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【書評】『パーキンソン病の診療の進め方 長く向き合うために必要なこと』パーキンソン病の最新情報をコンパクトに2019.12.24

セラピストプラス編集部からのコメント

ややこしいと言われがちなパーキンソン病の診療を、経験豊富な川上忠孝先生が解説されています。診療のターニングポイントにおける「見極めの要点」をぎゅっと凝縮した一冊です。

パーキンソン病を巡る医学の進歩は著しい。日本神経学会のガイドラインも2002年、2011年、2018年と第3版になった。本書の序文にあるように、2002年と2011年は「治療」ガイドラインであったのが、2018年は「診療」ガイドラインに変更された。医学の進歩は直ちに実診療に応用され、核医学検査など新たな診断技術が保険収載され、次々に新薬が発売された。脳深部刺激や持続経腸注入療法など、デバイスを用いた治療も保険収載された。
パーキンソン病の診療の進め方 長く向き合うために必要なこと

パーキンソン病患者の寿命は延び、天寿を全うすることも稀ではなくなった。その結果、動きの病気と思われていたパーキンソン病が、心の病気であることも明らかとなった。不安症、衝動制御障害、反復常同行動、パニック障害、意欲低下、幻覚・妄想、認知機能障害など、様々な精神症状は運動症状以上に治療に難渋することがある。

パーキンソン病は経過の長い病気である。根治療法は存在せず、不足するドパミン補充が治療の基本であるため、発症してから20年あるいは30年にわたり治療を継続する必要がある。「長く向き合うために必要なこと」という本書の副題は、正にそこに焦点を当てたことを示している。パーキンソン病では目先の効果だけではなく、20年後、30年後を見据えて治療手段を選択することが大切なのだ。

本書にはパーキンソン病の診断、治療に関する最新情報がコンパクトにまとめられている。これからパーキンソン病患者を診る若い神経内科医だけでなく、パーキンソン病患者の診療に当たる一般内科の先生も一読されることをお勧めする。ただし本に書いてある通りに実践しても、必ずしも成功しないのがパーキンソン病診療の難しいところである。診断は正しい、処方も正しい、しかし患者は満足しない。よくある話である。我々医師は患者の満足のために仕事をしている。患者の満足が得られなければ別の手段を考える。その繰り返しがよい医師・患者関係をつくり成功へ導くことを忘れないようにしたい。

著: 川上忠孝(新小山市民病院副院長・神経内科部長)
判型: A5判
頁数: 168頁
装丁: 2色刷
発行日: 2019年07月26日
ISBN: 978-4-7849-4837-6

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