医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

【識者の眼】「国は地域包括ケア病棟をどうしたいのか~高度急性期以外を集約?」武久洋三2020.08.20

セラピストプラス編集部からのコメント

医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長の武久洋三氏が日本医事新報の【識者の眼】に、「国は地域包括ケア病棟をどうしたいのか~高度急性期以外を集約?」のタイトルで寄稿されています。
2012年頃から「(米国の)LTAC(long term acute care)病棟の機能を持つ病棟を日本にも導入したらどうか」と提言していた武久氏は、これからの病棟機能を「急性期」「地域包括期」「慢性期」の3つに大別することを提案しています。その結果として「地ケア病棟の拡大は確実であり、高度な急性期医療以外の地域急性期機能はすべてこの地ケア病棟に集約されるようになるかもしれない」と予測しています。

国は地域包括ケア病棟(以下、地ケア病棟)をどうしたいのか。

地ケア病棟は2014年に誕生した。リハビリテーションが2単位包括され、入院期間は最大2カ月で治療費が包括されている。私は2012年頃からアメリカのLTAC(long term acute care)病棟の機能を持つ病棟を日本にも導入したらどうかと提言していた。国は近年、急性期病棟の峻別化を行っている。12の特定除外項目に該当する患者なら長期入院可能であった特定除外制度は2014年に7対1、10対1一般病棟でも廃止され、2018年には急性期一般病棟として7つの基準を設け、地域一般病棟の3つの基準と区別し、400床以上の大規模病院では地ケア病棟を設置させないようにしている。

2020年5月現在、約2600病院、約9万床(一般病棟が約8万床、療養病棟が約1万床)が地ケア病棟を届け出ている。全病棟を急性期として維持できず、次善の策として地ケア病棟に格下げする病院が続出している。

一方、療養病棟ばかりの病院も、地域の高齢者の急変時に対応したいという積極的な病院が地ケア病棟に転換してきている。こちらは病院の機能向上を図る目的での設置を行っている。すなわち同じ地ケア病棟でも、モチベーションに差が出るだろう。事実、急性期から移行した地ケア病棟でのリハビリの実施が少ない傾向にある。

厚生労働省の2016年度入院医療等の調査によると、65歳以上の高齢者の占める割合は、7対1一般病棟は72.2%、療養病棟は90.8%、地ケア病棟は89.5%であった。地ケア病棟は正に軽中度高齢者の急性期から回復期までの病棟になっている。アメリカのLTACにおける入院期間は最大1カ月であるが、日本の地ケア病棟は明らかにLTACを意識して作られたのであろう。

国は現在の高度急性期病棟を急性期とし、普通の急性期病棟は地域急性期的病棟として、この地ケア病棟に集約させたいと思っているのかもしれない。これからの病棟機能は、「急性期」「地域包括期」「慢性期」の3つに大別してはどうか。さすれば今後、地ケア病棟の拡大は確実であり、高度な急性期医療以外の地域急性期機能はすべてこの地ケア病棟に集約されるようになるかもしれない。

今後ますます厳格化されるであろう純急性期病棟とそれ以外の準急性期的病棟の機能的分割が進むのではないか。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[急性期の峻別化]

>>【全国どこでも電話・メール・WEB相談OK】セラピストの無料転職サポートに申し込む

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

出典:Web医事新報

おすすめ

TOPへ