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第8回粘土を使った作業療法の特性と魅力

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指先を使う作業療法で、老化を防ぎ発育を促す

指先を使う作業が、脳の老化を防いだり子どもの発育を促したりすることは、私たちセラピストに限らず、一般的に広く知られています。
「手は第二の脳」という言葉をよく示しているのが、カナダの脳神経外科医であるワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド(1891~1976)が考案した「ホムンクルス人形」。人の形をしており、手や唇が胴体や足と比べてとても大きくなっています。これはヒトの大脳皮質と体の部位の感覚の関係を、部位の大きさで表したもので、私たちの脳と手指が密接に関係していることがわかります。つまり、指先を使うことで多くの神経細胞が活性化されます。

作業療法場面では、食事、更衣などの日常生活動作、クラフト作業をはじめとした目的をもった作業を通じ、上肢・手指の基本的な機能および自在な巧緻動作に欠かせない目と手の協調、座位バランス、認知機能などの改善を目指します。また、非言語的なコミュニケーションや居場所づくりとしても、手指を使った作業が活用されます。

今回は、数ある手指を使った作業のなかでも子どもから大人、高齢者まで幅広く親しまれる「粘土」作業について取り上げます。

「粘土」作業の特性と魅力とは?

子どもの頃、生まれてはじめて粘土を触った感触を覚えてらっしゃるでしょうか。なんとも言えないベタベタ感、ひんやりとした不思議な感触。「お母さん、これ遊んでもいいの?手が汚れても怒らない?」なんて不安に思いながらも、恐る恐る指先でつまんでみると、「あ、凹んだ、あ、ねじれた!」と次々に形を変えられることに、子どもたちは遊び心をかきたてられます。粘土が指に馴染み始めると、頭のなかで思い描いたイメージ通りに形を変えられることに気づきます。お団子、積み木、お家、お皿、果物、乗り物、動物などなど……、粘土作業は対象者の創作意欲を引き出す作業の代表格といえるでしょう。

豊富なバリエーションと柔軟性

つまむ・伸ばす・ねじる・押しつぶす・重ね合わせる……、もちろん粘土の種類(紙粘土・油粘土・樹脂系粘土など)によって、必要な筋力や巧緻性も異なりますが、指先、5本指、両手作業というように、対象者の能力や目標に合わせた段階付けが可能であるのも、粘土作業ならではの魅力の一つです。見本通りに完成を目指すだけではなく、どんな形になるかわからない、ちょっとした失敗が成功や達成感に生まれ変わるような体験も導きやすいでしょう。

言葉にならない感情を「表現」する

作業療法場面では、対象者と直接言葉を交わさなくても、対象者の想いや感情に触れることが多々あります。粘土作業では、作業に対するモチベーションや集中力はもちろんのこと、普段は表に出しにくい感情を表現しているかもしれません。例えば、事故や災害によるショック、恐怖、悲しみをうまく言葉にできない子ども、コミュニケーションに障害がある方にとっては、力強く粘土を練り、思うままに形を作る作業を通じて、言葉にならない想いを発散・表現するきっかけになる可能性があります。

自分を見つめ他者を受け入れる

粘土作業は、カウンセリングにかわる非言語的な手段として感情や思考の整理を促します。作業に夢中になると、無意識のうちに自分の中の自分と対話をはじめることもしばしばです。これらの過程は、自分の内面を見つめ、必要な「気づき」をもたらすかもしれません。また、グループで行う作業では、お互いを受け入れ認め合う体験の場へ発展させることができるでしょう。個々人の自由な発想と表現が、コミュニケーションを活性化させます。

以上のように、粘土作業には、身体機能だけではなくカウンセリングやコミュニケーションの活性化など、様々な目的で導入することができます。
しかし、使い古しの粘土にカビが発生したり、小さな子どもが誤って飲み込んでしまったりするなど、思わぬトラブルに繋がらないよう管理する必要があります。
子どもからお年寄りまで、誰もが楽しめる粘土作業。「これやりたい!」と声があがれば、すぐにでも提供できるように準備しておきたいものです。

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参考:名古屋柳城短期大学「粘土による心理的効果について」

中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人 葵会学園「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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