後脛骨筋の作用とは?起始・停止やおすすめの筋トレ・ストレッチ方法を解説
公開日:2025.06.24

文:内藤 かいせい(理学療法士)
後脛骨筋にはどのような作用があるのか、詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。後脛骨筋は足部の運動だけでなく、アーチの形成や歩行補助などの役割があります。一方で、この筋肉の衰えや使いすぎによって、さまざまな問題が生じることもあるのです。
この記事では、後脛骨筋の作用や機能改善の方法をご紹介します。後脛骨筋の機能について詳しく知ることで、足部の問題解消につながるでしょう。
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後脛骨筋の起始・停止

後脛骨筋は、下腿から足にかけてついている筋肉です。後脛骨筋の起始・停止や支配神経について、以下の表にまとめました。
| 起始 | 下腿骨間膜の後面上半 下腿骨間膜に接する脛骨・腓骨 |
|---|---|
| 停止 | 舟状骨粗面 内側・中間・外側楔状骨 立方骨 第2〜3中足骨底 |
| 作用 | 足の内返し・底屈 |
| 支配神経 | 脛骨神経(L5〜S2) |
後脛骨筋の触診方法として、足関節を底屈位にした状態で抵抗をかけつつ、内返しをしてもらいます。このときに後脛骨筋の腱の触知が可能です。
後脛骨筋のおもな作用

後脛骨筋には、どのような作用があるのでしょうか。ここでは具体的な作用について解説します。
足部の運動
後脛骨筋は足部の運動に関わっており、具体的には底屈と内返しです。とくに足関節の底屈は、以下のようなさまざまな動作で行っています。
● ジャンプ
● 階段の昇り降り
● 歩行時の蹴り出し
これらの足部の運動を円滑に行うためには、後脛骨筋をうまく働かせることが重要です。
足部アーチの形成
後脛骨筋は、足部のアーチを形成する役割も担っています。足部には、以下の3種類のアーチがあります。
● 外側縦アーチ
● 横アーチ
これらのアーチには、衝撃の吸収や歩行時の推進力向上などの働きがあります。後脛骨筋は、内側の骨にある「舟状骨」を引き上げ、内側縦アーチの形成と維持に関わっているのです。反対に、後脛骨筋が衰えるとアーチの機能が低下し、本来の働きがうまく発揮できなくなります。
足部の外返しの制動
後脛骨筋は、歩行時に足部の外返しを制動する役割もあります。歩行時の立脚期では、体重がかかることで内側縦アーチがたわみ、足部が外返し方向に動きます。このときに後脛骨筋が働くことで、過度な外返しを防ぎ、足部の安定性を維持できるのです。
さらに、外返しの制動によって、歩行時のスムーズな蹴り出しが可能となります。後脛骨筋の機能不全があると足部の過度な外返しが生じ、歩行時の推進力の低下、関節への負担増加などを引き起こす恐れがあります。
このように、後脛骨筋は足の運動だけでなく、歩行時の安定性を保つための働きもあるのです。
後脛骨筋の異常によって生じる問題
後脛骨筋に異常が生じることによって、さまざまな影響が現れる場合があります。ここでは、後脛骨筋に関わる問題をご紹介します。
後脛骨筋機能不全
後脛骨筋機能不全とは、後脛骨筋が正常に機能しなくなる状態のことです。後脛骨筋機能不全になると、足の内側縦アーチが低下して、扁平足を引き起こすことがあります。扁平足によって、足の痛みや歩行時の蹴り出しの低下などの問題につながります。
さらに、症状が進むと骨の変形や慢性的な歩行障害になることもあるでしょう。後脛骨筋機能不全のおもな原因は、以下のとおりです。
● 加齢による後脛骨筋の衰え
後脛骨筋腱炎
後脛骨筋腱炎とは、後脛骨筋の腱に炎症が生じている状態です。後脛骨筋腱炎は、運動や仕事などで後脛骨筋に過度な負担がかかることで発症します。そのほかにも、自分のサイズにあわない靴を長期間使用することも発症原因の一つです。
後脛骨筋腱炎になると、足部の痛みや腫れなどをともないます。後脛骨筋腱炎を発症した際は安静やリハビリなどの保存療法が行われ、腱が断裂している場合は手術を検討する必要もあります。
有痛性外脛骨
有痛性外脛骨とは、足の内側にある「外脛骨」と呼ばれる過剰骨に痛みや炎症が生じる状態です。外脛骨は発達の過程でできた骨で、なかにはこの骨がない方も珍しくありません。有痛性外脛骨が発症するおもな原因が、後脛骨筋腱と外脛骨間での摩擦によるものです。後脛骨筋が働くことで外脛骨に接触し、その繰り返しによって腫れや痛みなどの炎症が現れます。
このような症状から、後脛骨筋腱炎と勘違いする方もいるでしょう。とくに扁平足の方やスポーツをよくする方は後脛骨筋に負担がかかりやすいため、有痛性外脛骨を発症しやすくなります。
後脛骨筋の機能を改善する方法
後脛骨筋の機能を改善し、問題を予防・解消するためには、どのような方法を実践すればよいのでしょうか。ここでは、具体的な改善方法を解説します。
筋トレ
後脛骨筋の機能を改善するには筋トレがおすすめです。筋トレによって後脛骨筋の筋力を高めることで、衰えによる機能低下を予防できます。具体的な後脛骨筋の筋トレ方法は、以下のとおりです。
【カーフレイズ】
2. ゆっくりとかかとを上げつつ、足裏を内側に向ける
3. できるだけ上げたら、ゆっくりと足を下ろす
4. 2〜3の手順を15〜20回×2〜3セットを目安に行う
【ゴムバンドを使用した筋トレ】
2. 組んだ足にゴムバンドを巻く
3. 反対の足でゴムバンドを踏んで固定する
4. 組んだ側の足首を内側に曲げてゴムバンドを引っ張る
5. 左右の足で15〜20回×2〜3セットを目安に行う
ストレッチ
後脛骨筋のストレッチも重要です。ストレッチによって筋肉の柔軟性を高めることで、運動時のケガ予防につながります。後脛骨筋のストレッチ方法は、以下のとおりです。
【後脛骨筋のストレッチ方法】
2. 足を立てた側の膝は、やや外側に向ける
3. 足を立てた側に少しずつ体重を乗せて、足関節を背屈させる
4. できるだけ背屈させた状態を20秒ほどキープする
5. 反対の足で行う
テーピングやインソールの活用
テーピングやインソールの活用により、足部アーチの形成を補助して後脛骨筋への負荷を減らせます。テーピングは後脛骨筋の機能を補助でき、症状や目的によって強度を調整できるのが特徴です。軽度の痛みや予防目的であれば、伸縮性のある薄いテープの使用がおすすめです。しっかりと足部を保護したい場合は、やや硬めの伸縮テープを使用してみましょう。
インソールも同様に、活用することで足部のアーチが作りやすくなり、歩行時の痛みや疲れやすさの改善が期待できます。インソールは既製品を使用することが多いですが、症状が重い場合は専門家に相談してオーダーメイドのものを検討するのもよいでしょう。
後脛骨筋の作用や関連する問題について知っておこう
後脛骨筋は足部の筋肉で、足関節の底屈や内返しなどの働きがあります。そのほかにも、足部のアーチの形成や歩行時の外返しの制動といった役割もあります。
後脛骨筋の衰えや使いすぎは、扁平足や炎症の原因となるため、適切なケアが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、後脛骨筋の筋トレやストレッチなどを実践してみましょう。

内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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