AIが怖い!セラピストの仕事がなくなるかもしれないという不安|セラピストのお悩み相談室
公開日:2025.11.07 更新日:2025.12.04

文:鈴木康峻(理学療法士)
日常生活や仕事の中で、心の中にモヤモヤや不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?友人や家族には話しづらい悩みも、専門家に相談することで新たな気づきや解決策が見つかることがあります。
「セラピストのお悩み相談室」では豊富な経験を持つセラピストが、あなたの悩みに真摯に向き合い、具体的なアドバイスをお届けします。
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目次
お悩み|AIが怖い!セラピストの仕事がなくなるかもしれないという不安
今後のリハビリ業界が不安で仕方ありません。我々の仕事もAIに奪われてしまうのではないかと心配しています。
お悩みの詳細
回復期リハビリ病棟で理学療法士として10年間勤務しています。最近、AIの進歩に関するニュースを見るたびに、将来への不安が募ります。
歩行分析や動作解析、リハビリプログラムの作成などはすでにAIが得意とする分野です。また、ロボットやVRを使ったリハビリなど、テクノロジーの進歩も著しく、私たち人間のセラピストは本当に必要なのかと疑問に感じることがあります。
家族もいるため、子どもにも胸を張って「お父さんの仕事は将来性がある」と言えるのか、正直自信がありません。
回答|AIは脅威ではなく、私たちのパートナーとして活用していく時代です。人間にしかできない価値を高めていきましょう。

AIは確かに多くの仕事を担うようになりました。しかし、私たちの仕事が奪われると考える必要はありません。新しい技術をうまく活用すれば、より価値の高い仕事を生み出せるからです。
AIと共存していくために、以下の3ステップを意識してみてください。
1.人間が得意とする分野を知る
AIは、リハビリ中の関節角度や筋活動量をリアルタイムで解析したり、歩行パターンの異常を瞬時に検出したりと、データ分析やパターン認識が得意です。
一方で、人間だからこそ発揮できる力も多くあります。
・表情や声色から、感情や意欲に気づく洞察力
・福祉用具を工夫して使いやすくする創造力
・職歴や生活背景に合わせた個別対応力
こうした強みは、患者さんやご家族の気持ちに寄り添い、やる気を引き出し、その人らしい生活を支えるために欠かせません。
AIが進歩するほど、この「人間らしさ」はむしろ際立ちます。数値やデータでは表せない、相手の心や背景に踏み込む関わりこそ、私たち人間の大きな価値であると考えます。
2.AI活用で専門性をさらに活かす
人間の得意分野を押さえたら、実際にAIを活用してみましょう。AIやロボットは、セラピストの仕事を奪う存在ではなく、専門性を高めるための強力なサポート役になってくれます。
たとえば、歩行解析AIが重心移動や足の運び方を数値化してくれると、「何となくバランスが悪い」という感覚的な説明ではなく「右足接地時に重心が〇cmずれている」といった根拠のある説明が可能になります。これにより、患者さんやご家族にわかりやすく状況を伝えることができ、納得してリハビリに取り組んでもらえることが増えるでしょう。
他にも、ロボットアシスト機器が反復練習を安全に支援すれば、セラピストは補助にかけていた時間や体力を観察や分析に回すこともできます。その結果、姿勢や表情の変化にいち早く気づき、声かけや負荷調整など適切な対応が可能になります。
このようにAIやロボットに作業を任せ、セラピストはより専門性の高い判断やコミュニケーションに集中し、患者さんにとって価値の高いケアを提供しましょう。
3.新しい技術を学び続ける
今後も人間の強みを活かすためには、「AIは難しそう」と避けるのではなく、積極的に学び、AIを取り入れる姿勢が欠かせません。具体的には、学会の最新技術セッションへの参加や、メーカー主催のデモ体験会などがおすすめです。
現物に触れながら「あの患者さんにならどう使えるか?」を想像することで、単なる知識ではなく臨床に直結する応用力が身につくでしょう。
実際にAI技術が導入されている海外の施設では、セラピストの役割はなくなるどころか、より専門性が高く、やりがいのある仕事に変化していると聞きます。日本の現場とは環境が異なるかもしれませんが、学び続ける人は時代の変化をチャンスに変えられるという好例ではないでしょうか。
AIが進歩するほど、技術を使いこなしながら人間らしさを発揮できるセラピストの価値は高まります。こうした新しい技術の習得は、リハビリの手技・手法と同じくらい重要になっていくでしょう。
進化の時代を生きるセラピストへ
AIによる業界の変化は、「淘汰」ではなく「進化」の機会です。
AIと共に成長していくセラピストこそが、これからの時代に求められる人材となります。
胸を張って言えるはずです。「お父さんは最新の技術も使いながら、人にしかできないケアを提供しているんだよ」と。
一緒に未来のリハビリテーションを作っていきましょう!

鈴木康峻(理学療法士)
2008年に理学療法士の免許を取得。介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。介護認定調査員、介護認定審査員、自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。リハビリテーション業務のかたわら、医療・介護ライターとして高齢者の疾患や制度などのさまざまな記事を執筆している。理学療法士の現場で働いているからこそ得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆を心がけている。
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