膝裏にある膝窩筋の作用とは?痛みが現れる原因やその対処法をご紹介
公開日:2025.06.21

文:内藤 かいせい(理学療法士)
膝裏にある膝窩筋について、どのような作用があるのかよく知らない方もいるのではないでしょうか。膝窩筋は小さい筋肉ですが、膝の運動や関節のサポートなど、さまざまな役割があります。
この記事では、膝窩筋の解剖学的情報や筋の問題によって生じる影響をご紹介します。どのような筋肉なのかを知ることで、臨床場面で役立つきっかけとなるでしょう。
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膝窩筋とは?

膝窩筋とはどのような筋肉なのでしょうか。ここでは、膝窩筋の起始・停止や作用について解説します。
膝窩筋の起始・停止
膝窩筋とは、膝裏にある三角形状の小さな筋肉のことです。膝窩筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
| 起始 | 大腿骨外側上顆の外側面 |
|---|---|
| 停止 | 脛骨後面上内側部 |
| 作用 | 膝関節の屈曲 脛骨の内旋 |
| 支配神経 | 脛骨神経(L3〜S2) |
膝窩筋の触診方法として、まず被検者にうつ伏せになってもらい、腓腹筋の深部にある腓骨頭内側に触れます。膝の屈曲・内旋方向に軽く抵抗をかけると、膝窩筋の筋収縮を確認できます。
膝窩筋の作用
膝窩筋の作用には、次のようなものがあります。
● 下腿の内旋(膝のロック解除)
● 膝組織のインピンジメントの防止
膝窩筋が収縮すると、膝の屈曲だけでなく脛骨の内旋が加わります。この内旋作用は、膝関節の固定(ロック)を解除するときに重要です。膝が完全に伸びた状態になると、関節同士がはまりこんで固定化されます。このときに膝窩筋が下腿を内旋させることで、このロックを解除して膝を屈曲できるのです。
また、膝窩筋は外側半月板とも癒合しているのも特徴です。膝を曲げるときに半月板を後方に引っ張ることで、大腿骨と脛骨間のインピンジメント(挟み込み)を防いでいます。このように、膝窩筋は小さな筋肉ですが、さまざま重要な役割があることがわかるでしょう。
膝窩筋に痛みが生じる原因
膝裏の痛みが出ている場合、膝窩筋に問題が生じている可能性があります。ここでは膝窩筋の問題によって痛みが生じる原因を解説します。
半月板のインピンジメント
半月板のインピンジメントは、膝窩筋の機能不全が原因で起こることがあります。先述したように、膝窩筋は膝を曲げるときに半月板を後方へ引く働きがあります。この働きにより、半月板が骨と骨の間に挟まることなく、スムーズに膝を曲げられるのです。
しかし、膝窩筋の衰えや機能低下が生じると、半月板を後方に引っ張りにくくなります。その結果、膝を曲げる際に半月板が骨の間に挟まりやすくなり、痛みが生じます。膝を曲げた際に痛みが現れている方は、このインピンジメントが原因の可能性があるでしょう。
膝窩筋炎
膝窩筋炎とは、膝窩筋に炎症が生じた状態のことです。この炎症により、膝裏に痛みや不快感が現れ、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすことがあります。
膝窩筋炎のおもな原因は、膝の過度な使用や負担の増加です。ランニングやジャンプなど、膝を頻繁に曲げ伸ばしする動作の繰り返しで、膝窩筋に過度な負担がかかって炎症を引き起こすことがあります。また変形性膝関節症をはじめとした膝の疾患がある方は、膝をかばうような動きをして膝窩筋に負担がかかりやすくなります。
膝窩筋に痛みがある場合の対処法

膝窩筋に痛みがある場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な対処法についてみていきましょう。
過度な運動を避ける
膝窩筋に強い痛みを感じている場合、まずは過度な運動を控えることが重要です。とくに受傷直後は炎症が強い時期なので、無理に膝を使うことで症状が悪化する恐れがあります。普段から運動をしている方は負荷量を調整し、痛みがある場合は休むことを心がけましょう。
膝裏に熱がある際は、アイシング(冷却)をして、炎症をやわらげるのもおすすめです。安静にしていても強い痛みが続く、熱感・腫れが強いなどの場合は、医療機関を受診することを検討しましょう。適切な治療を受けることで、早期回復につながります。
膝窩筋のストレッチ・マッサージをする
膝窩筋が凝り固まっている場合は、ストレッチやマッサージがおすすめです。膝窩筋をほぐすことで血行が促進され、痛みの軽減につながります。膝窩筋のストレッチとマッサージの方法は、以下のとおりです。
【膝窩筋のストレッチのやり方】
2. 指の腹の部分で膝裏の筋肉をほぐす
3. 膝裏を指でおさえつつ、ゆっくり膝を伸ばす
4. 反対側の足も同様に行う
【膝窩筋のマッサージのやり方】
2. 片方の膝を立てる
3. もう片方の膝裏にテニスボールを当てる
4. 圧をかけながら膝を小さく動かす
5. 反対側の足も同様に行う
膝まわりの筋トレをする
膝窩筋の衰えによって痛みが出ている場合、膝まわりの筋トレが重要です。膝まわりの筋力を鍛えることで関節の動きが安定し、膝窩筋にかかる負担の軽減につながります。すぐにできる膝まわりのトレーニングとしては、以下のとおりです。
● スクワット
● ランジ(足を前に踏み出す運動)
● あお向けでのお尻上げ
これらの運動は自宅でも気軽に行えるので、膝まわりの衰えを感じている方はぜひチャレンジしてみましょう。筋トレを行う際は、無理のない範囲ではじめ、徐々に負荷を上げていくことが大切です。痛みが強くなる場合はすぐに中止し、症状が落ち着いてから再開しましょう。
膝窩筋の特徴をおさえておこう!
膝窩筋は膝裏にある筋肉で、膝の屈曲や脛骨の内旋運動に関わっています。そのほかにも、膝のロック解除やインピンジメント予防によってスムーズに関節を動かせるようにする役割もあります。
膝窩筋による痛みが出ている場合は過度な運動を避け、ストレッチやマッサージを行うことが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、膝窩筋の特徴やアプローチ方法をおさえておきましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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