自分の成長が実感できない|セラピストのお悩み相談室
公開日:2025.06.11

文:鈴木 康峻(理学療法士)
イラスト:山本 香里
日常生活や仕事の中で、心の中にモヤモヤや不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?友人や家族には話しづらい悩みも、専門家に相談することで新たな気づきや解決策が見つかることがあります。
「セラピストのお悩み相談室」では豊富な経験を持つセラピストが、あなたの悩みに真摯に向き合い、具体的なアドバイスをお届けします。
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目次
お悩み|自分の成長が実感できない
理学療法士として3年目を迎えましたが、自分の成長が実感できずに悩んでいます。新人の頃と比べて何が変わったのかわからず、このままでいいのか不安です。
お悩みの詳細
急性期病院で働く3年目の理学療法士です。
日々の業務はこなせているものの、自分の技術や知識が向上している実感がありません。
新人の頃は先輩方の指導を受けながら必死に学んでいましたが、今は自分で考えて行動できるようになった反面、成長が止まってしまったように感じます。
同期と話すと、皆それぞれ得意分野があったり、資格の勉強を始めていたりと明確な目標をもって進んでいるように見えます。自分だけが立ち止まっているような気がしてなりません。
回答|3年目はキャリアの転換期でもあります。多くのセラピストが同じような悩みを抱えやすいので、この時期だからこそできる成長の方法を考えていきましょう

基本的な業務をある程度任されるようになる3年目は、新人の頃と比べると成長の形は変化するものです。
成長を感じるために、以下の3つの視点で、ご自身を見つめ直してみることをおすすめします。
1.できるようになったことを書き出す
これまでの成長を可視化するため、できるようになったことを具体的に書き出してみましょう。
たとえば患者さんの歩行に問題がある場合、新人の頃は「股関節の伸展制限かもしれない」と漠然と感じるだけではなかったでしょうか?
しかし、今では「股関節の伸展制限」が起きている理由をさらにこまかく考え、解剖学や運動学的視点から具体的な仮説を立てられるようになっているはずです。
治療も教科書どおりのメニューしか行えなかったのに対して、今では患者さんの生活背景や目標に合わせて、機能面と実用面を結びつけて介入できるようになっていることに気づくでしょう。
そのため、できるようになったことを言語化して書き出すと、自分の成長に気づきやすくなります。
2.自分の戦える分野を探す
3年目は、自分らしい専門性を模索するのに丁度よい時期でもあります。
専門性をもつ1つの方法は、特定の疾患や治療手技に興味をもち、自分なりの武器を探していくことです。
たとえば私の場合、整形外科疾患の方が多い病院のなかで、あえて脳卒中の勉強を集中的に行った時期があります。
これは、当時の勤務先で脳卒中のリハビリを苦手としているセラピストが多かったためです。
「整形外科疾患のリハビリにも応用できる部分がないか」と考えながら勉強会に参加し、積極的に院内で発信しました。
このようにすることで、「この分野なら〇〇さん」と、専門性が確立できる可能性が高まるはずです。
3.後輩の指導を通じて成長を感じる
そろそろ後輩の指導に関わる機会も増えてくる時期だと思います。
教えることは、自分の知識を整理し直す絶好の機会ですので、これまであなたが学んだことを体系的にまとめておきましょう。
そのうえで、「なぜそのように評価するのか」「なぜその治療プログラムを選択するのか」を後輩に問いながら、あなたなりの考え方をアウトプットします。このように後輩の成長を手伝ってあげることで、きっと自分の成長が感じられるはずです。
3年目は自分らしく成長するきっかけと考えよう
成長のスピードや方向性は、一人ひとり異なるものです。同期と比較して焦ってしまう気持ちも理解できますが、まずは日々の臨床で積み重ねてきた「見えにくい成長」に目を向けてみましょう。
そして、自分ならではの専門性を模索し、「この分野なら私」と言える領域を少しずつ広げていくことも大切です。
後輩を指導する機会も、自分の知識を整理し、新たな学びを得る貴重なチャンスとなります。
多くのセラピストが通過するこの転換期を、自分らしく成長するきっかけとして捉えていただければと思います。

鈴木康峻(理学療法士)
2008年に理学療法士の免許を取得。介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。介護認定調査員・介護認定審査員・自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。リハビリテーション業務のかたわら、医療・介護ライターとして高齢者の疾患や制度などのさまざまな記事を執筆している。理学療法士の現場で働いているからこそ得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆を心がけている。
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