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患者会(家族会)と患者さんとの関わり方について

公開日:2020.11.25

同じ病気や障害をもつ患者さん同士が集い、さまざまな活動を行う「患者会(家族会)」。当事者同士だからこそ分かち合える“想い”を共有したり、情報交換したりする場として、患者さんの暮らしを支えています。そんな患者会に、私たちセラピストはどのような形で関わることができるのでしょうか。



患者さんや回復者による活動

患者さんやその病気の回復者たちによる活動は様々ですが、社会の偏見や制限を減らすための普及啓発に取り組んでいるところもあります。当事者による活動が、新しい治療法の開発や医療保険の適用につながることも少なくありません。
有名なものとしては、日本のハンセン病(らい病)患者さんによる活動が挙げられます。
ハンセン病は、何世紀にもわたって恐ろしい伝染病として恐れられ、末梢神経の麻痺や皮膚の病変による外観から、偏見や差別、隔離政策の対象となっていました。その回復者は、薬の開発や、らい予防法の廃止(1998年)以降も、長期にわたる差別、偏見、隔離によって自由を奪われ、苦しめられてきました。2010年には、「公益財団法人 日本財団」の働きかけにより、国連で「ハンセン病差別撤廃決議」が採択されました。ハンセン病の歴史を伝え、病気に対する理解を広く実現するための活動は、今後も当事者の想いとともに、次の新しい世代へと受け継がれていく必要があるでしょう。


「患者会(家族会)」の役割

私たちセラピストの身近にも、「失語症グループ」「片麻痺の会」など、さまざまな活動が見られます。インターネットやSNSで「患者会」と検索すると、たくさんのグループが全国各地で活動していることがわかります。罹患した病気が難病指定にならない、根治薬の開発が進まない、治療や福祉サービスを満足に受けられないなど、逆境のなかで活動する方々もいます。
患者会の人数や活動方針、運営方法等によって活動内容は異なりますが、患者会には、3つの大きな役割があるといわれています。

1. 1.団体のメンバー自身が、自分の病気や障害について正しく知ること
(例:専門職による勉強会や相談会、座談会の実施)
2.同じ病気や障害を抱える者同士が支え合うこと
(例:治療に対する不安や経験談のシェア、余暇を楽しむ仲間づくり、情報の共有)
3.社会への働きかけ
(例:経済的負担や新薬の開発に向けた働きかけ、啓蒙活動)

患者さんだけではなく、その家族がつくる家族会も、病気や障害の有無にかかわらず誰もが暮らしやすい社会づくりに向け、重要な役割を果たしています。1950年代に知的障害者の家族が結成した家族会は、家族の経済的・社会的負担への理解促進や障害者対策の充実に向けて、積極的な活動を行いました。精神障害、発達障害などでも、患者会と同様に家族会の活動が広く展開されています。


「語りえないもの」に寄り添い続ける

私たちセラピストは、患者会や家族会にどのような形で参加・参画することができるでしょうか。専門的知識の共有、情報のシェア、裏方業務など、きっかけさえあればさまざまなアプローチが可能になるでしょう。
患者さんに関わる際、忘れてはならないのは、当事者の声なき声に耳を傾けることではないでしょうか。
私たちセラピストは、患者さんの病気・障害という側面だけではなく、本人の性格や特性にも常に関心を寄せます。病気や障害に関わるさまざまな職種のなかでも、患者さんの言葉に耳を傾け、想いに寄り添う努力が求められる職種といえるでしょう。
目の前の患者さんが語ってくださった体験や想いは、その場限りのことではなく、私たちの仕事を通じて次の患者さんに活かされていくかもしれません。
しかし、どんなに「語り上手」な患者さんでも、当事者には「語りえないもの」があることを忘れてはなりません。語らず秘密にすることで、守りたい想いもあります。日常のなかで少しずつ、氷が溶け出すように語られる想いもあるかもしれません。
医療従事者が語りを強いることで、事実と違った表現で意見が伝達されたり、形を変えて表現させてしまったりする可能性もあります。「患者会(家族会)」では、当事者が自然体で集える「場」が維持されるよう、こちらも自然体で関わりをもち続けることが大切です。

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[出典・参照]

国立がん研究センター「患者さん同士の支え合いの場を利用しよう」
日本保健医療行動科学会「患者会と家族会」

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