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【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

公開日:2025.10.06

【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

文:EMI(理学療法士・ピラティスインストラクター)

「スネの内側に痛みがある」「運動中にもズキズキするようになってしまった」というお悩みはないでしょうか。

シンスプリントは、長距離を走るスポーツをしている中高生や久しぶりに運動をした成人などに起こりやすい症状です。

また、シンスプリントに似た症状で疲労骨折の場合もあるので、適切な対処が必要な症状でもあります。

そこで当記事では、シンスプリントについて詳しく解説していきます。ぜひあなたの悩みを解決するためにお役立ていただけますと幸いです。

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シンスプリントとは?

シンスプリントとは、スネの骨(脛骨)の周りの骨膜に炎症が起こる症状です。

この症状は、繰り返しのランニングやジャンプ動作によって脛骨周囲の筋肉や腱が骨膜を牽引し、微細な損傷と炎症を引き起こすことが主な原因です。1)
疲労が蓄積した状態で負荷がかかることで痛みが生じやすく、放置すると慢性的な症状や疲労骨折に進展する可能性もあるため、早期の対処が重要です。

陸上競技の中・長距離選手やサッカー、バスケなど走ることの多い競技で、中学・高校生の選手に多くみられます。2)

シンスプリントが起こる要因

基本的にシンスプリントは、スネの内側に急激に負荷が掛かることで起こります。具体的には、脛骨内側に付着する長趾屈筋、ヒラメ筋の張力が直接もしくは下腿筋膜を介して、骨膜や皮質骨に牽引力を加えることでシンスプリントを生じさせます。1)

ここでは、どのようにして牽引力が加わり、シンスプリントを発症する可能性があるのか解説していきます。

運動負荷の過剰と急激な増加

シンスプリントは、トレーニング量や強度が急激に増加した際に発症しやすいことが報告されています。

例えば、練習時間や距離を急に伸ばしたり、負荷の高いトレーニングを短期間で増やした場合、筋肉や骨膜にかかるストレスが強くなり、回復が追いつかず炎症が起こります。 特に初心者や成長期のアスリートは注意が必要で、段階的な負荷増加と十分な休息が重要です。

筋肉・腱の柔軟性不足と筋力アンバランス

長趾屈筋、ヒラメ筋などの下腿の筋肉は脛骨の内側に付着しています。これらの筋肉が硬くなると骨膜への牽引力が強くなります。筋肉の柔軟性不足や筋力のアンバランスは、脛骨にかかるストレスを増加させる原因です。

さらにふくらはぎの筋肉が硬直すると衝撃吸収力が落ち、疲労の蓄積が促進されます。また、前脛骨筋との筋力バランスが崩れることで歩行やランニング時の衝撃分散が不十分になることも一因です。

足部・下肢のアライメント異常

過剰な足の回内(オーバープロネーション)は脛骨の内旋を促し、骨膜への牽引ストレスを増大させます。扁平足や高アーチ足などの足部構造の異常も負荷分散を妨げ、シンスプリントのリスクを高めます。

また、膝の内反・外反、脚長差といった下肢全体のアライメント不良も脛骨への負担を偏らせるため、姿勢や歩行、動作時のフォームは重要です。

着地・走行フォームの問題

走行時の着地衝撃を適切に吸収できていない場合、脛骨周囲に過剰な衝撃が加わります。足部の動きや体幹の安定性の不足は、衝撃を効率的に分散できず、筋肉や骨膜に負担が集中します。

特に、ヒールストライク走法(踵から接地する走行方法)を行なっているランナーは、地面からの反力が大きくなりやすいため、適切に重心移動を行えていないと膝やスネ周りへの衝撃を大きく受ける傾向があります。

靴や運動環境の影響

適切なサポートがないシューズや、摩耗した靴を使用していると足部の安定性が損なわれ、アライメント不良を助長します。

さらに、アスファルトやコンクリートなど硬くクッション性のない場所での練習は衝撃が大きく、筋骨格系への負担が増えます。 運動環境の見直しも予防の一環として重要です。

成長期特有の要因

成長期は骨の成長速度と筋肉の発達が必ずしも一致せず、このアンバランスが脛骨への牽引ストレスを強め、シンスプリントを起こしやすくします。

急に身長が伸びた際に、痛みが出ている場合、成長期特有の要因の可能性があります。

シンスプリントになった場合の対処法

シンスプリントは、運動によって脛骨周囲の骨膜が炎症を起こすことで痛みが生じる疾患です。ここでは、シンスプリントになった場合の一般的な対処法を解説します。痛みが強い場合は、自己判断せず整形外科を受診しましょう。

アイシング

痛みが出始めた急性期には、アイシングを行い、炎症を抑制することが重要です。運動後や痛みが強くなった直後に、氷嚢や保冷材を用いて15〜20分間の冷却を行います。これにより血管が収縮し、痛みや腫れの進行を抑えることができます。
ただし、凍傷を防ぐために直接氷を皮膚に当てず、タオルなどを介して使用するようにしましょう。

運動量の制限や安静

シンスプリントの根本的な治療には、まず負荷を減らすことが欠かせません。特に運動中に痛みを感じる場合は、トレーニングを継続することで、さらに組織損傷が進行する可能性があります。痛みの程度に応じて、運動量を落としたり一時的な安静を検討しましょう。

できれば理学療法士など専門家の評価を受け、段階的に運動量を増やしていけると理想的です。痛みが消失した後でも、急激に元の練習に戻るのではなく、徐々に負荷を上げていきましょう。

薬物療法や物理療法

痛みが強い場合、医師の判断により非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることがあります。これにより一時的に痛みや炎症を抑えることができますが、根本的な解決にはなりません。あくまで補助的手段となります。
物理療法としては、超音波治療や微弱電流(マイクロカレント)療法が代表的です。

インソールや靴の見直し

足部のアライメント異常は、シンスプリントの重要なリスク因子です。特に、扁平足や過回内足のように土踏まずが潰れてしまう状態では、脛骨内側に過度な牽引力がかかり、炎症を引き起こしやすくなります。このようなケースには、インソールの使用が有効な場合があります。
市販のインソールでもある程度のサポートは可能ですが、理想的には専門家による評価を受け、個々の足の特徴に合わせて設計されたカスタムインソールを使用することが望ましいです。
また、靴そのものも見直した方が良いケースもあります。例えば、サイズがあっていなかったり、クッション性が失われた古いシューズを履いている場合、症状を悪化させる可能性があります。履き心地やサポート力を基準に、信頼できるメーカーのランニングシューズなどを選ぶよう心がけましょう。

ストレッチやトレーニング

症状が落ち着いてきたら、再発予防のために筋肉の柔軟性と筋力のバランスを整えることが重要です。シンスプリントに関わる筋肉は、主にヒラメ筋、長趾屈筋など、下腿の内側に位置する筋群です。これらの筋が硬くなることで、脛骨への牽引力が強まり、骨膜へのストレスが増加します。
また、柔軟性だけでなく、股関節や体幹の筋力強化を合わせて行うこともオススメです。下肢の安定性は、上位の関節の筋力と連動して保たれているため、体幹や臀部の筋群が弱い場合は、その分下腿に余計な負担がかかる傾向があります。
足に負担のない状態を作るために、体全体の使い方を変えていくことで、再発のリスクを下げていきたいですね。

シンスプリントに対するストレッチ

それでは、シンスプリントの方が硬くなっている筋肉に対するストレッチを紹介します。こちらは一例になりますので、詳しくは専門家の指示のもと行うことを推奨します。

ヒラメ筋ストレッチ

まずは浅層のヒラメ筋のストレッチから解説します。ヒラメ筋は、脛骨内側に近接して走行する腱性構造を持ち、シンスプリントの好発部位である脛骨内側下1/3の骨膜に牽引ストレスを与える筋の一つです。1)

⒈ 正座になりましょう。

⒉ 右膝を立てて座ります。

【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

⒊ 前方に体重をかけて、右のふくらはぎが伸びるのを感じましょう。

【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

長趾屈筋ストレッチ

ヒラメ筋と同様に、長趾屈筋も脛骨の内側に付着しており、シンスプリント発生において牽引ストレスの要因の一つです。1)

⒈ 人差し指〜小指までを抱えて手前に引きましょう。

⒉ 小指側をさらに後方へ引き、足首を反らしましょう。

【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

後脛骨筋ストレッチ

後脛骨筋は、内側縦アーチの支持に重要な役割を果たす筋であり、扁平足傾向がある場合には代償的に緊張しやすくなります。機能的に関連するケースもあるため、ストレッチ方法を紹介します。

⒈ 両手で足を持ち、足首を反らせます。

⒉ 足の外側を後方へ引き、さらに足首を反らします。

【スネの内側が痛い】シンスプリントに対するストレッチと対処法を解説!

まとめ

今回はシンスプリントの際に取り組みたいストレッチと対処法を解説しました。

スポーツをしている方であれば、なるべく怪我や痛みなどのトラブルを避けて、競技を継続していきたいですよね。また同時に、少し痛みがあっても無理をしてしまう方も多いのではないでしょうか。

一時的に無理をしなくてはいけないようなタイミングもあるとは思いますが、長期的に競技を継続することを考えると適切な対処が重要です。

シンスプリントは運動の負荷だけでなく、体の使い方や筋肉のコンディション、靴などの環境も大きく影響します。ぜひ長く運動が継続できるように日々のケアを大切にしていただけたら幸いです。

参考文献
1)Franklyn M, Oakes B. Medial Tibial Stress Syndrome: Muscles Located at the Site of Pain. Sports Med. 2016;46(6):877–885.
2)一般社団法人 日本スポーツ整形外科学会

EMI

EMI

大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_

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