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【識者の眼】「新型コロナのワクチン接種の展開に向けて」和田耕治2021.01.26

セラピストプラス編集部からのコメント

2013年に厚生労働科学研究「新型インフルエンザ等発生時の市町村におけるワクチンの効率的な接種体制のあり方の検討」に関係していた和田耕治氏(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)が、日本医事新報の【識者の眼】で、2月下旬よりスタート予定の新型コロナワクチン接種をめぐる、今後の展開について意見を述べています。

和田氏はまず事業遂行に最も影響する要因として、自治体や接種現場へのワクチンの「供給速度」について指摘しつつ、ワクチンの長期的な効果も不明であることから、「次」の接種事業をも想定したプラットフォーム作りについても提言しています。ぜひ、お読みください。

「新型コロナワクチン接種推進担当大臣」が2021年1月18日に新設され、内閣府特命担当大臣などを務める河野太郎氏が任命された。

“現時点で得られるワクチン情報”から、医療従事者は基本的に接種したほうがよいと思っているが、「医療従事者なのに打たないのは駄目」といった圧力はかけられるべきでない。もちろん、こういうコラムを書く時点で、圧がかかっていると指摘されれば言い返せないが。

気になるのは、「受けたくない新型コロナウイルスワクチン」のように忌避的に煽り立てて、副反応を報道するマスメディアが登場し始めたことである。過去HPVワクチンの件で辛酸をなめたSNSのインフルエンサー医師たちが削除するよう呼びかけ、実際に削除された記事もある。

注射部位反応、発熱、倦怠感など、軽度の副反応が既存のワクチンよりも多いのは事実である。しかし、重篤な副反応であるアナフィラキシー反応は、ファイザー社のワクチンで189万接種のうち21件(0.0011%)1)、モデルナ社のワクチンでは400万接種のうち10人(0.00025%)2)である。

医学的常識に鑑みても、極めて低い水準にある。マスメディアが副反応を過大に報じることにより、マスコミに同調した医療従事者が大きく非接種の方向に傾き、ワクチンによる国益が損なわれる可能性がある。

先ほど、“現時点で得られる情報”と述べた。その理由は、mRNAワクチンの長期的な有害事象は現時点では評価不可能であることと、変異株に対する対応(mRNAワクチンのアップデート)が今後の障壁になるかどうか不明だからだ。

遺伝子配列が分かっているので速やかな対応が可能だろうが、アップデートワクチンの物流については別問題である。

文献

1)Shimabukuro T, et al:JAMA. 2021 Jan 21. doi:10.1001/jama.2021.0600.
2)Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Moderna COVID-19 Vaccine─United States, December 21, 2020─January 10, 2021[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7004e1.htm]

倉原 優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)[医療SNS]

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出典:Web医事新報

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