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性欲低下障害など男性・女性の性機能不全と治療法[私の治療]2019.05.09

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セラピストプラス編集部からのコメント

不正確な情報が多く混乱しがちな男性と女性の性機能不全について、埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科の横山富士男准教授の解説です。

性機能不全とは
性機能不全群の主要な特徴1)は,性的な刺激に反応できないこと,または性的な行為において痛みを感じることである。機能不全は通常,性行為と関連した主観的な喜びまたは欲求の障害によって,または,客観的な遂行能力によって定義することができる。

▶診断のポイント
発症時期が病因や介入方法の違いを示唆することがある。

生来型:最初の性的体験から性の問題が存在していたものを示す。
獲得型:性機能不全が比較的正常な性機能の期間の後に発現する性障害に適応される。
全般型:性的困難がある特定の刺激,状況,または相手に限られていないものを意味する。
状況型:性的困難がある特定の刺激,状況,または相手に起こるものを意味している。

DSM-52)において性機能不全は次のように分類される。カプラン臨床精神医学テキスト1)より,その概要を示す。

男性の性欲低下障害は,少なくとも6カ月間の性的な空想と性行動に対する欲求の不足または欠如によって特徴づけられる。

女性の性的関心・興奮障害で,性的関心(ないし欲求)と興奮が一組になって機能不全カテゴリーに組み込まれるのは,女性は興奮の感情と同期して,あるいは興奮の感情の始まりに引き続いて,欲求を体験することが多いからである。

男性の勃起障害は,性行為中に勃起することが困難,性行為を終了するまで勃起を維持できない,勃起時の硬さの著しい減少,のうち少なくとも1つがみられる。

女性オルガズム障害は,しばしば女性オルガズム抑制もしくは無オルガズム症とも呼ばれ,正常な性的興奮相に続くオルガズムの遅延または欠如が反復的または持続的に存在することであり,簡潔に言えば自慰行為や性交によってオルガズムに達しないことである。

射精遅延は性交中に射精に至ることが非常に難しい。この問題は自慰行為では稀で,パートナーとの性行為において現れる。生来型射精遅延の男性は,パートナーとの性行為中に射精した経験がない。獲得型は以前に正常に機能していたのに,途中から障害が出現した場合である。

早漏の場合,常にないししばしば,男性は自分が望む前にオルガズムに達し射精する。男性が挿入後おおむね1分以内に射精するのが常である場合に診断される。

性器-骨盤痛・挿入障害における性交時疼痛は性交前もしくは最中もしくは後に男性においても女性においても起こりうる。反復的もしくは持続的な生殖器の疼痛である。男性より女性に多く起こりうる。腟痙攣と関連し,もしくは同時に起こる。腟痙攣は,骨盤底筋肉の不随意な引き締まりまたは痙攣による腟の外側1/3の収縮である。腟痙攣は陰茎の挿入と性交の障害になる。この反応が婦人科診察中に起こる場合があり,腟の不随意な収縮が腟に検鏡を入れることを妨げる。

物質・医薬品誘発性機能不全2)は物質中毒中またはその直後,または医薬品からの離脱または曝露の後に生じる。症状を引き起こすのは,アルコール,オピオイド,鎮静剤,睡眠薬,抗不安薬,アンフェタミン,コカインなどである。

▶私の治療方針・処方の組み立て方
性行動は①性欲相,②興奮相,③オルガズム相の3相にわけられる。つまり,性機能がうまく転回するためには,欲望があって興奮し,オルガズムを迎える。あらゆる心因型の性障害は,この3相のいずれか,あるいは2相が,時に3相が障害されるために生じる。適時これらの各相にアプローチする。

▶治療の実際
カプラン臨床精神医学テキスト1)から性機能不全の様々な治療法を紹介する。

【複式セックス療法(dual-sex therapy)】
治療者は特定の性的活動を提案し,相手に触れ,見る,聞く,嗅ぐことなどの感覚的な気づきを高めることに焦点が当てられる。最初は性交することは禁止され,2人は演技や挿入を強要されることなしに身体的な快感を与え受け取ることを学ぶ。同時に,彼らは言語によらずに相互に満足するやり方で伝えあう方法を学び,性的な前戯が性交やオルガズムと同等の楽しむべきものであることを知る。

【特殊な技法と実践】
腟痙攣の場合は,女性は腟の開口部を指ないし段階的な拡張器で広げることを指導される。

早漏の場合は,陰茎の興奮閾値を高めるために,圧迫法として知られる方法が用いられる。男性ないし女性が,勃起した陰茎を射精が起こりそうな最初期の感覚が生じるまで刺激する。そこで,女性は亀頭の周辺部を強く圧迫する。勃起は衰え,射精は抑制される。セマンスが開発したストップ-スタート法では,男性が最初に射精が差し迫る感覚を感じた際に,女性が陰茎に対するあらゆる刺激を停止する。

性欲障害や勃起障害の男性は,勃起や射精が可能であることを証明するため,自慰をすることを指示される。男性オルガズム障害では最初腟外で射精し,その後段階的に射精の近くまで刺激された後で,腟内に挿入するように指導される。

女性の長期のオルガズム障害に対しては自慰をすることを指示され,時にはバイブレーターが用いられる。

【薬物療法】
バイアグラ®(シルデナフィル)は窒素酸化増強剤であり,勃起に必要な陰茎への血流流入を促進する。この薬は摂取後約1時間で効力を発揮し,4時間の持続効果がある。シルデナフィルは性的刺激が欠如している場合は効果を発揮しない。

【文献】

1) 井上令一, 監:カプラン臨床精神医学テキストDSM-5®診断基準の臨床への展開. 第3版. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2016, p643-63.

2) 日本精神神経学会, 監:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 2014, p415-41.

横山富士男(埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科准教授)

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出典:Web医事新報

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