NDBと介護DBの連結・解析「一部を外部委託に」 有識者会議、厚労省の中間まとめ案を了承2018.07.17
厚生労働省の「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」の会合が12日開かれ、厚労省が、ナショナルデータベース(NDB)や介護保険総合データベース(介護DB)のデータを連結・解析するための基盤整備に向けた中間取りまとめ案を提出し、おおむね了承された。医療と介護の膨大なデータをひも付けて解析することで、効果的・効率的で質の高いサービスを提供する糸口を探れると同省では期待しているが、解析の実施体制の明確化や、患者・利用者の特定を防ぐ体制の確保などが課題となる。中間取りまとめ案では、実施体制について一部を外部委託する方向性を示し、委託先の要件や国の関与の仕方などを整理する必要性を指摘した。【齋藤栄子】
一部を外部委託するのは、データ解析を効果的・効率的に行うため。中間取りまとめの厚労省案では、国がどこまでをカバーするか、整理すべきだとしている。
有識者会議では、第三者にデータを提供する際のルールや、DPCなど、ほかのデータベースとの連携などをさらに議論し、2018年秋をめどに報告書を取りまとめ、社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告する。
厚労省案では、データ連結・解析を行うに当たっての課題を、▽議論の経緯▽連結・解析を行うための「基本的視点」▽データの収集・利用目的、対象範囲▽第三者提供▽実施体制▽費用負担▽技術面の課題▽今後の検討の進め方―の8つに整理。これらの課題ごとに今後の方向性を示した。
このうちデータの収集・利用目的に関しては、NDBは「高齢者の医療の確保に関する法律」、介護DBは「介護保険法」と、それぞれのガイドラインを組み合わせて規定されていて、利用目的の範囲が異なる。そのため、連結・解析の実施に先立って規定を整備する。連結・解析は20年度のスタートを見込んでおり、厚労省は19年の関連法の改正案の国会提出を目指す。
医療や介護のビッグデータの活用が可能になると、例えば、脳卒中を発症した患者がどこでどのような治療を受け、最終的に要介護認定を受けたかどうかを追跡できるようになる。さらに、健診データまでさかのぼれば、それによる効果の検証にも役立てられる。
ただ、これまでの議論では、限られた地域の介護保険のデータと、希少な病歴が分かる他の情報とを照らし合わせることで、誰のデータかが特定されるリスクを指摘する意見があった。厚労省案では、データ提供の依頼が第三者からあった場合、提供先を審査して判断するなど現在の対応をベースに進める方向性を示した。
出典:医療介護CBnews
セラピストプラス編集部からのコメント
厚生労働省は、ナショナルデータベース(NDB)や介護保険総合データベース(介護DB)のデータを連結・解析するための中間とりまとめ案を提出。データ連結・解析にあたり、第三者提供や費用負担など8つの課題を整理し、今後の方向性を示しました。
NDBは、高齢者医療の確保に関する法律に基づいたデータベースのこと。医療と介護のデータベースが連結され、ビッグデータの活用が可能になると、例えば、脳卒中の患者がどんな治療を受け、最終的に要介護認定を受けたかを追跡することも可能になります。