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特別養護老人ホームの待機者数に偏在~老人ホーム施設長の全国団体が調査結果を公表2020.03.23

セラピストプラス編集部からのコメント

特養の待機者数に「300名以上」から「10名未満」まで開きがある状況が、全国の老人ホーム施設長らがつくる「21世紀・老人福祉の向上を目指す施設連絡会」(老福連)が実施した調査で判明しました。定員29人以下の地域密着型特養では「まったく申し込みはない」などの回答もあったそうです。このおかしな現象に老福連では調査結果を基に、国へ待機者数の偏在状況の把握や改善策を求め、「複雑になりすぎた介護保険制度の下、本来福祉が受けられる人が受けられなくなっている」と懸念を示しています。

全国の老人ホームの施設長らがつくる団体が実施した調査で、特別養護老人ホーム(特養)の待機者数に「300名以上」から「10名未満」まで開きがある状況が分かった。定員29人以下の地域密着型特養では「まったく申し込みはない」などの回答もあった。同団体は、調査結果を基に、国へ待機者数の偏在状況の把握や改善策を求めている。【吉木ちひろ】

調査は、「21世紀・老人福祉の向上を目指す施設連絡会」(老福連)が2019年10月に実施し、このほど結果を公表した。全国の特別養護老人ホーム(地域密着型を含む)と養護老人ホーム2,363施設が回答している。

それによると、19年9月時点の入所待機者数は全体で、「10名未満」が8.0%、「10-30名未満」が19.3%、「30-50名未満」が16.9%、「50-100名未満」が31.4%、「100-300名未満」が19.8%、「300名以上」が3.2%だった。

施設定員の記入がある回答のうち、定員30名以上の施設(1,455施設)では、「50-100名未満」が最も多く(35.4%)、50名未満までと回答した施設を合計すると36.9%だった。地域密着型特養(341施設)では「10-30名未満」が最も多く、30名未満を合計すると62.7%だった=表=

2019年9月1日現在の特別養護老人ホーム入所待機者数

 

自由記述では「(要)介護3以上の人がそもそも地域にいなくなってきている」(青森県の特養)や、「申込者は毎月あり、待機者は240名前後あるが、実際に連絡しても『待ってました!』という利用者は少なく、100名余りご連絡して数名である」(神奈川県の特養)などの意見があった。

老福連は「都市部と郡部とでの地域格差も大きいと想像される」などとした上で、国レベルでの待機者数の偏在の把握を行い、「早急に改善策を講じるべき」としている。

■要介護1・2の特例入所、門前払いも

また、調査では要介護1・2の人の申し込み状況について、特養の入所者が原則要介護3以上に限定された15年4月以降の状況を尋ねた。回答の内訳は「以前より減った」(56.8%)が最も多く、次いで「要介護1・2の申し込みは受け付けていない」施設が18.3%あった。

要介護1・2の人については、認知症や知的障害などによって日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られるなど、居宅で日常生活を送ることが困難な「やむを得ない事由」がある場合に特養への「特例入所」が認められる。

老福連は施設やケアマネジャーが特例入所について理解を深める必要があると指摘するとともに、「複雑になりすぎた介護保険制度の下、本来福祉が受けられる人が受けられなくなっている」と懸念を示している。

厚生労働省が19年度に実施した調査によると、全国の要介護3-5の待機者数は約29万2,000人。特例入所の対象者数は約3万4,000人だった。

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出典:医療介護CBニュース

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