医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

効率的な地域連携はICT活用で実現する- 栃木県「どこでも連絡帳」の事例報告2016.07.21

セラピストプラス編集部からのコメント

日本在宅医学会大会・日本在宅ケア学会学術集会合同大会のセミナーで、地域の多施設・多職種連携をいかに強化するかが議論されました。その際、情報通信技術(ICT)の活用の先進的な事例として栃木県が取り上げられ、県内統一ツール「どこでも連絡帳」の活用状況についての発表がありました。
完全非公開型の専用SNSで、日本エンブレース社の「メディカルケアステーション」を使用しています。
県医師会の長島理事は、医療介護のICTに必要とされる特性は
(1) 安全(2)簡単かつ低コストで使える(3)広域でつながる
の3点であるとしています。

 地域包括ケアシステムを構築する上で重要なのが、地域の多施設・多職種連携をいかに強化するかということ。効率的な連携を助けるICT(情報通信技術)活用は、そのカギの一つとなっている。こうした中、日本在宅医学会大会・日本在宅ケア学会学術集会合同大会(16-17日、東京都)のランチョンセミナーでは、専用SNSを用いた医療・介護連携の先進事例として知られる栃木県の状況が報告された。【烏美紀子】

栃木県では2014年から、在宅にかかわる多職種間で情報共有するための県内統一ツール「どこでも連絡帳」を運用。完全非公開型の専用SNSで、日本エンブレース社の「メディカルケアステーション」を採用している。セミナーでは、県医師会の長島公之常任理事が、これからの地域連携に求められるネットワークシステムや、「どこでも連絡帳」の活用状況について講演した。

 日本医師会の医療IT化委員なども務める長島氏は、「(多職種・多施設にまたがる)情報をつなぐのを最も得意とするのがICTだが、ICTなら何でもいいというわけではない」と指摘。(1)安全(2)簡単かつ低コストで使える(3)広域でつながる-が必要とした上で、「多職種連携にとって役に立つ機能は、コミュニケーション機能。コミュニケーションに特化したシステムであるSNSが医介連携には最適だ」と述べ、これらの条件をクリアする「どこでも連絡帳」の特性を説明した。

 また、患者ごと、地域の多職種グループごとなど、任意に設けたタイムライン上で参加者がきめの細かいやりとりをする「どこでも連絡帳」の使い方を紹介し、「患者訪問時の状態を報告し、提案や助言を出し合う『全員参加の毎日カンファレンス』ができる」「多職種が集まる勉強会は月1回しか開催できないが、(どこでも連絡帳の)グループで毎日のように情報交換、交流をしている」と、地域連携の強化・効率化に役立っていることを報告。さらに、患者・家族も参加するタイムラインで自ら情報を出してもらったり、災害時の連絡網としても活用したりしていると述べた。

 長島氏は、「ICTは単なる道具の一つ。急ぎの連絡は電話を使ったり、デリケートな問題は対面で話したりといった使い分けが必要だ。基本となる『顔の見える関係』ができていないところにICTを導入しても絶対にうまくいかない」と指摘。しかし、地域包括ケアシステムを構築すべき期限は迫っているとして、「顔の見える関係づくりとICT導入を同時に進めていくのが良いだろう」との見方を示した。

 ランチョンセミナーは日本エンブレース社が主催。メディカルケアステーションは現在、全国170カ所の医師会などで使用されており、ほかに豊島区医師会の土屋淳郎理事からも活用事例の報告があった。

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

出典:医療介護CBニュース

おすすめ

TOPへ