵞足炎の発症原因は、ランニングや階段の上り下りなど、膝を頻繁に曲げる動作を繰り返し行うことがあげられます。薄筋の柔軟性の低下も、鵞足炎を引き起こす要因の一つです。
鵞足炎を発症したら適切な休息やアイシングが重要で、場合によっては医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要もあります。
薄筋を鍛えるおすすめのトレーニング

薄筋を鍛えることで、普段の生活動作の改善が期待できます。ここでは、薄筋を鍛えるためのおすすめのトレーニング方法をご紹介します。
ヒップアダクション
ヒップアダクションとは、横向きに寝た状態で下側にある足を上げるトレーニングです。
【ヒップアダクションのやり方】
2. 下方向の足を伸ばす
3. 上方向の足を曲げて、下方向の膝の前に足をつける
4. 下方向の足をできる範囲で真上に上げる
5. 上げきったらゆっくり下ろす
6. 4〜5の手順を左右で10〜15回×2〜3セットを目安に行う
つま先の向きは前方向にして、内ももを意識しながら上げてみましょう。
ワイドスクワット
ワイドスクワットは、足を広げた状態で行うスクワットです。通常のスクワットと比較して、内転筋群を鍛えやすいのが特徴です。
【ワイドスクワットのやり方】
2. つま先をやや外側に向ける
3. 背筋を伸ばしたままゆっくり股関節と膝を曲げる
4. 膝を90度ほど曲げたら、ゆっくりともとに戻る
5. 3〜4の手順を15〜20回×2〜3セットを目安に行う
サイドランジ
サイドランジとは、横方向に足を踏み出すトレーニングです。このトレーニングでは、内転筋や大殿筋などの筋肉を効率的に鍛えられます。
【サイドランジのやり方】
2. 右足を真横に踏み出す
3. 右足に体重を乗せ、膝を90度ほど曲げる
4. ゆっくりと足を戻し、反対の足で行う
5. 左右それぞれ15〜20回×2〜3セットを目安に行う
薄筋のストレッチ方法
薄筋の柔軟性を高めるためには、ストレッチを行うことが大切です。筋肉の柔軟性が高まれば、運動時のケガ予防につながります。具体的なストレッチ方法をみていきましょう。
【薄筋のストレッチ方法:その1】
2. 片足の膝を横に広げ、つま先はできるだけ前方向に向ける
3. 反対の股関節をできるだけ曲げ、その状態をキープする
4. 20秒ほどキープしたら反対の足で行う
【薄筋のストレッチ方法:その2】
2. 片方の足を天井に向かって伸ばし、足にタオルを引っ掛ける
3. 引っ掛けたタオルを持ち、反対の足を45度ほど広げる
4. 伸ばした足をゆっくり外側に向ける
薄筋の役割を把握して適切なトレーニングを
薄筋は骨盤から鵞足にかけて付着する筋肉で、股関節・膝関節の運動に関わっています。鵞足には縫工筋や半腱様筋もついており、停止部分にストレスがかかると鵞足炎を発症することもあります。
薄筋による身体の不調を改善するためには、筋トレやストレッチの継続が重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、日常的に薄筋のケアを取り入れてみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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