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第19回脳性麻痺における感覚入力を育む遊び

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子どもは、外の世界から受ける「感覚のシャワー」をあびて心と身体を育んでいきます。感覚入力の乏しさや偏りが目立つ脳性麻痺では、夢中になれる感覚遊びを通し、外界とかかわるきっかけを探っていきましょう。


脳性麻痺の定義

脳性麻痺は、受胎から生後4週間までの間に生じた、感染、低酸素、脳血管障害などの脳の損傷に起因する症候群を指します。非進行性の病変ではあるものの、姿勢や運動に生じる、協調運動と筋緊張調節の欠陥などの障害は、乳幼児の発達に大きな影響を与え続けます。
厚生省脳性麻痺研究班による定義では、「変化しうる運動および姿勢の異常」としていますが、比較的早期に適切な介入が行われることで、環境に応じたプラスの変化をもたらすことも事実です。一方で、加齢や合併症による弊害が多々生じてしまうリスクが問題となります。

運動機会の減少、感覚の偏りによる弊害

脳性麻痺には、筋緊張の異常の種類による分類(不随意運動を特徴としたアテトーゼ型、筋緊張が高い痙直型、四肢の震えとバランスの悪さが目立つ失調型など)や、麻痺の分布による分類(四肢麻痺、両麻痺、対麻痺など)があります。姿勢や運動の障害を中心に、認知機能の障害、知的障害、てんかん、情動の障害など複数の問題を抱えることも特徴といえるでしょう。
また、脳性麻痺に伴いやすい問題のひとつとして、日常的な「感覚入力の乏しさ・偏り」が挙げられます。もともとの感覚障害だけではなく、乳幼児期の発達やその後の学習に欠かせない表在感覚、深部感覚、特殊感覚などの入力が乏しくなったり、特定の感覚に過敏になっていたりすることで、二次的な感覚障害が生じやすくなります。

心地よい感覚入力を伴う遊び

二次的な感覚障害は、特に「身体図式」の発達に影響を及ぼすと考えられています。身体図式とは「自分の身体に対するイメージ」のことです。普段意識することはありませんが、日常生活の動作を環境に応じて調整し、道具を器用に使いこなす(運動と感覚を統合する)ために重要な機能を果たします。
例えば、腹臥位を嫌がり、頭部のコントロールが不得意だった子どもに、正面から大好きな音が鳴る玩具を振ってみせたところ、次第にその感覚になじみ、腹臥位で遊ぶ時間を嫌がらなくなることがあります。
座位活動でも同様に、椅子に殿部や背中をなじませ、安定させる感覚をどのように覚えてもらうかは、その子にとって不安なく、心地よい感覚入力を伴う遊びが鍵を握っているといえます。
また、両手を使って道具を扱う練習で、目と手の協調性をどう育むか検討する際は、指先に道具が触れる感覚や重量感をどのように感じてもらうかを考えます。一度感覚の与え方を間違ってしまうと、「もう、その道具は触りたくない」と、不安を与えてしまうかもしれません。
そのため作業療法士は、日常生活や遊んでいる時の様子をよく観察し、子どもが好む感覚を分析しておく必要があります。大好きな玩具ひとつとっても、繰り返し音が鳴ることに興味があるのか、突然音が出るのが楽しいのか、一定のリズムを刻む音が好きなのか、尖った刺激に敏感なのか……など、ご家族と一緒に探っていくのもよいでしょう。

感覚の種類 遊びの例
表在感覚 触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚 抱っこ、くすぐり遊び、扇風機の風を楽しむ遊び、セラピーボールを使った遊び、ボールプール など
深部感覚 位置覚、運動覚、抵抗覚、重量覚、振動覚
特殊感覚 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、前庭感覚 キラキラする紙の束、ライトを降る、読み聞かせ、音遊び、アロマセラピー、トランポリン など

[出典・参照]
筋緊張の異常の種類による分類
厚生省脳性麻痺研究班

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中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人医療創生大学「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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