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集中力を高める食べ物と栄養素とは?朝、頭が働かない人へおすすめ!

公開日:2017.03.03 更新日:2024.03.11

集中力を高める栄養素とコンビニ食品

文:篠塚 明日香
(管理栄養士・分子栄養学カウンセラー)

なんとなくぼんやりしていて頭が冴えない、本を読んでも集中できず同じページを何度もめくってしまう……。

そんな経験は誰にでもあるでしょう。ただ、集中できないその状況を「気合」で乗り切るには限界があります。なぜなら、やる気や集中力などを高める脳内物質の合成には、栄養摂取が大きくかかわっているからです。

どうすれば集中力を高め、その状態をキープできるのか——。意識的に摂取すべき栄養素、そして、コンビニでも簡単に買える集中力アップのための食品を紹介していきます。

>>管理栄養士が献立作成を行うコツ!バランスの整った献立の立て方

もっとも集中力を高める栄養素「ブドウ糖」

わたしたちの集中力を高めるためには様々な栄養素がかかわっていますが、そのなかでも特に大きな役割を果たす、ブドウ糖についてまずは解説します。

脳の最大のエネルギー源は、ブドウ糖です。

「集中力がない」という状態は、脳がエネルギー切れを起こしています。車に例えるなら、ガソリンの役割がブドウ糖で、集中力がないというのはガス欠した車といったら分かりやすいでしょうか。肉体的に疲れているときに頭が働かず、やる気や集中力が湧いてこないのは、体全体がエネルギー不足の状態にあるからです。

人のエネルギー源となるブドウ糖は、食事から三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)を摂取することにより、体内でつくり出すことができます。

例えば白米は、消化液によってバラバラに分解されるとブドウ糖になります。油や肉は消化液で分解しても直接ブドウ糖にはなりませんが、体内でブドウ糖が足りないときには、肝臓でブドウ糖に変わることができます。

三大栄養素は、ブドウ糖になったあと血液中を流れて全身の細胞に運ばれ、活動するためのエネルギー源となります。血液中のブドウ糖の量を血糖値といい、これが常に一定量保たれていれば脳へのエネルギー供給も安定し、集中力ややる気も出てくるというメカニズムです。

血糖値の安定が集中力キープのコツ

集中力を高める栄養素とコンビニ食品

ただし、集中力を高めるためにはブドウ糖になるものをたくさん摂ればいいという単純な話ではありません。あくまでも大切なのは、「血糖値を適正内に保つ」ことです(正常な血糖値は80~140くらい)。

体内で早くブドウ糖になる食品を一度にたくさん摂ると、高血糖を起こしやすくなります。高血糖を起こすと血糖値を下げるためのインスリンがたくさん分泌されるため、その反動で低血糖を起こしてしまいます。

低血糖状態では、脳が活動するためのブドウ糖が脳に十分に供給できず、エネルギー切れとなります。その結果、「集中力出ない」「なんだか頭が冴えない」ということになります。

食後に眠くなるのは血糖値が影響している

高血糖を起こしやすい食品は、体内で早くブドウ糖になるもの、例えば砂糖の多いお菓子やジュース、または、炭水化物に偏った食事などが挙げられます。

かつ丼やラーメンといったメニューをお腹いっぱいに食べると、食後に眠くなり頭が働かないということが起こりがちですが、これは血糖値の乱高下による影響によるものです。

バランスのよい食事を心がけると、集中力の持続につながる

このような食事を日常的に続けていると、血糖値が安定しにくく、その結果、慢性的に集中力がない、やる気が出ないという状態になりかねません。

ですから、日頃から食物繊維やたんぱく質もバランスよく摂取し、甘いお菓子やジュースに含まれる砂糖のとり過ぎに気をつけることが大切です。血糖値の安定こそが、集中力の持続につながるからです。

「ドーパミン」の合成を高める「チロシン」の存在

集中力を高めるために必要な栄養素は、ブドウ糖だけではありません。

わたしたちの精神状態は、体内で合成される様々な神経伝達物質によってコントロールされています。例えば、幸福感を生み出すセロトニン、リラックスをもたらすGABA、やる気や集中力を高めるドーパミン、脳を覚醒させ判断力を高めるノルアドレナリンなどがあります。

これらの神経伝達物質の合成バランスがいい状態にあると、脳の働きや情緒が安定します。

特に集中力に関係するのは、ドーパミン。ドーパミンは体内で合成しているのですが、その材料となるのがチロシンというアミノ酸です。

つまり、チロシンの摂取により体内でドーパミンが十分に合成されると、集中力が高まるというわけです。

チロシンは幅広い食材に含まれていますので、通常は不足しにくい栄養素といっていいでしょう。

<チロシンが含まれている食材の例>
・納豆
・豆腐
・乳製品
・カツオ
・バナナ
・ナッツ類 など

しかし、どうも集中力が出ないという人は偏食の傾向があるかもしれませんので、より意識的に上記の食材を食べるようにしましょう。

実際に、筋力トレーニングの集中力を高める目的として、チロシンのサプリメントが使われています。また、1988年のフランスの病院で行われた研究では、ドーパミン欠乏によるうつ症状のある患者にチロシンを投与し症状が緩和されたという報告もあります。

参考文献:「L-チロシンの治療, 即時および長期的な, ドーパミン依存性うつ病.臨床およびポリグラフィック研究] – PubMed (nih.gov)

ビタミンやミネラルの不足にも気をつけよう

補足として覚えておいてほしいのは、チロシンを合成するときにはチロシンだけでなくビタミンやミネラルも必要だということ。ビタミンやミネラルは新鮮な食品に多く含まれますが、加工食品が多い食事をしているとビタミンやミネラルが不足しがちになります。

その理由は、加工や保存の段階でビタミンやミネラルが損失することが多いためです。そのことも頭に入れておくといいと思います。

脳内物質の合成を助けるビタミン・ミネラル

コンビニで買える集中力を高める食べ物は?

集中力を高めるための栄養素として、ブドウ糖とチロシンのふたつについて解説しました。

ブドウ糖とチロシンをいつもバランスよく摂取できれば理想的ですが、忙しい日々のなかでは簡単なことではありません。

そんなときのために、家や仕事場の近くにあるコンビニで手軽に買える、集中力アップ食品をおすすめしたいと思います。

ラムネ

集中力を高める栄養素とコンビニ食品
糖質にもいろいろな種類がありますが、吸収が早くすぐにエネルギーになるブドウ糖を含むラムネが便利。空腹時間が長く集中力が欠けているなというときは、作業をする直前に数粒食べましょう。

10分程度で血液中にブドウ糖が入り、脳のエネルギー源となってくれます。ただ、食べ過ぎは血糖値の乱高下を引き起こしますので、少量をゆっくり食べるようにしてください。

チーズ

集中力を高める栄養素とコンビニ食品
集中力を高めるチロシンの語源は、チーズからきています。そのくらいチーズにはチロシンが豊富に含まれていますし、脂質も多いので腹持ちがよく持続的なエネルギー源にもなります。

チーズは消化吸収されるのに時間がかかりますので、集中して作業を行う1~2時間前に食べるといいでしょう。また、チロシンをドーパミンに変えるときに必要なビタミンB6が豊富な食材である、ピスタチオやバナナを一緒に食べるとベストです。

集中力を高めるにはバランスのいい食事と睡眠が必要

ここまで、集中力を高めるための栄養素やコンビニ食についてお伝えしてきましたが、集中力は単一の栄養素のみで生み出せるものではありません。

脳の神経伝達にかかわる脂質(オメガ3)の摂取や、十分な睡眠も大切です。普段からバランスのいい食事と休養を心がけましょう。

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篠塚明日香

篠塚 明日香

管理栄養士・分子栄養学カウンセラー
1977年、茨城県に生まれる。管理栄養士、分子栄養学カウンセラー。東京家政大学短期学部栄養科卒業後、老人介護保健施設での給食管理の実務を経て管理栄養士となる。
現在は、フリーランスとして分子栄養学のセミナー開催やエステサロンでのダイエット指導、企業商品の考案などにも携わる。
所属:合同会社スリップストリーム
プロフィール写真:櫻井健司

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