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【識者の眼】「ADL評価は『FIM』と『BI』どちらが良いか」武久洋三2020.12.25

セラピストプラス編集部からのコメント

日本国内のリハビリのADL評価方法は、主に医療分野では「FIM」、介護分野では「BI」が用いられています。介護従事者はBIのことは大体把握していても、FIMのことは全くわからない場合も多々あるようです。

今回の日本医事新報【識者の眼】では、医療法人平成博愛会博愛記念病院(徳島市)の武久洋三理事長が、同じ患者が医療から介護へ、介護から医療へと移動せざるを得ない場合が多く見られる医療現場だからこそ「できればBIに統一してもらい、医療と介護における同じ患者のリハビリのADL評価を分かりやすく、利便性を高めてもらいたい」と提言しています。ぜひ、お読みください。

リハビリテーション(以下、リハビリ)のADL評価方法は、日本では主に医療分野では「FIM(functional independence measure)」が、介護分野では「BI(barthel index)」が用いられている。

同じ患者が医療から介護へ、介護から医療へと移動せざるを得ない場合は多くある。介護従事者は、BIのことは大体分かっていても、FIMのことは全く分からない場合も多く、「FIM利得」なんて用語は聞いたことがないかもしれない。

BIは評価項目が10項目あり、認知症に関する項目はない。評価方法は2〜4段階で、0 〜15点で評価する。それぞれの判定基準が細かく丁寧に決まっており、例えばトイレ動作であれば10点、5点、0点の3段階評価で、5点の場合「体を支えたり、トイレットペーパーを用いることに介助」と具体的に定められている。素人でも判定しやすく我田引水しにくい手法である。

一方、FIMは運動項目が13項目、認知項目が5項目で合計18項目ある。評価方法は1〜7点で、1点は25%未満しか自分で行わない、2点は25%以上50%未満自分で行う、3点は50%以上75%未満自分で行う、4点は75%以上自分で行う、5点は監視・準備・指示・促しが必要、6点は修正自立、7点は完全自立となっている。

特に2点、3点、4点の判定基準は1%がどの程度なのか具体的に決められておらず、かなりの部分を感覚的に判断してしまう可能性がある。

しかし2016年度診療報酬から回復期リハビリ病棟にリハビリ施行前後のFIM点数差を示すFIM利得を用いた実績指数が導入され、FIMは診療報酬に大きく関係している。実績指数は、まず回復期リハビリ病棟での在院日数を疾患別の算定上限日数で割り、その値でFIM利得の総和を割って計算するものである。

そこで、患者状態から48%自分で行うと判断しても、少し過大評価してほんの4%上乗せするだけで52%になり、FIMは2〜3点に1点上がり、FIM利得も1点上がることとなる。実績指数は非常に複雑な計算方法ではあるが、結局はFIM利得が大きくなれば自然に実績指数が高くなることをうまく利用されかねない。

以上のことからBIの方が判定しやすく公平性が保たれやすいように感じる。できればBIに統一してもらい、医療と介護における同じ患者のリハビリのADL評価を分かりやすく、利便性を高めてもらいたい。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[リハビリテーション]

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出典:Web医事新報

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