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動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

公開日:2025.07.01

動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)

「健康診断で動脈硬化に気をつけましょうと言われてしまった」というお悩みはないでしょうか。また専門職の方であれば、動脈硬化があると言われた方に対して「どのような指導をしたら良いの?」と疑問に思うことはないでしょうか。
動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や脳梗塞などを引き起こす可能性があり、その後の人生に大きな影響を及ぼします。そのため、ぜひ積極的に予防をしたい状態の一つです。そして、実は体の硬さと動脈硬化は関連しており、ストレッチを行うことで改善の効果が見られるという報告もあります。
そこで当記事では、動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を紹介します。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。

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そもそも動脈硬化とは?

動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールなどの脂質が溜まり、血管が狭くなったり硬くなったりする状態のことです。

動脈は、全身に酸素や栄養素を届ける働きをしています。そして心臓の収縮による圧力に耐えるため、三層の壁(内膜・中膜・外膜)から構成されているのです。本来は、エネルギー源として利用される脂質やコレステロールは、この内膜を通過して取り込まれます。

しかし余分なコレステロールが溜まったり変性すると、血管の内膜の下にプラークという塊ができ、血流を妨げる原因になるのです。このプラークが蓄積した状態を動脈硬化と言います。

動脈硬化になる理由

動脈硬化になる理由は一つではありません。悪玉コレステロールや中性脂肪が多すぎること、善玉コレステロールが少ないこと、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病などさまざまな生活習慣や体の状態が重なって進行します。

動脈硬化が原因で起こる主な病気

動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす可能性があります。具体的にどのような病気を引き起こすのか下記で解説します。

狭心症・心筋梗塞

心臓の栄養血管である冠動脈が狭くなり一時的に血流が低下するのが狭心症、完全に閉塞し心筋が壊死するものを心筋梗塞と言います。

狭心症では、胸痛や胸の圧迫感などの症状が出現します。心筋梗塞の場合は、強い胸の痛みや呼吸苦、冷や汗、意識消失など命に関わる症状が出現するため、早急な対応が必要になります。

脳梗塞

脳梗塞は主に三つのタイプに分けられます。具体的には、以下の通りです。

⒈太い血管から枝分かれした血管(穿通枝)が詰まるラクナ梗塞
⒉首や脳の血管の動脈硬化が進行し、血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞
⒊心臓でできた血栓が運ばれて、脳の血管に詰まる心原性脳塞栓症

直接的に動脈硬化が関係しているのは、アテローム血栓性脳梗塞ですが、すべてのタイプで動脈硬化が関係しており、動脈硬化を予防・改善していくことが脳梗塞予防に繋がります。

末梢動脈疾患(PAD)

全身の動脈の中でも、手足に血液を届ける動脈を末梢動脈と言います。動脈硬化により末梢動脈の血流が悪化し、しびれや痛み、間欠性跛行などの症状を引き起こす疾患を末梢動脈疾患(PAD)と言います。

悪化すると足に潰瘍ができたり壊死することもあり、最悪の場合には下肢切断を強いられるため、生活に大きく関わる疾患です。

体の硬さと動脈硬化は関連あり!

近年、体の柔軟性と血管の柔らかさは相関があることが報告されています。具体的には、国立健康栄養研究所などの研究グループなどによると、20〜83歳までの男女を3群(20〜39歳/40〜59歳/60〜83歳)に分け、Sit-and-Reach Testで身体の柔軟性を計測し、脈波伝播速度(PWV)で血管の柔さかを測定したところ、以下のような結果が出たと言われています。1)

・どの年齢層でも柔軟性が低い群の方が、脈波伝播速度(PWV)が早い
・特に40〜59歳、60〜83歳では、柔軟性とPWVに負の相関があり、体が硬いほど動脈硬化の進行が早い

また1日10分、1日2回のストレッチを1ヶ月間行うことで、血管の柔軟性が向上したという報告もされています。2)そのため、動脈硬化を予防・改善するためには、有酸素運動だけでなくストレッチを組み合わせることが効果的だと考えます。

動脈硬化の予防・改善ストレッチを紹介

それでは具体的に、動脈硬化の予防・改善に向けたストレッチを解説します。特に下半身のストレッチを行うことで、下肢の動脈の硬さが改善したという報告を元に紹介します。

腸腰筋ストレッチ

腸腰筋は、股関節前面にある筋肉です。そしてその腸腰筋の内側に大腿動脈が存在します。大腿動脈は下肢に血液を供給するための主要な血管です。

腸腰筋が硬い方は必ず大腿動脈も硬いという訳ではありませんが、走行が近いためその関係性があるのではないかと考えられます。

また腸腰筋の硬さは骨盤の傾きや姿勢などにも影響を及ぼすため、しっかりとストレッチすることをおすすめします。

⒈膝立ちになり右足を一歩前に出しましょう。

⒉左手を持ち上げて、身体を右へ倒します。

動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

ハムストリングス ・下腿三頭筋のストレッチ

⒈四つ這いの姿勢になりましょう。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにします。

動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

⒉股関節を引き込むようにお尻を後ろに下げましょう。

動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

⒊ゆっくり膝を浮かして、お尻を天井に向かって引き上げます。腰が丸くならないように意識しましょう。

動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説【論文あり】

⒋踵を上げたり下げたりすることでふくらはぎのストレッチも行えます。

動脈硬化を予防するためにできること

動脈硬化を予防するためには、ストレッチ以外にも生活習慣の改善が重要です。具体的な方法を以下で紹介します。

食生活を見直す

和食は日本の伝統文化としてとても素晴らしいものです。しかし、和食は濃い味付けのものが多く塩分も高いので、動脈硬化のリスクを高めたり、高血圧や心疾患に繋がる可能性もあります。そこで動脈硬化予防には、野菜や魚、オリーブオイルなどの地中海食に近い食事が効果的だといわれています。

しかし馴染み深い和食を今後も食べ続けたいという方も多いでしょう。そのため日本動脈硬化学会は「The Japan Diet」という食様式の提案をしています。具体的には以下の通りです。

その1:肉の脂身、動物脂、鶏卵、清涼飲料や、菓子などの砂糖や果糖を含む加工食品、アルコール飲料を控える
その2:魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻・きのこ・こんにゃくを積極的にとる
その3:精製した穀物を減らして未精製穀類や雑穀・麦を増やす
その4:甘味の少ない果物と乳製品を適度にとる
その5:減塩して薄味にする

適度な運動を心掛ける

動脈硬化を予防するためには、毎日30分以上の有酸素運動が推奨されています。ウォーキングや速歩、水泳などの有酸素運動を、ややきつい程度(中等度)で行うことが目安です。

いきなり毎日は難しいという場合は、まずは週3回を目標に行ってみましょう。仕事をしていて平日なかなか時間を取れないという方は、一駅前で降りて歩いたりお昼休みに会社の周りを歩くなど日常生活の一部として取り入れることもおすすめです。

禁煙する

禁煙が、冠動脈疾患や脳梗塞の危険因子であるということは、みなさんすでによくご存知でしょう。中には、「本数を減らしたから大丈夫」「今は1日1本で我慢している」という方もいらっしゃいます。しかし残念なことに、1日1本の喫煙でもリスクが上がると言われているのです。

具体的には、喫煙本数が1日1本の場合、非喫煙者と比べて冠動脈疾患のリスクは、男性1.74倍、女性で2.19倍というデータが出ています。3)そのため、まずは本数を減らすところから始め、最終的には完全に禁煙することをオススメします。

まとめ

今回は動脈硬化と体の柔軟性の関連性や、動脈硬化を予防・改善するためのストレッチと対処法を解説しました。

動脈硬化は、痛みや不調などを感じないため、すぐに対処する方が少ないです。しかし動脈硬化は、命を脅かす狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすリスクがあります。

食生活や喫煙などの生活習慣が動脈硬化を引き起こすことは、みなさんよくご存知だと思います。ただそれだけでなく、意外なことに「体の硬さ」と「血管の硬さ」も関係しているのです。

そのため生活習慣を整えるだけでなく、日頃からストレッチを習慣化することをおすすめします。ジムなどに行って運動することも習慣づけるための手助けになると思いますが、忙しくてジムに通えないという方も、自宅で隙間時間を利用し、ぜひ行ってみてください。ぜひ当記事を参考にしていただき、あなたのお悩みを解決し、健康な身体を維持するためにお役に立てれば幸いです。

参考文献
1)Poor trunk flexibility is associated with arterial stiffening Heart and Circulatory Physiology; 297,1314-1318, 2009
2)Higaki, Y., Fujie, S., Yamato, Y., Oshiden, M., & Iemitsu, M. (2022). Four weeks of lower-limb static stretching reduces regional arterial stiffness in middle-aged and older women. Physical Activity and Nutrition, 26(2), 24–30.
3)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

服部恵実

服部 恵実

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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